一陽来復を実感した09年最後の稿を、亀岡のネットカフェで更新している。
読者の方はご存じの通り、今年の前半、妹が死の淵をさ迷った。退院後も人工透析のため通院しているが、現在は日常生活に支障がない状態だ。病院関係者だけでなく、妹を支えてくれた親族や知人に感謝したい。
俺自身はといえば、Uターンが一転、東京砂漠に居残ることになった。出来の悪いロートルにも温かい職場で、余分なストレスと無縁の日々を過ごしている。どうやら俺は、運だけで世間を渡っているようだ。夏から秋にかけて糖分過剰摂取で体調を崩したが、摂生に努めるやたちまち旧に復し、ここ数年ない最高の体調で新年を迎える。
知的好奇心が甦った年でもあり、読書、映画に割く時間が大幅に増えた。以下にジャンル別の私的ベストワンを挙げることにする。
まずは本から。「楽園への道」(バルガス・リョサ)、「太陽を曳く馬」(高村薫)も読み応えがあったが、最大の収穫は平野啓一郎の〝発見〟で、「決壊」と「ドーン」には瞠目させられた。年末年始は「高瀬川」など短編集を読むつもりだ。
「チェ 28歳の革命」、「ハゲタカ」、「重力ピエロ」、「空気人形」、「私の中のあなた」など多くの映画に感銘を受けたが、ベストワンは「スラムドッグ$ミリオネア」だ。善と悪、罪と罰を超越した疾走感あるラブストーリーにカタルシスを覚えた。
ロックは最前線に復帰したばかりなので、サンプル不足は否めない。ベテラン勢ではマニック・ストリート・プリーチャーズ、ソニック・ユース、パール・ジャムが、充実した新譜で健在ぶりを見せつけた。「1984」(オーウェル)をモチーフにミューズが構築した「レジスタンス」の実験性も評価したい。
ヤー・ヤー・ヤーズの「イッツ・ブリッツ」、ホラーズの「プライマリー・カラーズ」を逆転してベストアルバムに輝いたのが、先日まとめ買いした中の一枚、ダーティー・プロジェクターズの「ビッテ・オルカ」だ。<ポストロック>を象徴する斬新さと懐かしさを合わせ持つアルバムで、末長く愛聴盤になりそうだ。本作については機会を改めて記すことにする。
世間的に今年最大のニュースは日米の〝チェンジ〟だ。茨の道を歩むオバマ大統領だが、最大の懸案というべき医療保険改革法案がクリスマスイブに上院で可決された。皆保険制度は先進国の常識だが、米国民の多くは<社会主義的>として反発している。資本主義(アメリカ)であれ、世襲主義(北朝鮮)であれ、独裁国家の徹底したメディアコントロールが大衆の理性を奪うことを思い知らされた。
翻って日本はどうか。民主党支持者ではない俺が政権交代を望んだのは、副作用として社会が活性化することを期待したからだが、閉塞感は変わらない。自民党のさらなる凋落が予想される現在、一党独裁の構図はそのまま、担い手が代わっただけという事態になりかねない。
総選挙直前、<不気味なほど静かな革命>(8月22日の稿)と記したが、そもそも<革命>とは遠かったのか。投票だけではなく、常に意思表示する姿勢を保つことが民主主義の礎である。<抵抗の力学>を喪失した日本人に、明るい未来は訪れるだろうか。
日本に必要なのは淀んだ空気を変える<狂おしく熱い革命>だ。失うものが少なくなった分、自由になった若い世代の怒りと野性に期待したい。2010年が胎動のスタートになることを願っている。
最後に、感謝を。この一年、独り善がりの戯言にお付き合いいただき、ありがとうございます。来る年が読者の皆さまに幸多きことを祈っています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_uru.gif)
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読者の方はご存じの通り、今年の前半、妹が死の淵をさ迷った。退院後も人工透析のため通院しているが、現在は日常生活に支障がない状態だ。病院関係者だけでなく、妹を支えてくれた親族や知人に感謝したい。
俺自身はといえば、Uターンが一転、東京砂漠に居残ることになった。出来の悪いロートルにも温かい職場で、余分なストレスと無縁の日々を過ごしている。どうやら俺は、運だけで世間を渡っているようだ。夏から秋にかけて糖分過剰摂取で体調を崩したが、摂生に努めるやたちまち旧に復し、ここ数年ない最高の体調で新年を迎える。
知的好奇心が甦った年でもあり、読書、映画に割く時間が大幅に増えた。以下にジャンル別の私的ベストワンを挙げることにする。
まずは本から。「楽園への道」(バルガス・リョサ)、「太陽を曳く馬」(高村薫)も読み応えがあったが、最大の収穫は平野啓一郎の〝発見〟で、「決壊」と「ドーン」には瞠目させられた。年末年始は「高瀬川」など短編集を読むつもりだ。
「チェ 28歳の革命」、「ハゲタカ」、「重力ピエロ」、「空気人形」、「私の中のあなた」など多くの映画に感銘を受けたが、ベストワンは「スラムドッグ$ミリオネア」だ。善と悪、罪と罰を超越した疾走感あるラブストーリーにカタルシスを覚えた。
ロックは最前線に復帰したばかりなので、サンプル不足は否めない。ベテラン勢ではマニック・ストリート・プリーチャーズ、ソニック・ユース、パール・ジャムが、充実した新譜で健在ぶりを見せつけた。「1984」(オーウェル)をモチーフにミューズが構築した「レジスタンス」の実験性も評価したい。
ヤー・ヤー・ヤーズの「イッツ・ブリッツ」、ホラーズの「プライマリー・カラーズ」を逆転してベストアルバムに輝いたのが、先日まとめ買いした中の一枚、ダーティー・プロジェクターズの「ビッテ・オルカ」だ。<ポストロック>を象徴する斬新さと懐かしさを合わせ持つアルバムで、末長く愛聴盤になりそうだ。本作については機会を改めて記すことにする。
世間的に今年最大のニュースは日米の〝チェンジ〟だ。茨の道を歩むオバマ大統領だが、最大の懸案というべき医療保険改革法案がクリスマスイブに上院で可決された。皆保険制度は先進国の常識だが、米国民の多くは<社会主義的>として反発している。資本主義(アメリカ)であれ、世襲主義(北朝鮮)であれ、独裁国家の徹底したメディアコントロールが大衆の理性を奪うことを思い知らされた。
翻って日本はどうか。民主党支持者ではない俺が政権交代を望んだのは、副作用として社会が活性化することを期待したからだが、閉塞感は変わらない。自民党のさらなる凋落が予想される現在、一党独裁の構図はそのまま、担い手が代わっただけという事態になりかねない。
総選挙直前、<不気味なほど静かな革命>(8月22日の稿)と記したが、そもそも<革命>とは遠かったのか。投票だけではなく、常に意思表示する姿勢を保つことが民主主義の礎である。<抵抗の力学>を喪失した日本人に、明るい未来は訪れるだろうか。
日本に必要なのは淀んだ空気を変える<狂おしく熱い革命>だ。失うものが少なくなった分、自由になった若い世代の怒りと野性に期待したい。2010年が胎動のスタートになることを願っている。
最後に、感謝を。この一年、独り善がりの戯言にお付き合いいただき、ありがとうございます。来る年が読者の皆さまに幸多きことを祈っています。
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