台風24号が日本列島を縦断する中、沖縄知事選は翁長氏の遺志を継いだ玉城デニー氏が勝ち、辺野古基地移設反対の民意が示された。〝本籍アメリカ〟の安倍首相が対応を変えるとは思えないが、来年の参院選に向け、変化の兆しが現れることを願う。
ハリウッドに進出した中国のトップ女優、ファン・ビンビンが脱税容疑で当局に軟禁中だ。格差に喘ぐ庶民に阿るため、共産党は彼女を見せしめにするつもりだろう。中国映画はアジアを席巻しているが、最大の〝被害者〟は香港ではないか。独立派の政党は活動を禁止され、映画界も衰退の一途を辿っている。
香港映画「十年」(2015年)は<非情な抑圧者VS存在を懸けて抗議する者>の構図が明確で、中国共産党への怒りに満ちていた。「十年」プロジェクトは現在、アジア各国で進行中だが、日本版の監修総指揮は是枝裕和監督が担当している。
質的にアジア映画を牽引しているのは韓国だ。「息もできない」(ヤン・イクチュン監督)は〝ヌーヴェルバーグ以来の衝撃〟と世界で絶賛され、「母なる証明」(ポン・ジュノ監督)や「嘆きのピエタ」(キム・ギドク監督)など人間の深淵と原罪を描く作品は枚挙にいとまない。
「義兄弟~SECRET REUNION」(チャン・フン監督)、「ベルリン・ファイル」(リュ・スンワン監督)などハリウッドに引けを取らぬアクションエンターテインメントの底にあるのは、南北分断のシビアな現実だ。今年6月に紹介した「タクシー運転手 約束は海を越えて」(チャン・フン監督)は光州事件の真実に迫っていたが、シネマート新宿で観賞した「1987、ある闘いの真実」(17年、チャン・ジュナン監督)も軍事政権の闇を抉っていた。殆どのキャラクターは実在の人物をモデルにしており、史実をベースにしている。
独裁政権下では凄まじい言論弾圧が横行していた。主導するパク所長(キム・ユンソク)に、チェ検事(ハ・ジョンウ)が正義と法を掲げて対峙する。ソウル大生の拷問死はメディアの奮闘もあり明らかになるが、大統領府の圧力で捜査にブレーキがかかる。キムとハはダークでヘビーな「チェイサー」や「哀しき獣」でW主演を務めていた。
ハン・ビョンヨン看守(ユ・ヘンジ)は刑務所と民主化運動家を繋ぐ〝鳩〟だ。協力していた姪のヨニ(キム・テリ)は、デモに巻き込まれた際に知り合ったイ・ハニュル(カン・ドンウォン)の影響で、独裁政権に疑問を抱くようになる。「義兄弟」で北朝鮮工作員役だったカンは、実年齢より15歳下の大学生を演じていた。
パク所長は少年時代、目の前で家族を殺された脱北者という設定で、北朝鮮への憎悪を剥き出しにしている。最近の和平ムードとはズレているが、<反共=愛国>が当時の、いや、少し前までの韓国の空気だった。パク所長、そして憲法改正で独裁延長を謀る全斗煥大統領はソウル五輪前年、身を賭した抵抗運動で次第に追い詰められていく。
若者たちは抗議集会で韓国国歌を唱和する。日本では<権力に従順な者=愛国者>が常識になっているが、それはナショナリズムの誤解で、右派はアメリカに隷従する安倍首相を愛国者と崇めている。一方で、翁長前知事への敬意を表した安室奈美恵はネットで〝反日〟のレッテルを貼られる始末だ。
朴前大統領と安倍首相はともに国家を私物化したが、失脚した大統領と対照的に首相は3選を果たす。この違いは<言葉の身体性>の差に起因する。韓国では「膝をついて生きるよりは立ったままで死のうじゃないか」を実践した若者たちの屍の上に民主主義が築かれた。日本では全共闘世代、そして1世代下の俺も、時代閉塞をつくり出した責任を負っている。
恋愛や家族の絆を織り込んだ本作に熱く湿った心は終映後、一気に冷えた。館内を見渡すと、客の大半は俺と同じ中高年層で、感応してほしい若者の姿が見えなかったからである。
