いぶろぐ

3割打者の凡打率は7割。そんなブログ。

大学時代の友人が

2006-06-28 03:37:14 | 超・いぶたろう日記
急に、病に倒れた。
原因不明の脳の疾患らしい。
それはそれは壮絶な発作と共に病院に運ばれ、
生死の境をさまよったものの、なんとか一命を取り留め、
その経緯を俺を含む何人かにメールで知らせてくれた。

大学に入って最初の友人で、あいつの家にもよく入り浸っていた。
俺と同じく麻雀が強くないくせに大好きで、
よく揃って負けてたなあ。
感情屋で、理屈っぽくて、でも面倒くさがりで、
ちょっとナルシストで、でも正直なヤツで、
何より悪ぶりたがる善人だったから、憎めないヤツだった。
職を転々としていたが、コミュニケーション能力の高いヤツで、
すぐ新しい職場にも順応できていたようだ。

現在は、脳機能が低下している、という。

そのせいか、メールの文体もどこかおかしい。
人間なんて理性の薄皮一枚で動物だから、
脳にほんのわずかな異変があっただけでも、
驚くくらいに人格が変わることもあるそうだ。
仏教的な無常観が首をもたげてくるのを拒めない。
方丈記のいう「ゆく川の流れは絶えずして、また、もとの水に非ず」か。
じゃあ、俺の見ていたアイツはなんだったんだ、
そもそも俺って何なんだ、やっぱりただの容れ物なのか。
どうしてもそんなことに思いが行き着く。

そんな窮地の彼がくれた言葉のひとつ。
橋本治だったか、
「人間の最大の理性とは、すべてを冗談に換える力である」
目が覚める思いだった。
不毛な議論の場で、理不尽な手続きの途上で、
ひとつの感情表現の「形」を強要される冠婚葬祭の場で、
俺が漠然と感じていたことをズバリ言葉にするとまさにこんな感じ。
久しぶりだな、こんなドンピシャな言葉に出会うのも。
しかもこんなシチュエーションだから、余計に印象深い。
そうだ、確かに俺はこれを標榜しながら、
近頃文字通りの「忙殺」の憂き目にあって忘れかけていたよ。

お前のおかげで気づけたよ。
やっぱりお前は親友だな。
もう一度、お前と不毛な議論を交わしたいから、
間違っても死んだりすんじゃねえぞ。
早とちりで言葉足らずで不敵で小心で人情家の、
お前が帰ってくるまで、俺はお前のくれた言葉を体現するぞ。
お前のピンチも俺が冗談に換えてやる。
だから、頑張れよな。


ためいき

2006-06-17 03:13:38 | いぶたろう日記クラシック
誰しも、自分の思うとおりにならないと腐る。
腐ると、頑なになる。意地を張る。
意地を張る内に視野が狭くなる。
結果、大事なものをたくさん見失ってしまう。
自分は正しいことを言っているつもりでも、
周りから見れば本当にお寒い限りであったりもする。
周りが正しいことを言っていたとしても、
当人にとっては騒音に過ぎなかったりもする。

ためいき、だ。

子供ならいざ知らず、
大人ってのはもう少し余裕のある生き物かと思ってたよ。
大人になればなるほど、
くだらないメンツや意地が素直な気持ちを縛り付けるなんて、ね。

もっともらしい言い訳や、現状を肯定するための常套句。
誰かに叱ってもらったり、諭してもらったり、
そういうことがまったく無いまま年齢を重ねると、
ああいう人間になっちまうんだろうなあ。

同情するよ。

君らは一生、そのまんまいくのかい?

