いつも様々な気づきをくれる安達さんの記事をきっかけに振り返る。
僕も退職してはや8年弱。
もう記憶も曖昧になってきたけど、この記事にはうなずけることが多かった。
会社にも人にもよるので一概にはもちろん言えないけれど、僕の場合に限っていえば退職してよかったし、結果としても大正解だった。
勤続11年、自分なりに一生懸命やって成果もそれなりに出したと思う。悪くない思い出も多い。
でも、狭い世界で異世代との価値観の相違に苦しんで、知らないウチに自分自身の能力や可能性も小さく見積もってしまい、鬱屈していた。いじけてたと言ってもいいと思う。
それが、思い切って退職・独立してみたら解き放たれた鳥のように自由になって、世界のすべてが色鮮やかに見えて来ちゃった。生まれ変わったように休みを満喫し、行きたいところへ行って会いたい人に会い、いきいきと新たな仕事を始めたのを思い出す。
僕の場合は別会社への「転職」だったら、結局同じことの繰り返しだったかもしれない。
独立するくらい、自分に理想やこだわりがないと、イヤだから辞めるというだけではどこへいってもしんどかったろう。
以下、引用先の項目に僕のケースをあてはめてみる。
①辞める意思表示したあとの社内の人間関係
役員会レベルでは辞める1年くらい前から充分冷たかったのが、絶対零度まで冷え込んだ。後継者への帝王学みたいな感じで仰々しく迎えられた「経営会議」からも即外され、社長のイエスマン達からの手のひら返しも凄かった。
社内では僕の退職に関しても完全にスルー。腫れ物どころかタブー扱いで、まるで空気のように、あたかも「換気」でしかないかのごとく無視されてた。
でも、僕の担当現場は役員派と現場派にまっぷたつ。役員派はなんやかやと密告や厭がらせに忙しそうだったけれど、現場派の仲間は僕を信頼してくれて、結局みんな自由意志で退職、そのうちの何人か気の合う仲間達と独立するに到る。
会社は冷たかったけど、現場の仲間や、生徒・卒業生・保護者はものすごく惜しんでくれて、わかってくれている人がいればそれだけで幸せだなと思えた。だからこれからもそれを大事にしよう、と思った。
②給与より大事な価値を追うために、生活レベルを落とすことは大事
僕も独立に当たっては「人(生徒・保護者・従業員)を大事にする」ことを第一に掲げたので、むやみに利益追求にガツガツするようなことはなかった。
でも、敢えて生活レベルは一切落とさなかった。最初の1年は苦しかったけど、独立で自分に甘くなりがちなところ、これをキープしたかったらガンバレ!と自分にムチ打てた感じ。理想と現実の狭間でうまくバランスがとれたように思う。
利益はともかく、質を追求しようと頑張ったら、結果として収入も前職時代より増えた。ていうか、前職で安く買い叩かれすぎていたのがよーくわかった(笑)。
③慣れた環境(オフィス)は働きやすい?
これは、僕はいつでもどこでもカスタマイズや巣作りを、手間もお金も惜しまず徹底的にカッチリやるので、問題なかった。
ただ、大企業で当たり前に高額な機器や備品に囲まれていた人には、たしかに厳しいかもね。
これは人でも物でも評価する上では共通だと思うんだけど、無駄なハッタリに変なお金かけるんじゃなくて、本質的な部分で必要なものが備わっているかどうかで絞り込めば、別にケチケチしなくても案外にお金かからなくて済むのよね。ブランドより機能、それも自分のニーズに照らして。
④新しい仕事・環境で、不安があるからこそ、仕事のクオリティが高くなる
これは全くその通り。
「やらされ仕事」だったすべてを見直して、意味のあるもの・ないものを自分の眼で選別できた。
さらに会社の看板に隠れることなく、すべてが顧客の自分自身への評価にダイレクトに返ってくると思えば、何でもひとつひとつ丁寧にやれるようになった。
上司とか社内評価とじゃなくて、あくまで顧客に目を向ける。
何があっても尻を拭くのは自分、そして振り返っても誰も居ない。
この感覚は、大企業にいるとなかなか身につかないように思う(あくまで僕の場合ね)。
⑤自分の真の市場価値は、想像していたことと違う
これも実感。
30歳まで音楽活動とコンビニバイト、さらにその後は塾講師で40歳。およそダメダメな匂いしかしない(笑)。転職サイトに登録しても、まあ、ヒドイもんだった。
でも、僕が教室を開いたら1ヶ月で75人も入会してくれた。創業時から赤字知らず、その後も広告宣伝一切なしで、クチコミでずっと続いてる。いまだに卒業生やその保護者の紹介で…という問い合わせがほとんど。
本当の市場価値ってこういうことだと思う。
転職サイトでゴミ扱いされてたって、僕の仕事に価値を感じてくれている人が居てくれさえすれば、僕は充分満足だ。
⑥深い学びは、リスクを背負って初めて得られる
これも本当にそうだなあ…と。
僕がこの8年間に学んだこと、いまある境地は、たぶんあのまま前職に留まっていたら得られなかったものばかり。
社内政治だとか根回しだとか、見映えはするけど中身のないプレゼンとか、むやみやたらな人脈拡大だとか、締め日のための数字の帳尻合わせとか、そういうものを「ビジネススキル」としてありがたがる感覚は僕にはないし、そういうものに心を乱されずに、ただ自分の提供するサービスのクオリティを磨き続けることに専心できたのは、とても健全なありようだったと思う。
何より、すべては僕の仕事そのものを見て価値を感じ、賭けてくれた多くの仲間や生徒・保護者の皆さんのおかげ。
振り返って、とても幸運で幸福な人生だと思えるし、そう気づけただけでも退職して良かったと思う。