「美しい国づくりを再スタートさせるために本日、内閣改造を行いました」……。改造直後の安倍首相の第一声である。いまだ「戦後レジームからの脱却」に固執しているようだ。
最新世論調査で内閣支持率は、読売44%、共同通信40%、朝日33%と上昇カーブを描いた。ご祝儀とはいえ、日本人の優しさが反映した数字といえるだろう。識者の声は厳しく、首相の真意が掴めぬ<妖怪内閣>という分析が大半を占めていた。
与謝野氏と額賀氏を官房長官と財務相に据えたのは、経済政策転換のサインだろうか? 確執が伝えられた伊吹文科相と山谷えり子補佐官(教育再生担当)だけでなく、官邸を仕切れなかった的場官房副長官も、なぜか留任だった。党人事も謎だらけである。参院選惨敗の責めを負うべき石原氏(前幹事長代理)が政調会長に昇格とは……。外交方針で安倍首相と対極にある二階氏の総務会長就任も驚きだった。
あれこれ書いても所詮は受け売りだが、個人的に最も注目していたのは農水相のポストだった。
政府が計画している農業企業化が実行に移されたら、中小農家はたちまち淘汰される。アメリカに追随する自民党に対し、独仏をモデルに農家を保護し、食料自給率アップを目指すのが民主党だ。与党サイドはバラマキと攻撃するが、70%を超えていた自給率を40年で30%以上ダウンさせ、農業を疲弊させた自民党に、民主党を批判する資格はない。
農業問題は食の安全、環境、エネルギーともリンクする。世界の人口の30%は餓死と背中合わせだが、トウモロコシ、小麦、大豆は彼らを素通りし、バイオエタノールの原料になる。これこそが、グローバルな格差の真実なのだ。
中川(昭一)氏と武部氏は、WTO交渉が不調に終わるのを見越して農水相を固辞したという。遠藤氏は「これ(農水相)だけは勘弁してほしかった」と、貧乏クジを引いたことを広言していた。農業問題は日本の存亡に関わるはずなのに、これほど適当な閣僚人事でいいのだろうか。民主党に論戦を挑まれ、立ち往生する姿が目に浮かぶ。
俺の義弟は公務員だが、仕事の合間に農業を営んでいる。「食いっぱぐれたら使ってくれ」と冗談っぽく話したら、「農業じゃ生活は成り立たない」と言われてガックリした。晩年は農夫になり、晴耕雨読の生活を目論んでいたが、実現しそうもない。寺男という代案も温めているが、親類の寺は使ってくれるだろうか。
最新世論調査で内閣支持率は、読売44%、共同通信40%、朝日33%と上昇カーブを描いた。ご祝儀とはいえ、日本人の優しさが反映した数字といえるだろう。識者の声は厳しく、首相の真意が掴めぬ<妖怪内閣>という分析が大半を占めていた。
与謝野氏と額賀氏を官房長官と財務相に据えたのは、経済政策転換のサインだろうか? 確執が伝えられた伊吹文科相と山谷えり子補佐官(教育再生担当)だけでなく、官邸を仕切れなかった的場官房副長官も、なぜか留任だった。党人事も謎だらけである。参院選惨敗の責めを負うべき石原氏(前幹事長代理)が政調会長に昇格とは……。外交方針で安倍首相と対極にある二階氏の総務会長就任も驚きだった。
あれこれ書いても所詮は受け売りだが、個人的に最も注目していたのは農水相のポストだった。
政府が計画している農業企業化が実行に移されたら、中小農家はたちまち淘汰される。アメリカに追随する自民党に対し、独仏をモデルに農家を保護し、食料自給率アップを目指すのが民主党だ。与党サイドはバラマキと攻撃するが、70%を超えていた自給率を40年で30%以上ダウンさせ、農業を疲弊させた自民党に、民主党を批判する資格はない。
農業問題は食の安全、環境、エネルギーともリンクする。世界の人口の30%は餓死と背中合わせだが、トウモロコシ、小麦、大豆は彼らを素通りし、バイオエタノールの原料になる。これこそが、グローバルな格差の真実なのだ。
中川(昭一)氏と武部氏は、WTO交渉が不調に終わるのを見越して農水相を固辞したという。遠藤氏は「これ(農水相)だけは勘弁してほしかった」と、貧乏クジを引いたことを広言していた。農業問題は日本の存亡に関わるはずなのに、これほど適当な閣僚人事でいいのだろうか。民主党に論戦を挑まれ、立ち往生する姿が目に浮かぶ。
俺の義弟は公務員だが、仕事の合間に農業を営んでいる。「食いっぱぐれたら使ってくれ」と冗談っぽく話したら、「農業じゃ生活は成り立たない」と言われてガックリした。晩年は農夫になり、晴耕雨読の生活を目論んでいたが、実現しそうもない。寺男という代案も温めているが、親類の寺は使ってくれるだろうか。