10月に生まれた我が息子。
その後すぐに繁忙期に入ってしまうため、なかなかまとまった休みも取れず、
親父にお披露目するのが随分と遅くなってしまった。
今回降って湧いたようなウイルス禍で、僕の職場もしばし休校。
ということで、親父の番組がない週末に大阪へ行ってきた。
時節柄…というわけでもないんだけれど、クルマで往復1000kmちょい。
乳児連れなのでそもそも荷物も多いし、まあ念には念ということで。
8時間半ほどかけてゆっくりと大阪入り。
今回の宿はリーガロイヤル。
僕が幼い頃はよく連れてきてもらった。
親父のまさに全盛期で、毎週末は必ずここで結婚式の司会。
ウチのカレンダーに「ロイヤル」の文字がたくさん躍っていたっけ。
だからまあ僕らの世代には割と多いだろうけど、
僕も親父に遊んでもらったとかどこか連れてってもらったとか、
ましてや家族揃っての旅行とかなんてほとんど記憶にない。
ただ、放送局につれてってもらったりとか、いろんな現場を見せてもらえたりとか、
ホテルのパーティにお呼ばれしたりとか、変わった経験はいっぱいさせてもらった。
いまでも、大阪で親父の名前を出すと、結構な大物さんにまで、
「あのときの坊やか!なんて言われることも(笑)。恐縮しますわ。
うっすらとしか覚えてないんだけれど、それでもここに来ると、
「あっ!ここ知ってる!見たことある!そうか…ここだったのか…」
みたいな場所がある。特に改築前の古い感じが残っているとことか。
そしてロイヤルと言えば親父の4度目の結婚式(笑)。
自分の結婚式の数年後に実の父の式に呼ばれるという、激レア体験。
だからすっかり修復された親子の、新たな関係性の象徴みたいな場所でもある。
そのロイヤルで親父と待ち合わせ、そして孫とご対面。
目を細める親父。わけもわからずキョトンと祖父を見つめる息子。
なんだろう…言葉が出ない。ただゾクゾクした。
色々あった我が家、過去に長らく疎遠だった親父だけども、
こうして孫を抱かせられる日が来たことには、
どうしようもなく万感の思いを禁じ得ぬ。
まったく不覚なことに、孫を抱く親父を見てたらつい涙腺が止めどもなく。
親父も親父でそれを噛み締めてくれているようで、本当に心のこもった一言が聴けた。僕としてももはや遠い過去、わだかまりなど何もないし、
若い頃にはあったのかもしれないけれど、もうとっくに忘れた。
普通に親・子・孫で万々歳だ。
こんな日が来るなんて。本当に人生棄てたもんじゃない。
親父もきっと、その思いは共有していたに違いない。
いまならハッキリとそれがわかる。
さて、その後は僕のクルマでおきまりの三田へ向かう。
三田には、世界一のショコラティエ・小山進さんの名店エス・コヤマがある。
世界で何度も栄冠に輝いた珠玉のチョコレートたちや、
名物コヤマロールを筆頭に、一度食べたら忘れられない美しい宝石たちが揃う。
孫を産むという大仕事を成し遂げた嫁に、親父がご褒美だと大盤振る舞い(笑)。
「この棚、端から端まで全部くれ」を本当にやる人、初めて見たよ(笑)
嫁も恐縮しながら、嬉しそうだ。
いつもならそこから、同じ三田にある料亭「藤の坊」へ行くところ。
ここも素晴らしいお店で、いつぞやは生涯最大級のマツタケをいただいた。
毎年冬に親父が送ってくれるここの美味しい牡丹鍋は、
我が家の冬の最大のお楽しみのひとつだ。
ところが今回は、つい一昨日に親父が行ったばかりだということで、
別の場所に「関西風の本物のすき焼き」を食べに行くことに。
それが、これ。
いわゆる横浜発祥の関東の「牛鍋」と違って、「割り下」をつかわない。
牛脂をひいた鍋にザラメと薄口醤油を入れるだけ。
そこに神戸牛。
最高級の黒毛和牛を贅沢にドンと入れて「焼く」。
これを溶き卵でいただく。下がとろけるほっぺが落ちる。
あっさりとした山芋のタレもあり、これまた肉の旨みがダイレクトに。
これを知ってしまったら…もう…ああ不幸の始まり(笑)。
神戸発祥の関西風純すき焼き。
イギリス人が牛肉を食べたがって、日本人に捌き方や作り方を教え、
農耕具の「すき」の上で「焼いた」のが始まりだとか。
そんな「本物のすき焼き」を食べさせてくれるのは、
大阪「ニッポンイチ」の交差点近くにある、創業140年の老舗「本せきぐち」です。
ぜひ一度。うまいよ………。
ところで、親父を知る人々の間では「祖父そっくり」と噂の我が息子。
目鼻立ちもさることながら、今回なんと、こんなところに新発見。
我が息子、生まれながらに特徴的な耳たぶの「折れ線」があるのだが、
なんと同じものが祖父の耳にも。それも同じ左耳。
なんと力強い隔世遺伝。ジョースター家か(笑)。
そんなとこまで瓜ふたつな孫を抱え、ニコニコ上機嫌の祖父。
よかったよかった。
結びに嫁の名言を。
「あなたとあなたのお父さんの子供を産んでしまったのかしら…私の要素がどこにも見当たらないんだけど…」