酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

大銀座落語祭~話芸に心和んだ日

2008-07-22 00:08:50 | カルチャー
 予告通り先日(19日)足を運んだ大銀座落語祭の感想を記すことにする。

 誘ってくれたT君(サラリーマン時代の後輩)の的を射た解説も、鑑賞の大きな助けになった。ラインアップは下記の通りで、両会場には幅広い年齢層が詰め掛けていた。

□午後の部(博品館劇場)=柳家甚語楼、柳家権太楼、笑福亭風喬、古今亭志ん橋、柳家小里ん、笑福亭松喬
□夜の部(銀座ブロッサム中央会館)=柳家花緑VS渡辺正行・ラサール石井・小宮孝泰の会、清水ミチコ、春風亭昇太

 午後の部のT君の一押しは柳家権太楼で、演目は「幕末太陽傳」(57年、川島雄三)のベースになった「居残り佐平次」だった。アドリブと独自の解釈を織り込んだテンポ良い長講に、笑いが途切れることはなかった。

 午後の部の演者は、一括りにすると伝統話芸の継承たちだった。笑福亭松喬が上方と江戸の違いを、枕の部分で説明してくれる。見台、小拍子の使用やお囃子は、上方落語独特のスタイルらしい、

 夜の部は大張り切りの赤信号がコントまで披露したこともあり、時間との戦いになる。小宮が「相棒シーズンⅠ」で噺家を演じていたことを思い出した。

 清水ミチコの批判精神や時事ネタへの早い反応に感心した。ピアノの弾き語りで「ヤスハ、ヤスハ」と歌い出すと、春風亭小朝が袖から登場し、会場がドッと沸く。<カメレオンウーマン>は実生活でもTPOに応じて、桃井かおり風、大竹しのぶ風とキャラを変えているのだろうか。

 柳家花緑と春風亭昇太は時間短縮にもめげず、センスを感じさせる話芸を披露した。空気を読む力、切れ味、スピード感は抜群で、機会を改めじっくり聴きたいと思ったが、チケット入手は容易ではないという。ブームの実相を遅まきながら知ることになった。

 プログラムに掲載されていなかったギタレレ漫談のぴろきは、まさに拾い物だった。押せ押せのため、休憩中に現れた昇太の絶賛を受ける形での登場となる。俺も冴えない男ゆえ、その芸風に強いシンパシーを覚えた。ぜひブレークしてほしい芸人だ。

 能天気な俺でさえ、鬱々たる気分になることもある。そんな時は志ん生ら名人のCDで心を和ませてきたが、生落語の味わいは格別だった。閉塞感に覆われた現在の日本で、落語は清涼剤の役割を果たしているのだろう。

 大銀座落語祭は今回がファイナルになるという。来年もう一度と思ったのに残念でならない。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« あまりにユニークな父の思い出 | トップ | プロレスは虚実の皮膜にあり... »

コメントを投稿

カルチャー」カテゴリの最新記事