細かいことはどうでもいい

2006-06-15 03:54:05 | my lyrics
細かいことはどうでもいい
細かいことはどうでもいい

そっとしといてくれないか
どうかほっといてくれないか
正しいか間違ってるかなんて
俺にはわかんないし
いちいち決めなきゃいけないことだとも思えない

解ってるのはただひとつ

俺にはやりたいことも
やらなきゃいけないことも
山ほどあるってことだ

悪いけど
人のことまで構ってられないんだ
お前がどうだろうと
お前の自由じゃないか
俺が気に入るかどうかなんて関係ない
お前の好きにすればいいさ
説明なんて要らない

どれだけきれいな心を持とうと
どれだけ罪を重ねようと
どれだけ俺から奪おうと
どれだけ俺に与えようと
言い訳なんか聞きたかないよ

無駄な時間は俺が求めた時だけでいい
押し売りは勘弁だ

ほっといてくれ
ほっといてくれ
あーもうほっといてくれ

俺はそんなじゃねえよ
お前と同じメシ喰ってクソして寝る袋だ
それ以上でも以下でもない
だから説明なんていらねえんだよ

細かいことはどうでもいい
言えば言うほど
こだわればこだわるほど
実は何にも見えちゃいないんだ
俺の言うことだって
どうせ解っちゃいないんだ

だからもうほっといて
ほっといて
ほっといて

人を動かそうと思ったら

2006-06-14 23:58:47 | いぶたろう日記クラシック
そうだな、まずあんたがテンパっちゃいけねえよ。
人はコマじゃなくてやっぱりヒトだから、
そりゃあ、あんたと同じく何かを感じるし、色々考えるし、ものを言うさ。
それをこちらの都合通りに動かそうなんてことがそもそも、
不遜なのかもしれねえよ。

動かすんじゃねえ、動きたくなるようにさせなきゃな。

動かされてる人間よりも、動きたくて動いてる人間の方が、
めいっぱい力を発揮するもんだ。
あんたのために喜んで動いてくれる人間を、
どれくらいあんたの器量で周りに置けるか。
つまりはそういうことなんじゃねえのかなあ。

正論は絶対必要だな。
でも正論だけじゃ人はついてこないな。
歯の浮くようなキレイゴトも時には必要かも知れねえ。
でもそれだけじゃ薄っぺらいよな。見透かされるぜ。
愚痴は絶対ダメだ。何も生まない。
言いたいこと言ってるだけで多くの人がついてくるなんてのは、
ごく一部の、才能に恵まれた人間だけの特権だぜ。
カリスマリーダーのコピペか。
それもダメだな、自分はうまくやれているように思ってても、
結局はバカにされるのがオチだ。

人間性の勝負なんだよ。

この人のためだったらがんばれる、がんばりたい。
この人に認めて欲しい、褒められたい。
この人に見捨てられたくない。
そういう気持ちをもってもらえるように、
自分を磨き上げるこったな。

何の話かって?
何でもねえよ。
あんたのことかも知れないし、俺のことかもしれねえな。

farewell and good-night

2006-06-13 05:35:55 | my lyrics
自分の歌詞に元気づけられることって、あんましないよねえ。
でもなんだか最近、俺、この詞にみょ~に励まされます(笑)。
Rebirthのなかではあまり派手な曲じゃないけど、
俺、なーんかこの曲ずっと好きなんだよね。
今日もこれ聞きながら今まで仕事してました。
作った俺が励まされとるんだから、他の人が励まされない訳はない。
なんて勝手な自己満足。
うーん、疲れとるな、おれ。絶対。


ーーーーーーー

get over the trial
i'm waiting for your arrival
試されてるのさ 
こんなに渇いてる心に残る想いを
積み重ねた自分への嘘に
そっとfarewell and good-night

閉じた手帳の中 曜日だけがくるくる廻って
一度きりのはずの「今日」の記憶も
どーにも薄まって

同じような違うような
どこかでもう見知ったような
すれ違う人の顔みたいに忘れてく日々

もう毎日少しずつ削られてくような感じ
そんで誰かにすがりつく台詞も二番煎じ

楽しい訳もないのに 無理してから騒ぎ
それでもまだ何か求めてる

get over the trial
i'm waiting for your arrival
試されてるのさ
こんなに渇いてる心に残る想いを
脱ぎ捨ててく退屈な日々に
そっとfarewell and good-night

