いぶろぐ

3割打者の凡打率は7割。そんなブログ。

夢の風景

2010-07-11 17:56:34 | いぶたろう旅日記
さあ、いよいよ今晩は日蝕に向けて出航です。
今回はタヒチ島そのものは皆既帯のちょこっと外なので、
クルーザーで6時間ほど外洋に出て、
船上から観測するというプランです。
しかしまだ実感がない。
朝起きてまずびっくりしたのがテラスからの眺め。


前日夜に到着したときは真っ暗闇だったところに、
真っ青に澄んだ海!
この寝起きの悪さで有名な私が、
ベッドから跳ね起きてテラスへ一直線。
もう気に入っちゃって気に入っちゃって、

いぶろぐもここから更新です(笑)。

さて、この日は社長さんと、もうお一方、
現地にお住まいのコーディネーターさんと食事に出ました。

中華だったんですが、これが実にウマイ!

タヒチ、メシウマイです。メシウマイとこは良いとこです。

「ダリア」ってとこね。地元の人にも評判のお店です。
基本、フランス語じゃないと通じませんが、オススメです。

南太平洋、フランス領ポリネシアでなぜ中華?と思うかも知れませんが、
実はチャイニーズも結構多いんだそうです。
で、チャイニーズが「ツケ」文化を持ち込んで、
純朴なタヒチアンは後先考えずに使っちゃうもんだから、
いわゆる「カード破産」的なものが続発して、
次々チャイニーズにとられていっちゃったんだとか。
うーん。かつての我が身に照らして同情するなあ。
タヒチアンってほんっとに人が良いんだよ。
陽気でいつもニコニコしてて、親切で。
彼らがヨーロッパや中国と出会ったから、
タヒチが世界的な観光地として有名になって、
おかげで俺もこうして来られたわけだけど、
でも出会わずにおれたら彼らはもっと幸せだったかも知れないよなあ。
そのあたり、複雑です。
あ、いや、考えない考えない。
タヒチアンに教わった中で一番お気に入りの言葉を紹介しましょう。
こういうときは
「アイタ・ペアペア~!」
「気にしない気にしない」です(笑)。

親父の話題で盛り上がりながら、たらふく食べて、
食後は「タヒチくん」という日本人女性が経営するお土産屋さんに寄りました。

事前にネットで見つけてコンタクト取っておいたんですが、
実はここの女性店主も親父の友人であることが判明(笑)。
なんでも昔、親父がお好み焼きの鉄板をプレゼントしたんだとか(笑)。
そんなこんなで話も弾み、あれもいいこれもいいとなってしまい、
パレオ、コーヒー、タペストリー、モノイオイル、黒真珠等々、
総額12万CFPもの買い物をしてしまいました。
店主さんも人は良いんだけど、びた一文まけないんだもんなー(笑)。
しっかりしてるわ。大阪のおばちゃんだね(笑)。

そのあとはカルフールへ寄って買い出し。

ショッピングセンターなんて万国共通だけども、
これがまた楽しい!
服なんかサイズ超でかいの。XXXLとかあるんだぜ。
果物がみんなおいしそうでね。あとパンがうまい!
食材もいろいろで、豚の丸焼き用のパッケージもありました。

お茶が飲みたいんだけど、さすがに「おーいお茶」はない。
でも紅茶とかジュースは甘いんで、こうなると基本、水です。
水のうまさを知りました(笑)。

さて、このあとホテルに戻り、少し休憩。
ガーデンに降りてみました。

ちょっと空に向けてカメラを構えただけで、こんな映画みたいな写真がとれちゃう。



手入れの行き届いた、きれいな庭です。


夕陽が照りつけたりなんかしちゃって。


さて、準備を済ませたら、いよいよ港へ向けて出発。

夜11時に出て、現地到着は朝5時頃、日蝕観測は8時半頃、
というタイムテーブルです。

こーんなでっかいクルーザーに乗っていきます。
南十字星も初めて見ました。上の写真に写ってるんだけど、わかるかな?
北斗七星ほどはっきりわからないんだね。
右向きに倒れてる感じです。

