すき家のワンオペ、ワタミや電通の過労自殺に端を発し、
ユニクロなど他の企業でも騒がれているこの問題。
僕は一概に良いの悪いのを論じる前に、
【仕事の質・人間の質・マネジメントの質】の3要素があると思っている。
もちろん、違法な長時間労働(の事実上の強制)を正当化するような、
いかなる理屈もあり得ないという大前提で。
仕事ひとつにも色んな質のものがあって、
「やりたくてやってる仕事」であれば、
時間なんて関係なくなるという面は確かにある。
僕は間違いなくそのクチだ。
だからエライなんて言うつもりは毛頭ないよ、あくまでタイプの問題ね。
反面、やりたくない仕事は徹底して忌避してきたし、
常にお金などの就労条件よりも、その仕事が面白いかどうかだけで選んできた。
(だからあんなブラックなとこで10年以上もやれたんだね・笑)
でも、当たり前のことながら世の中やりたいことやってる人ばかりじゃないし、
ましてや仕事ともなれば、あくまで口に糊するためのものと割り切って、
面倒で退屈で乗り気のしない仕事をやりながら、
終業時間を待ちわびている人だって多く居るだろう。
そこまで極端でなくとも、自分の意志に関係ない「やらされ仕事」なら、
できるだけさっさと終わらせてしまいたい。
これは非難されるようなものじゃなく、ごく自然な情動だと思う。
働く人だって色々だ。
「仕事=趣味・生きがい」に近い人なら、
何時間残業しようと休みがなかろうと苦痛に思うことはないのかもしれないけど、
「仕事=ガマン・時間の切り売り」な感覚の人ならば、
やはり決まった時間に帰りたいよね。
で、当然のことながら、
どちらかがどちらかにその感覚を押しつけると、
押しつけられた方はたまらないストレスになるわけだ。
そして悲劇的なことには、一般に会社の上層部・経営側になればなるほど、
この「仕事=趣味」型発想の人が多くなり、
下の人間は「切り売り」型が多くなると思われるから、
自然と上から下への押しつけ圧力は強くなる。
また、上に行けば行くほど、
面倒で細かいことは「人にやらせる」ことができるようになるから、
現場の苦労もかえりみず、都合良く仕事を語るようになる、
というのもあるかも。
あるいは、昔の自分が経験した理不尽な苦労を前提に、
「今の若い者も同じ経験をすべきだ」なんて考えちゃったり。
すると、話が噛み合うわけない。
ここに加えて、管理の問題。
そもそも「管理職」が適切に機能しているかというと、
煽ったりダメ出ししたりするだけで、まったくできていないケースがほとんど。
部署や部下の仕事量を管理・調節することが最も大切な仕事だと思うんだけど、
全部抱え込むか、全部丸投げするかの極端なタイプが多いような。
僕の前居たところは、何かというと、
「段取りやタスク管理は大切」とか説教ぶつくせに、
年がら年中「いまは忙しい時期だけれどこれは重要だから」とか言って、
社長や役員の安易な思いつきで、
どうでもイイ仕事を次から次から増やすのが好きだった。
きまって、代わりにこの業務を減らしますというのはなかった。
それで長時間労働・休日返上をせざるを得ない状況を作っておきながら、
それで身体を壊した社員が出ると、
「以前から彼には注意していた、自己管理ができていない」
なーんて、腐したりしてたもんね。
同じようなところ、きっと少なくないんじゃないかな。
この受動型・能動型(または経営型・雇われ型)の、
2タイプの人材・仕事があるという前提に立って、
時間・人員・仕事量を適切に配分して、
法の範囲に収まるように上手に調整するのがマネジメントだよね。
正しいマネジメントって面倒くさいものだけど、
それをきちんとこなしている管理職がいれば、
もうちょっとこういう問題も(解決はできないまでも)
落ち着かせることはできるんじゃないかと。
まあ、経営者も労働者も、
お互い相手の立場や状況をわかり合う努力をしましょうよ、
というありきたりな結論になってしまうのが、何とももどかしいのだけども。