涸れた頭の中 言い訳だけがくるくる踊って
大切なはずの人の気持ちもどーでもよくなって

お前か俺か それとも案外みんなそうか
好きと嫌いを言い換えただけで結ばれた絆

もう人生少しずつ切り売りしてるような感じ
そんで何処かに辿り着くまではナマ返事

不安に踊らされては むやみに空回り
それでもまだ何か信じてる

絡まりつく周りの声に
そっとfarewell and good-night

少しくらいの遠回りなんて どーってこたないさ
どうせあのままついてったって行き止まり
don't be afraid, go ahead!

get over the trial
i'm waiting for your arrival
試されてるのさ
こんなに渇いてる心に残る想いを
昨日までの味気ない君に
そっとfarewell and good-night

心温まるニュースfromアムステルダム

2006-06-11 00:04:54 | いぶライダー闘いの記録
現地からの情報です。
あるオランダ人男性がスピード違反で捕まり、
免許を没収されることになった。
最高なのがこの男の言い訳。

「車を洗った直後だったため、乾かそうと思ってスピードを出した

警察当局の発表によると、この男性(27)はアムステルダム市内の道路を、
制限時速の50キロオーバーとなる時速108キロで走行していたという。

あ~~~もう、たまらん。
気持ちはよ~~~~くわかるぞ。
同志よ!!
国境を越えて手を携えよう!

守れないルールを考える

2006-06-10 11:46:18 | いぶライダー闘いの記録
行って参りました、検察庁。
5年ぶりです。
日比谷の駅を下りて徒歩10分ほどで見えてくる、
まるで中の職員たちを象徴するかのような、
カタ~くて古~くて、いかにもお役所といった感じの建物。
しかも入り口からして裏まで回り道しないと入れない、非機能的な造り。
まずは2階で受け付け。
もう何十年この単調な作業を繰り返してきたのか、
まるで創造性のかけらもなさそうなくたびれた人々。

あ、いっちょまえにクールビズ。

赤きっぷに署名を入れ、略式裁判の手続きへ。
待合い室には十数人。待たされること20分。
まずは警察の取り調べ。名前聞いてハンコ押す、形だけ。
続いて検察の取り調べ。
なんかブツブツ独り言繰り返す。ちょっとコワイ。
とりあえず用意した「上申書」を見せる。
前回はゴネてフテて失敗したから、
今回は反省文みたいなヤツね。こんな感じ。

「私は平成18年5月21日に東京都江戸川区~江東区間の「清砂大橋」におきまして、法定速度を超過して自動二輪車を運転し、取締りを受けたことを確かに認め、心から謝罪いたします。
 本件においては、司会を引き受けていた親友の結婚式に遅れそうな時刻であったため、冷静な判断力を失っており、速度規制の表示を確認することができず、時速60キロメートル規制の地点であるとは認識しておりませんでした。
 違反地点付近は新しく出来た大きな橋で見通しもよく、中央分離帯及びガードレールで隔離された歩道もあり、普段から時速90~100キロで走行する車両も多かったため、私の中で速度規制についての認識が甘く、今回の速度超過の違反に至りました。
 私は、過去5年にわたる無事故無違反の実績を無にしてしまった今回の違反を深く反省し、今後は常に自戒し、交通規則に則った安全運転を心がけることを誓いますので、なにとぞ寛大なご処置のほど、切にお願い申し上げます。 」

そしたらこれ、担当の検察官にあーだこーだケチつけられて参りました。
もう要するに、だまって言うこと聞けと、そういうことだそうです。
何を言っても言い訳だ、どうせ誰も口先だけで反省なんぞしてやいない、
公安委員会に免許もらったんだから公安委員会の作ったルールに従えと、
説教されてしまいました。