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ハリウッドに進出した中国のトップ女優、ファン・ビンビンが脱税容疑で当局に軟禁中だ。格差に喘ぐ庶民に阿るため、共産党は彼女を見せしめにするつもりだろう。中国映画はアジアを席巻しているが、最大の〝被害者〟は香港ではないか。独立派の政党は活動を禁止され、映画界も衰退の一途を辿っている。
香港映画「十年」(2015年)は<非情な抑圧者VS存在を懸けて抗議する者>の構図が明確で、中国共産党への怒りに満ちていた。「十年」プロジェクトは現在、アジア各国で進行中だが、日本版の監修総指揮は是枝裕和監督が担当している。
質的にアジア映画を牽引しているのは韓国だ。「息もできない」(ヤン・イクチュン監督)は〝ヌーヴェルバーグ以来の衝撃〟と世界で絶賛され、「母なる証明」(ポン・ジュノ監督)や「嘆きのピエタ」(キム・ギドク監督)など人間の深淵と原罪を描く作品は枚挙にいとまない。
「義兄弟~SECRET REUNION」(チャン・フン監督)、「ベルリン・ファイル」(リュ・スンワン監督)などハリウッドに引けを取らぬアクションエンターテインメントの底にあるのは、南北分断のシビアな現実だ。今年6月に紹介した「タクシー運転手 約束は海を越えて」(チャン・フン監督)は光州事件の真実に迫っていたが、シネマート新宿で観賞した「1987、ある闘いの真実」(17年、チャン・ジュナン監督)も軍事政権の闇を抉っていた。殆どのキャラクターは実在の人物をモデルにしており、史実をベースにしている。
独裁政権下では凄まじい言論弾圧が横行していた。主導するパク所長(キム・ユンソク)に、チェ検事(ハ・ジョンウ)が正義と法を掲げて対峙する。ソウル大生の拷問死はメディアの奮闘もあり明らかになるが、大統領府の圧力で捜査にブレーキがかかる。キムとハはダークでヘビーな「チェイサー」や「哀しき獣」でW主演を務めていた。
ハン・ビョンヨン看守(ユ・ヘンジ)は刑務所と民主化運動家を繋ぐ〝鳩〟だ。協力していた姪のヨニ(キム・テリ)は、デモに巻き込まれた際に知り合ったイ・ハニュル(カン・ドンウォン)の影響で、独裁政権に疑問を抱くようになる。「義兄弟」で北朝鮮工作員役だったカンは、実年齢より15歳下の大学生を演じていた。
パク所長は少年時代、目の前で家族を殺された脱北者という設定で、北朝鮮への憎悪を剥き出しにしている。最近の和平ムードとはズレているが、<反共=愛国>が当時の、いや、少し前までの韓国の空気だった。パク所長、そして憲法改正で独裁延長を謀る全斗煥大統領はソウル五輪前年、身を賭した抵抗運動で次第に追い詰められていく。
若者たちは抗議集会で韓国国歌を唱和する。日本では<権力に従順な者=愛国者>が常識になっているが、それはナショナリズムの誤解で、右派はアメリカに隷従する安倍首相を愛国者と崇めている。一方で、翁長前知事への敬意を表した安室奈美恵はネットで〝反日〟のレッテルを貼られる始末だ。
朴前大統領と安倍首相はともに国家を私物化したが、失脚した大統領と対照的に首相は3選を果たす。この違いは<言葉の身体性>の差に起因する。韓国では「膝をついて生きるよりは立ったままで死のうじゃないか」を実践した若者たちの屍の上に民主主義が築かれた。日本では全共闘世代、そして1世代下の俺も、時代閉塞をつくり出した責任を負っている。
恋愛や家族の絆を織り込んだ本作に熱く湿った心は終映後、一気に冷えた。館内を見渡すと、客の大半は俺と同じ中高年層で、感応してほしい若者の姿が見えなかったからである。
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