いぶろぐ

3割打者の凡打率は7割。そんなブログ。

トラウマとノスタルジー

2023-08-28 10:59:54 | 超・いぶたろう日記

数年前だがリマスター版が出ていたので手に入れて、
久々に聴き込んだ1994年の筋肉少女帯『レティクル座妄想』
やはりとてつもない破壊力。
音楽性、文学性、表現力、どれをとっても超一流の上に、
テーマが「社会不適合の妄想」だもの。トラウマ抉り倒してくる。
タランティーノの映画の如く、様々に捻れた登場人物たち。
彼らが繰り広げる衝撃的なセリフやシーンが次から次へと暴き出され、
それがアルバム冒頭と結末とでひとつの世界線にまとまる。
何をどうやったらこんなものすごい作品できるんだ。ただ圧倒される。

「この世で愛されなかった人たちだけが、レティクル座行きの列車に乗れるの。レティクル座の入口ではジム・モリソンが私たちのために『水晶の船』を歌って、歓迎してくれるの」

「そうなんだ」

「そうなの」

「それ、妄想じゃあ、ないの?」

「違うわ、本当よ…」

「うふふ…あはは…」

これだもの。
ただの自己陶酔的な言葉遊びや恋愛ゲーム、万人受けするキレイゴトなど、入り込む余地もない。
わからない人には絶対にわからない世界観だろうなあ。

『蜘蛛の糸』なんて、小6の頃の僕のアタマの中そのまんまだ。
「同じ会話に夢中で、同じ調子で笑って、くだらない人たち」のことは、
いつの日にか絶対に見下ろしてやると思ってた。

でも、そんな僕もいつしか「カリスマミュージシャン」を気取って、
「この人私をわかってる、私の心を歌ってる…!」なんて思いを、
数々の「ノゾミ」に抱かせ、そして醒ましていたのかもしれぬ。

ひとりぼっちで死んだ少女の弔いの席には、
「あの子いいヤツだったなんて、話したこともないくせに」
「インチキの涙を流す」クラスメイトたちが集まる。
死んだ少女の最後の願いは、
「みんな同じになれ、誰もが漂う惨めな灰に還れ…」。
「一部始終を見ていたレティクルの神様」は、
笑う天使を遣わして5100度の猛火で全てを焼き尽くす。

蝶々をまねて、生まれ変わるべく宙へと跳んだ桃子が、
生と死の境でとうとう行き着いた『レティクル座の花園』では、
大好きだった人々が桃子に手を振ってくれている。
現世でお義理ながら見送ろうとする周りの人々からは、
「たわいない桃子の妄想さ…ただでさえあの子嘘つき」
と嘲笑されながらも、
「幻でも嘘でもいいじゃない、桃子は初めて幸せ」
なのだからと言い切る。
最後に救いが示されるのか。

ところが、待っていたのは『飼い犬が手を噛む』結末。
「くだらない人間かそうでないかを決める素敵な審査員の皆さん」に証拠を示せず、
次々と切り捨てられる「周りのくだらない人間とは自分は違う!」と信じていた人たち。
ある者は『レティクル座行き超特急』から突き落とされ、
ある者は犬人間として狩られる側に回されてしまい、
そこに極めつけの台詞が突き刺さる。

「ハッハッハ!ダメなヤツはダメなんだ!おまけの人生に向かって、ゴー!」

この絶望的な救いのなさがたまらない。
聴いてしまったらもう戻れない。
『ドグラ・マグラ』のようなアルバムだ。

小学生の頃の辛いトラウマに端を発する、
ひときわ繊細で孤立しがちなひねくれ気質にドンピシャ過ぎて、
ついうっかりこういうのに心酔してしまったからこそ、
ついぞ「売れる歌詞」なんて書けなかったんだなあ…としみじみ。