まあ、確かに反省なんかしちゃいないわな。
運が悪かっただけだと思ってる。
だって誰にも迷惑かかってないし、
前後左右だれも制限速度なんか守ってなかったし。
あんなもん、国家権力による恐喝じゃないですか。

そもそもが。
たかだか道路をスピード出して走ったくらいでだよ、
しかもだだっ広い道の、歩行者と隔離された、一本道の橋の上だ、
そんなことくらいでやれ出頭だ、検察だ、起訴だ、裁判だ…って、
正直俺、そんなに悪いことしたか?
納得いかないよ、そりゃ。

どうせ言うんだろ、ルールはルールだって。
でもルールってのは、
その社会の構成員の明確な同意の下に作られてこそ、尊重すべきもんだ。
いまの道路交通法なんて民意なんかまるで無視して、
警察側の一方的な主張と都合だけで、
国民の知らないうちに決められちゃうもんじゃないか。
少しでもドライバーの意見聴取とかしたのか?
道徳的な意味合いなんて後付けで、
管理する側の都合だけで作られたルールじゃないか。
ルールありきで思考停止を強いるなんて、
まんま学校の校則じゃん。
偉そうに振りかざして、金巻き上げるだけ巻き上げて、
しかもその金、何に遣ってるか解ったもんじゃない。
絶対に必要ない無数の標識とか無駄な信号でしょ。
せめて交通遺児の育成とか、交通被害者の救済資金とか、
そういうもんに遣ってくれよ。
交通安全に名を借りた有名無実の警察の天下り組織の予算とかさ、
そんなもんばっかじゃねえかよ。
悪いのは俺たちだけか?
おまえらこそ、悪党じゃねえかよ。

だいたい、そのルールとやらに抵触したとかで、
呼び出されてるヤツがこれだけの人数いるんだぜ。
それって、運転者側のモラル以上に、
ルールに無理があるってことじゃねえのかよ。

今回の駐車禁止取り締まり改悪だってそうだ。
要するに、恐喝の効率化じゃねえか。
宅配便の停止車両取り締まるのに、何の意味があるんだ?
まだまだ交差点近くに堂々と駐めてる危ねえ車いっぱいあるぞ。
そいつらの方が先だろ。
誰も通らないような川沿いのバイクなんか取り締まってる場合かよ。
とりやすいトコからとりやがって、
取り締まる側を信用できないからみんな反発するんだろ。

そんなことを考えてる内に1時間経過。
ようやく、手続き終了の呼び出し。
やれやれ…と思ったら今すぐ罰金払えだと????
「お手持ちはありませんか」
って、
罰金いくらだか予告もねえのに持ってくる訳ねえだろう。
しかも「銀行振り込み制度はありません」っておまえ、いま21世紀だぞ。
あげく一番近くのATM紹介するとかいって、小さいプリント渡されて、
プリント刷るくらいなら構内にATM置けよバカ野郎。

で、往復20分かけてカネ持ってきたら嬉しそうに受け取ってさ、
ハンマーみたいな柄の付いた長ーいハンコで俺の赤きっぷにドン。
だからよう、そういうもんに無駄にカネ遣うんじゃねえって言ってんだよクソ役人。

はあ、はあ、はあ。
あーもう、これ書いてるだけで血圧が500越えるのが解る。
写真の看板見てくれよ。
こちとら怒りを押し殺して出向いて来てんのに、
「受付で~す」
「お疲れ様でした~」
だと。
誰か霞ヶ関に戦術核打ち込んでくれ!

まあ、本当に腹立つ1日でした。
憂さ晴らしに銀座まで歩いて、
めちゃくちゃ美味いパスタとリゾットとピザ食ってやりました。
罰金は、上申書の効果があったのか前回より多少下がって6万円。
腹立つけど、過去5年間(前回免停以来)の表沙汰になってない様々な違反の分、
毎月1000円(6万÷60ヶ月)払ってきたと思えば多少は気が楽か。

…………………ふう。

時は金なり

2006-06-08 03:16:17 | せんせいとよばれて
夏を制する者は受験を制す、とか。
受験生にとっては天王山ともいえる「勝負の夏」を前にして、
しかし気温と湿度の上昇に伴って、能率が下降していく、
そんな受験生に活を入れるべく、ここんとこよく話す、
なんかのセールスみたいな話。
我ながら妙な説得力だなあと感心してしまう。

時は金なりと言うけれど、どんくらい金なんだろう?