500人乗りクルーザー「アレミティ」を、100人足らずで占めちゃうという、これまた贅沢な。
張り切って乗り込もうとしたら、
「酔い止めは飲んだか?」とのこと。
割と乗り物酔いには強い方なので考えもしなかったんですが、
船は相当きついそうなので、素直に錠剤を飲みました。
準備万端で意気揚々と乗りこんだ船内では、
タヒチアンが現地の音楽で歓迎してくれ、レイもかけてくれました。
日本人が全体の半数くらい、あとは世界各国から、って感じ。
やっぱり前回(日本・トカラ列島)のリベンジ組が多いのね。
やがて出港。
最初は波も穏やかで、なんだ大丈夫じゃん、と拍子抜け。
とにかくでっかい船が嬉しくて、船内あっちこっちうろうろしてました。

ところが!!
1時間ほどで事態急転。
外洋に出ると、もう、揺れる揺れる。
この時期特有の季節風が向かい風になるもんだから、
次から次から波がやってくる。
船内は縦に横に数メートルの上下動。
これが大げさじゃないのよ。ものすごいんだから。
船内まともに歩けないんだよ。トイレなんて至難のわざ(笑)。
次第にきつ~くなってきて、やっぱり猛烈な吐き気に襲われ、
身動きとれなくなっちゃった。
だからこの間の写真もないわけです。
もうデジカメ画面なんてのぞいたら即アウトですよ。
周囲ではもう人目もはばからず、嘔吐・嘔吐・嘔吐の世界。
「お~うと、おうと、お~うと~♪」(ロート製薬の感じで)
でした。
もう、そんな中、吐くのが苦手でどうしても吐きたくない私の取った作戦はひとつ、
目をつぶり、「マリオカート」の画面を思い浮かべ、
「自分でこのアップダウンを運転してる気になること」でした。
これが非常に有効で、そのまま夢につながり、眠りに落ちました。

目が覚めたのは朝5時半。
デッキから日の出が見えるというので、
飛び起きて向かいます。
デッキに出ると、これが信じられないような風景。

360度全部海で、東の空にオレンジの光。

海もこれが本物のマリンブルーだ!って感じで青、蒼、碧。
それ見ちゃったらもう気分スッキリ、昨日の地獄がウソのよう。
そのままデッキで日蝕までいることにしました。

船内で出会った人々といろんな話をしたり、
周りの風景をカメラに納めたり、
何をするでもなく、でもまったく飽きない時間を過ごして、
7時をまわった頃だったかな。太陽が欠け始めた!

日蝕グラス、双眼鏡(特殊フィルム仕様)、簡易イス完備の私は即スタンバイ。

もうそこからは釘付けね。
時間をかけて徐々に欠けてゆく太陽、
かなり欠けてからでも、肉眼ではわからないんですが、
日蝕グラスで見るともう月の形そのままみたいな変な太陽。
だんだん周囲のテンションも上がってきます。
僕の双眼鏡(手製のフィルターがはっつけてある)に興味を持った外国人が、
入れ替わりに見せてくれないかと言うので、
「of course!」てなもんで貸してあげたら、大喜びでした。



なんでも奥さん(モデルみたいな金髪美人)が日本の音楽好きで、
「ガクト」ファンなんだとか(笑)。
僕は君の国のエアロスミスが大好きだ、って話したら
住んでるところを交換しようとか何とか(笑)。

やがて少しずつ陽射しも弱まり、気温も少しだけ下がり、
太陽が細い三日月ほどになった頃、不意に周囲が暗くなりました。

ところが、皆既に入る直前に意地悪な雲が来襲。
そこに向かって大きな外国人(さっきの人だった)が絶叫。
「Come on!! Blowing!!Come on!!」
と叫んでフーフー吹き出した(笑)。
これでみんな乗って、みんなでフーフー(笑)。
すると気圧が変化したのか(?)、さらりと雲が抜けて、
抜けたと思ったら光が一瞬ぱっと光って、ダイアモンドリングに。
そこからはもう、筆舌に尽くしがたいとしか言いようがない、神秘の光景。
ダイアモンドリングの光がすーっと引いていったかと思うと、
黒真珠のように丸く艶やかな黒が太陽を包み、
実に、実にあっけなく、自然にそれは始まりました。