いまやただただノスタルジー。
子供たちにこういうアルバムに共感するような思いはさせたくないなと思いつつ。
気づけば、もう30年近く経ったのね。
花の色とは言わずとも、いたづらに時は流れにけりな。
わが身世にふるながめせしまに。

岡田マジック24

2023-08-24 18:53:54 | トラ、トラ、トラ。
処理水についても甲子園についても墜落機についても飛翔体についても、
一切コメントしないことでSNSと心の平穏を保とうとする、
凡庸で狡猾な大人に成り果てた私です。

そんな私は、耳慣れぬ「マジック」という言葉と、
それに続く数字が毎日減っていくことに魂の安穏を見出しています。

思い返せば38年前、まだ元号は昭和で、ランドセルを背負っていた頃。
初めてシーズン通して野球を観るようになった私の胸を撃ち抜いた、
何点取られようとびっくり返す、わかりやすいホームラン量産打線。
ヤマトが、それもデスラーが好きだった私にとっては、
「全艦デスラー砲発射!」的な、
パワフルかつ雑なコテンパン戦法がたまらなくツボ。
シーズンの勢いを駆って、
そのまま大嫌いだった小学校を思わせる西武管理野球を打ち破り、
日本一に輝くまでの軌跡は、
いまに至るまで私の虎党としての原点にあり続けています。

…翌年から、長い地獄を見るとは思いもせず…。

そこから涙涙の星野胴上げまで18年。
時代は平成になり、私は28になり、
ステージで見栄を切って歌う日々を送っていました。
契約のかかった大きなホールのステージで、タイガースのハッピを着て、
旗を振り回し、MCでもそのネタばかり、
関係者席にいた、巨人ファンの偉い人がシラケた表情で、
割と早く席を立ったと聞かされたのはその直後のことでした。

2年が経って30歳を迎えた私が見たのは、生え抜きプリンス岡田の胴上げ。
不動の四番金本と天才的な打点王今岡を擁し、
6回までリードしておけばJFKの向かうところ敵なし、
黄金時代が来たと思いました。
私はといえば、ライブハウスから教室へと舞台を移していましたが、
仕事の合間に隠れてマメに試合をチェック、楽しい毎日でした。

このとき、私は不謹慎にも
「2年ですぐ優勝だとありがたみがないなあ…やっぱ阪神は十何年ぶりじゃないと…」
などと、心にもないナマイキを呟いてしまったのです。
ああ野球の神様ゴメンナサイ。
その罰が当たったかのような日本シリーズでした。
不思議と記憶が深い霧に包まれたようで、あまり思い出せません。
ただ、しばらくガムやアイスを買わなくなったのは事実です。

今後はきっと毎年優勝争いするんだろうなあ…
八月から消化試合なんてことなくなるんだよなあ…
なんて思っていたら、たしかにそれはそうだったんですが、
僕の思い上がりで呪いがかけられたかのように、優勝からは遠ざかります。
開幕独走、失速、逆転、惜敗の歴史が繰り返され、
かつての「万年2位」体質が蘇ったかのような悔しいシーズンばかり。
中でも憎き讀賣にまくられ岡田辞任に至った、
2008年の屈辱を忘れたことはありません。
その後、2014年のCS4連勝で讀賣に雪辱、わずかに溜飲を下げたものの、
戦力は整っているのに勝負どころで勝てず、
なかなか優勝できないシーズンが続きました。
挙げ句にキレイゴト好きで謎の文字職人に操られたスピ監督までが登場し、
「予祝」などという珍妙な儀式では飽き足らず、
不可解な采配と頑固な選手起用で、乳酸菌飲料に酸っぱい思いをさせられ、
昨年は虎党休業まで考えました。

それが!今年!!
あの!岡田が復帰!!

野球ってのはこうやるんや、とでも言うかのように、
鮮やかな采配と選手起用の妙で、着々と勝ち星を重ね、
いつのまにやらマジック24。
でもチームに浮き足だったところはなく、もうアレは間違いありません。
いままで怖くて口にできませんでしたが、もういいでしょう。
今年こそは!!アレ!