まだ6月だし、夏になればいいやと思っているだろう?
しかし千葉県の入試は1月の中旬から始まる。
中学受験も早くて1月下旬だ。
つまり、実はあと半年しかないのだ。
てこた、30×6で約180日。
大人になると1日バイトするとだいたい1万円だ。
この間毎日バイトすれば計算上は180万円。
その180万円をいま君は握りしめている訳だ。

その180万円で何を買う?
君はまだ働けないから、未来のために投資している訳だ。
目標のために1日勉強すれば、1万円分夢に近づく。
何もしなければその日は1万円札に火をつけて燃やしただけ。
いったい、今まで何十万円を燃やしただろうね?
これからも毎日、いつかそのうちと繰り返しながらお札を燃やすのかい?
決意と行動の日が遅れれば遅れるほど、
夢のために遣える金額は減っていって、安っぽくなっていくんだよ。
イメージしてご覧。
今こうしている間も、どんどん燃えていく福沢諭吉。
早く消さなきゃ!

…とまあ、ここまで話すと生徒は血相変えて勉強に行く。
とても、素直でよろしいと思う。
なかなかその決意も危機感も続かないもんだけど、
それもまた人間だからな。
このままじゃマズいな、と漠然と思うよりも、
頭の中に常に白煙を上げて燃えていく一万円札を思い描いて欲しい。
たまに道草食ったり、道に迷ったり、転んだりしながら、
それでもゴールに向かって歩いていくのが人生だよ。

さて、振り返って、我が身は。

出るキジも鳴かずば打たれまい

2006-06-06 05:13:03 | いぶたろう日記クラシック
星野仙一は言った。
「見てろ。天罰が下るから。」
ほんとにそうなった。
…から、気持ち悪いなあというのが正直なところ。

俺だってそりゃ、村上は嫌いだ。
金の亡者云々じゃない。タイガースに手を出したからだ。
誰がどんな方法でいくら儲けようが知ったコトじゃない。
金持ちなんて大なり小なり悪事に手を染めてるもんだ。
そんなものにいちいち目くじら立てるのは、
金も力も知恵もない、貧乏人のヒガミに過ぎない。
でも、いくら金持ちだって、貧乏人の夢を、ささやかな楽しみを、
踏みにじっていいはずがない。
文字通りの「天罰」だろう。
俺も正直言えばスカッとしてる。

だが。
星野仙一といえば財界の大物との強力なコネクションで有名だ。
そんな彼がこの展開を予言するかのごとき言動を見せた、
その直後のことだけになんだか言いようのない気味の悪さを感じる。
即ち、日本という国は結局、【既存勢力=金持ったじじい】のご機嫌とらないと、
みんな潰されてしまうんだ、という現実を突きつけられた気がするのだ。
堀江も村上も犯罪者扱いされているが、やったこと自体は大したことじゃない。
ルール違反だなんだと叩かれてはいるが、金儲けにルールなんぞあってないようなもんだ。
かつて西武の堤、「昭和の政商」小佐野賢治、「一日一(偽)善」の笹川良一、
このあたりがやったことを考えれば可愛いもんだ。
彼らは政治とも密接に結びつき、世論も巧みにかわし、批判すら許さなかった。
堀江や村上が迂闊だったのはこの一点だけだ。
即ち、既存勢力に挑戦するような態度を前面に押し出しすぎ、
世論の不興を買いそうな隙を見せてしまった。
日本では無知で下世話で偽善的な「世間様」こそが最強で、
それに逆らうと瞬く間に非国民とされ、何者も生きていけない。
既存勢力に生意気に映ってしまった彼らは、
まんまとそのワナにはめられたのだ。
ソフトバンクの孫や楽天の三木谷が同じようなことをやっていないとは思えない。
なのに彼らが安穏としてられるのは十分な「付け届け」があったと見るべきだろう。
「秩序」に名を借りた、元老たちによる閉鎖性と独占・寡占体制の維持。
日本の財界は結局、新たな理想や野心を持った若者が台頭するのを許さない。
織田信長や坂本龍馬が台頭する余地はないのだ。
結局、彼らですら最後は守旧派に消されたことを思えば、
日本という国、その国民性の根深いところに、
拭いきれない闇があると言わざるを得ない。

