バニラエアの件、
パッと聞いただけでは窺い知れない複雑な背景があるようで、
単純にどちらかを断罪して終わるような問題じゃないと思うんだけど、
以下雑感。
1)「LCCは低サービス低価格なんだから、障碍者対応まで期待するな」という立場をとるならば、最初から明確に搭乗を断るべきだったよね。それはおそらく公共交通機関としては非合理的な対応として、世間からは支持されにくい選択だけど。
2)「LCCであろうが、公共交通として障碍の有無を問わず、すべての人にサービスが提供できるようにすべきだ」という立場をとるなら、当然それを言う人々はサービス拡充に伴う運賃値上げについても受け容れるべきよね。もちろん遅延についても。
3)HPに明記してある「車椅子の方の搭乗は5日前までに事前申し入れ」を守らないで、当日騒ぎ立てるってのはなんぼなんでも筋が悪いね。LCCは人件費や設備費も切り詰めて安さを売りにしているわけで、車椅子対応となれば人員配置などの準備があるわけだし。5日前というのは現実的じゃない、前日に乗りたいこともあるなんてのは勝手な言い分だし、他の航空会社という選択肢がないわけじゃないし。
4)バニラエアは最初の中途半端な判断が失敗だったよね。さらに「車イスの人にタラップを腕だけで昇らせた」なんていう場面を切り取られるのは「世間体が悪い」と気づけなかったのは致命的。当然そこだけSNSで広まるし、そうなると規則だろうがムチャぶりだろうが、脊髄反射的に感情的な批判が集まるのは火を見るより明らか。航空会社側のイメージ低下は避けられない。ここだけ例外的に認めちゃって、以後は断るとか、方法はいくらでもあったのに…。
5)多くの「健常者」は当然の良識として「障碍者」に配慮するし、多くの「障碍者」は当然の感覚としてそういった周囲の配慮に感謝していると思う。ある意図を感じるこの特異な一部の派手な言動によって、障碍者全体が「勘違いしている」「弱者ファシズム」みたいに思われるのは非常に悲しい展開。
6)サービスにはそれに見合った対価が必要という観点も見落とされるべきではない。誰だって障碍の有無にかかわらず、同じように利用できることを望んではいるが、そういう環境を整えるにも費用は掛かる。もしこのことで安さを売りにしているLCCの経営に過大な圧迫が掛かってしまうとしたら、それも残念な展開。車椅子対応にどれほどの投資が必要なのかまでは把握してませんけども。
7)「会社は規則・規則で人らしい心がない」なんて批判は最も的外れ。多分この前後の脈絡をちゃんと見てない。航空機の安全は関わる全員が厳格に規則を守ることで担保される。安全性に影響するかしないかは素人には判断できない。当然のごとく航空会社に規則外の対応を要求するのはおかしい。安全性に影響しない範囲で、柔軟な対応が求められる局面だったのは否めないし、批判される隙を作ってしまったのは会社側の落ち度ではあるけれど。
8)たぶんこの方の書いておられることが正解。
車いすで飛行機に乗る時は | いすみ鉄道 社長ブログ