もう、呆然自失。

動画も写真も途中で放ったらかして、ただただじーっと眺めてました。
幼い頃から一生に一度は見てみたいと憧れていた日蝕、
そのきっかけはやはり幼い頃に親父がくれた天文の本だったでしょう。
やがて親父とは生き別れたものの、大人になって再び語り合えて、
そしてその親父がかなえてくれた、この日。
生まれ故郷から遠く離れた海の果てで、万感こみ上げてきちゃったのね。
涙こそ出ないけれど、全身が震える感じ。

永遠にも、一瞬にも思える3分間が過ぎ、
再びダイアモンドリングの輝きを見せ、太陽はいつもの輝きを取り戻す。

写真でもテレビでもネットでもない、リアルな皆既日食。
これは経験した者じゃないとわからない、ほんとその通りだね。
何十万円払っても、一生に一度は見るべき価値があるよ。
僕はこの経験を通して、残念ながら人生観は変わらなかったけど(笑)、
日蝕は決して特殊な超常現象というわけではなくて、
たとえば朝日が昇り、夕日が沈み、月が満ちて欠けるように、
この地球上でごく当たり前に起きる、
自然な現象のひとつなんだ、という「実感」が持てました。

そのことは、たとえば今回の旅行に通底するテーマなのかも知れなくて、
僕が親父と会おうと思ったことも、
ここへ来ようと思ったことも、
意志の力で自然なことにできた、特別なものだったのかな、と。
自分の知らない世界には、
こういった「一見特別に思える自然なこと」がたくさん散らばっていて、
それらに出会えるかどうかは結局自分の意志次第なんだね。
それはわかっているつもりではいたけれど、
実感する機会には乏しくて、
その意味では僕の人生観は変わったのかもしれないのです。
まあ、少なくとも仕事ばっかしてちゃだめだな、とは強く思ったな(笑)。
ま、仕事頑張ったおかげで、会社にも認めてもらえて、
ここに来られたんだけどね(笑)。
バンドを失ってこの方、ずっと漠然とながら感じていた、
「自分は何のために生きているのか」という疑問、
答えはこういうことかもしれないな、というこれまた漠然とした感覚。
別に仕事棄てて趣味に生きるとか、
いっそここで暮らすとかそういう大げさなことじゃなくて、
何を求めて生きていくか、自分のやりたいことって何なのか、
そのために日々をどういう気持ちで過ごしていくか、
そんな感じ。
仕事のために仕事する人生じゃなくて、
何のために仕事を頑張るか、というポイントが定まった感じだね。

午前中の早い時間に日蝕観測は終わり、
帰りの船は順風で非常に穏やかでした。
船酔いの心配もなく、デッキの日陰で昼寝をたしなんでいると…
「Excuse me」
と話しかける声が。
なんだ?と思って目を開けると、
テレビカメラを持ったにこやかなドイツ人。
彼の話では、今回の日蝕ツアーに来ている人々にインタビューをしていて、
日本人ではぜひあなたにお願いしたいと思った、とのこと。
なんでまた俺に。双眼鏡か(笑)。
もちろんそういうのはキライじゃないので、二つ返事で…
といきたいのだが、なにぶん英語が心許ない。
とんちんかんな解答で世界に恥をさらすのもなあ…と、
「答えてあげたいけど、実は僕は英語に自信がなくてね…」
みたいなこと言ってたら、天の配剤か、
なんとそこにこれ以上なく強力な助っ人が登場。
Mさんと名乗る年配の日本人女性、彼女はなんと元プロの通訳!!
帽子にてるてる坊主をつけたかわいらしい人です。
よかったら私がお手伝いしましょうか、とのことで、
万事オーライになりました。
いやー、やっぱし俺「もって」ますねー。

いくつかの質問に答える形式で始まったんだけど、
もう全部日本語でいいということなので、
それはそれはドラマチックにここまでの経緯を語ってみせ、
インタビュアーを喜ばせてしまったのでした。
この辺は親父譲りです(笑)。

連絡先を交換し、できあがったら送ってくれるとのことで、非常に楽しみです。

…と思ってたら、なんと同行した日本人ツアー客の方の証言により、
夕方のニュースで俺の映像が出ていたことが判明。
タヒチでテレビデビューしました(笑)。
日本ではテレビの仕事取るのにあんなに苦労したのになー。
接待ゴルフも制作協力費もいらないじゃーん。
いやー、ほんとになんか「持ってる」な-、俺。
まだまだいけるかなー。