そうこうしてるうちに今度はフジテレビがPRIDEを切った。
日本の興業・芸能界はすべて某力団が仕切っているのが現状だから、
まあ、そういうことでしょう。
フジテレビだって五十歩百歩のところにいるはずだがね。

小1を始末したのは結局母親だったりしても、もう驚きすらしない。
「ああまたか」と思うだけだ。
毎日毎日、絶望的な現実と、理想的なツクリゴトのニュースばっかり。
異常の日常化がどんどん俺たちの感覚を荒ませていく。
未来はどこに。
咳が止まらない。

ロイヤルストレート告白フラッシュエブリディ(加筆)

2006-06-01 02:24:26 | せんせいとよばれて
Tくんという弾けた生徒がいる。
何が弾けてるってもう、言うことなすこと全部。
絶えず動いてる。じっとしてられない。
何かをブツブツつぶやきながらあちらこちらを忙しそうに駆け回る。
とっ捕まえて注意すると目が泳ぐ泳ぐ。早口で言い訳する。
まあ、俗に言う「いい子(=扱いやすい子)」ではない。
だが、決してアブナイヤツでも悪いヤツでもない。
むしろ自分の情動や衝動にとっても正直なヤツだ。
ただ、おおよそ左脳が働いているように見えないのだ。
100%右脳、感覚と衝動だけで生きている様なヤツなのだ。

例えば授業で当てる。すると、
「う~~~む、これはミステリーだ…」
と考え込むそぶりを見せるが、とにかく答えない。
宿題をやってなさそうなので問いつめる。
「先生…これは…名探偵でも解けなかったんです…ちくしょう…!」
と、何に対して怒っているのかよく解らない。
帰る時は誰に言うでもなく、
「じゃあな、あばよ!」
授業中なのに教室から出てきたかと思うと、
「先生!鼻くそをほじくってしまったので、手を洗ってきてもいいですか?!」
手を洗い、教室へ帰り、しばらくするとまた出てくる。
「先生!またしても鼻くそをほじくってしまいました!手を洗いに行ってもいいですか?!」
さすがに注意する。
「T、鼻くそをほじらないという選択肢は君にはないのか?」
「…は、はい!がんばります!」
…いや、努力の問題ではないと先生は思うぞ。
そして10分ほどすれば再び、
「先生!鼻くそを…………」

それで、勉強は出来る方ではない。
どちらかといえばいつも苦しんでいる方だ。
しかしそんな彼にも唯一ともいえる得意技がある。
国旗だ。
世界のどの国の国旗もすべて覚えているのだ。
国名を言うとその国旗の特徴を細かく答える。
国旗を見せてもたちどころに国名を言う。
ほんとうに、常軌では計り知れない可能性を秘めた男なのである。

そんなT君が恋をした。
彼の恋は激しく、熱く、そしてやはり衝動的で正直だ。
彼が恋いこがれるのは同じ学年のSさんだ。
小学生ならではのオールバック型ポニーテールをきちんとまとめあげた、
ややおとなしめの、勉強はきちんと出来る女の子。
その子に向かってTのパッションはほとばしる。
日々、投票前日の選挙カーのごとく、連呼するのだ。