気づけばまたしても、18年が経っていました。
元号は令和になり、僕は二児のパパになっていました。
信じられますか。
ランドセル、バンドマン、塾講師、パパですよ。
人生4度目の奇跡。楽しみで仕方ない。
日本シリーズ…どころかCS時点でもイヤな予感しかしない、
染みついた虎党気質もあるけれど、楽しみにしたいと思います。

次は…またら18年後だと子供が2人ともが成人してるんだよなー。
僕の墓前に報告…とかにならないよう、長生きしよっと。
タイガースファンは、長生きしないと務まりませんや。

こういうのもいまだけだからねえ

2023-08-11 23:01:58 | パパと呼ばれて〜親バカデレデレ日記
旅先では初めて一歳娘とお風呂に入ることに。
いつも旅先の大浴場では自然と男チームと女チームに分かれるのだけど、
今回は息子がママを希望し、娘がパパを希望したため、初トライ。
ちょっと緊張したけれど、なんと居合わせた3組がみんな親子で、
同い歳くらいの娘連れという初心者に優しいシチュエーション。

脱衣場まではご機嫌だった娘、さあ浴場へ…という段になって大絶叫大号泣。
薄暗いのが怖いらしい。
「いや〜〜〜うぎゃ〜〜〜まっま〜〜」
なんかすごい根拠のない背徳感出てくるからやめて。
何とか宥めすかして、明るいシャワーまで連れて行き、
機嫌を取り戻した娘をつるりと洗って、
大きなお風呂は怖いらしいので、軽く温泉をチャプチャプ浴びせて出る。

事件はその後。
突然まだ裸の娘が、すっぽんぽんで踊りながら脱衣場から外へダッシュ。
父もまだすっぽんぽん。全身の毛穴が開いたよね。
慌てて追いかけて、かろうじて出口スレスレのところでキャッチ。
まじで危なかった。
君はイイかもしんないけど、父は間違いなくお巡りさんこっちです案件だ。

しかしこの大井川鐵道川根温泉ホテル、とっても居心地がいい。
湯上がりにアイスキャンデーやヤクルトがサービスで置いてあったり、
子供向けにピジョンの泡ソープや離乳食が完備してあったり、
紙芝居があったりスタンプラリーがあったり、
随所にほとばしる家族連れへの心遣い。
ホスピタリティなにそれおいしい?な感じの、
ドケチな合宿宿泊先から帰ってきたばかりだから余計にしみる。
あとはお風呂に脱走防止装置さえつけてくれれば、なあ。

長年の虎党の悲しき性なれば

2023-08-11 23:00:32 | トラ、トラ、トラ。
いやぁ……
今季2度目の讀賣3タテで対戦成績12勝4敗1分、
讀賣のわずかな貯金と自力優勝の望みを全部消して、
我がタイガースは今季最多の貯金21で首位独走!
これ以上ない最高のシーズンですよもう。

これはもう今年こそは…って、思っちゃいかんいかんいかん。
人生の75%を虎党として過ごした私の、身に染みついた何かが戒めてくる。

わかっちゃいるけど

2023-08-03 22:59:19 | 超・いぶたろう日記
世代が違えば好みも感覚も全然違う。
皆さんお察しの通り、
僕は最近の音楽やエンタメのほとんどかなーりニガテなのだが、
生徒や学生バイトたちの好きなアーティストや作品などには一切ダメ出しせず、
無難なコメントで収めることにしている。
年寄りが若者の趣味に良い悪いを言ったところで絶対ピントはずれてるし、
どこまで行っても平行線だ。
ウザがられこそすれ、何もいいことはない。

一方、我が家では3歳の愛息が、
とうとう僕のニガテな「ヒカキン」をすっかりお気に入りだ。
父のさらなる試練が始まる…んだよな…これ…。
キツイよ〜😭