その後、軽食を取ろうと食堂へ向かったら、
どうやら僕あたりが最後だったらしく、
陽気なタヒチアンの係員が、あれもこれもと持ってきてくれました。
しかも刺身にはわさびまで(笑)。
こっちの刺身は醤油じゃなくてココナツミルクとか、
ちょっと甘めのタレにつけて食べるんだけど、

こあれがまた絶品。でも食いきれないよこんなに(笑)。
もりもり食っているウチに船は島へと近づき、

ようやく揺れない地面にたどり着きました。

いったんホテルに戻るも、爆睡。
揺れない地面のありがたみをかみしめつつ、
ベッドに身を沈めてそのまま失神(笑)。

2時間弱かな。
今度は近くにルロット(屋台)がいっぱい出てるというので、
晩飯はそこにしました。5つ星ホテルで一食も食べてない(笑)。

かつては20以上あったのが、欧米の不況で店じまいが相次ぎ、
いまは7つ程度が残るばかりとか。
でもそれって、ウマイとこが生き残った、ってことだよね。
行ってみるとなかなかどうして賑やか。
生まれて初めて本物の「豚の丸焼き」を見ました(笑)。


あれこれ迷ったんだけど、僕らが選んだのは「Chez Marie」。
豚肉とパスタ、チャーハン、春巻きをオーダー。

「春巻」って英語でなんていうか知ってる?
「springroll」って言うんだぜ。まんまじゃん(笑)。

まーとにかくこれらがまた、ウマイ!!
この旅行中、食い物は全くハズレなかったな~。
ご一緒した社長さんと、ツアー参加客の旅行好きの女性と、
世界中のあちこちでどこが楽しかったか、で盛り上がる。
僕も次の候補地が増えました。
あーでも、しばらくタヒチタヒチって言ってるかなー(笑)。

ルロットから帰って、また爆睡。
考えてみれば飛行機~船~日蝕であんまりまともに寝てないんだよね。
とろけるように眠りましたとさ。
もちろん、夢でも見ましたよ皆既日食。
あと船酔い(笑)。
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4 Comments

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何かいいね~☆ (トビ)
2010-07-13 22:10:13

皆既日食を『ごくごく自然の現象』と感じた
息吹さんが好きだな~☆

実はトビ、明日、出産予定なんだ~
自然じゃなくて帝王切開だけど(笑)

トビはお子ちゃまでこの経験をどのように感じとれるのか…
楽しみだね~☆
いぶきんみたいに何か意外なものを見つけたいな~

人生観、変わるかな?
私も変わらないかな~やっぱり(笑)


遠くタヒチから、無事を祈ってねん☆

次号を楽しみに待ってまーす!
旅行、気を付けて楽しんでちょ☆


返信する
さすがだわー (のん)
2010-07-14 19:42:41
息吹さんは物事を際立たせて表現する技量をお持ちですけど
確実に同じ場面に遭遇してても
出来事を捉える視点が違うんだろうなあ。と
改めて感じました。
うっかりわたしまでバカンス気分ですよ(笑)←お手軽

なんか色々書こうと思ってたのに
トビさんのコメントにかっさらわれてしまいました…!
トビさんのお子さんならきっと
息吹さんの未来の生徒候補として(笑)優秀に育つはず☆
返信する
Unknown (朋子)
2010-07-16 21:20:36

今更ですが、ご出産頑張って下さい…なんて知らない方に言うのは初めてですが。気持ちだけでも届いたら幸いです、元気玉的に。

あ、全然ブログに関係ない…

息吹さんメッチャ楽しそうですね!

何だかこっちも楽しくなってきました(笑)
返信する
楽しそうですね (miwa)
2010-07-19 01:18:36
いいな、いいな~
o(^-^)o

いや、でも、本当に良かったデス。
楽しそうで
(o^∀^o)

さて、そんな時に水を差すような話ですが。いよいよ…ですね。
お体に気をつけて下さい。

私も人のこと心配してる場合じゃないですが(-.-;)


あ、それからトビさん初めてコメントしますが、ご出産おめでとうございます
お疲れさまでした。

今は充分な休養を取って下さいね
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