「S~~(すでに下の名前呼び捨てなのである)!大好きだ!!」
「ああ、俺はSと結婚したいよ!」
「S~!!結婚してくれ~~!!」
「先生、俺はSと結婚できたら死んでもいい!」
「ああ、でも死んじゃったらSと一緒にいられない!」
「Aくん!席を交換してくれ!俺はSの隣がいいんです!お願いします!(途中から悲しいくらい敬語)」

ボリュームもテンションも選挙カーを超え、右翼の街宣車の域に達している。
しかも、いきなり結婚を口走ったかと思うとひたすらにそれを連呼する。
哀しいかな、小学5年生の想像力では男女の付き合いの途中過程がないのだろう。
つまり、

【スタート】好きだと告げる
→一緒に帰ったりとか出来る
→あ、あ、あまつさえ手をつないじゃったりなんて…
→ま、ま、万が一にでもキスなんてことになっちゃったらもうどうしたらいいんじゃろこりゃ
→やめろ!なんというイヤらしいことを考えるのだ!俺の気持ちはもっと清らかで…
→結婚だ…!結婚したいぞ!プロポーズしよう!【結論】

ということなのであろう。
しかしTの熱い思い空しく、Sの方はほとほと困り果てている様子。
そらそうだ。一生の問題だもんなあ。違うか。
そして正義感に燃えたSの友人たちは市民団体よろしく俺に訴える。
「先生、Sちゃん可哀想だよ!ストーカーされてんだよ、ストーカー!
いかに饒舌な俺といえども、小学生女子ならではの無邪気なるが故の残酷さというか、
庭の雑草をむしり取るかのごときあまりの無情さに、発するべき言葉が見当たらない。
「ん…まあ、その、ね。好きだって言ってるだけなら…勘弁してやったら…?」
「ひど~~~い!!先生、何とかしてよ!」
「いや、まあ、そりゃあ何か直接手出ししたら怒ってやれるけどさ、好きだって言ってるだけだし…」
「S、同じクラスになっちゃったらどうしようって言ってるよ~。どうしてくれんの~先生~?」
そんなこと申されましても。
てか、なんで俺が責任とらにゃいかんのだ。

ただ、現状では授業には影響するところがない。
学力別クラス編成なのでSは1組、Tは2組なのである。
今のところ学力が適宜距離を設けてくれているのだが、
恋のチカラとは侮れないもので、Tがめきめきと力をつけ始めているのだ。
よく高校生なんかだと、勉強も手に付かずにベタベタしたがる野郎を尻目に、
彼女の方が抜け目なく勉強して、彼女だけが合格、男は浪人、
1年待ってるとか何とか言ってる内に大学でちゃっかり新たな出会いが…
なんてことがよくあるが、それに比べて小学生の慕情はまっすぐで、力強い。
Tの思いは募る。
「ああ、もうこんな時間だ!先生、早く授業を終わらせて、俺をSと一緒に帰らせて下さいよ!」
Tよ、オマエのは「一緒に帰る」ではなくて「尾行する」と言うのだ…。

まあ、素直に感情を表せるというのは素晴らしいことだけどね。
俺はとてもじゃないがそんなことできなかったもんなあ。
フラれるのが恐くて告白すら出来なかった弱っちい思い出ばかりが頭をよぎるぞ。
すげー勇気だと思うよ、実際。尊敬する。
でも、言われる方はどうなんでしょう。
実はそんなに悪い気しないんじゃないかね?
まあ、でも相手にもよるか。結局そこなんだよなあ。
全く同じ行為でも恋人同士なら甘美なる愛の交歓で、
他人同士なら痴漢行為で、同意がなければ犯罪だ。

果たして、Tの恋の行方やいかに。
勤務の帰りに立ち寄ったビデオ屋で、
アメリカ進出も決まり、絶頂期だった頃のX(エックス)の、
その後の運命を暗示するかのようなライブビデオのタイトルが目に入った。

「破滅に向かって」。
気合い入れろコラァ!