五輪に殆ど関心がなく、〝公的臭〟が漂うセレモニーに拒否反応を示す……。かくの如く歪んだ質だが、ロンドンの開会式は楽しみにしていた。ダニー・ボイル=アンダーワールドのタッグとなれば、ロック色が濃くなる可能性が大きいからである。仕事で帰宅は未明だったが、眠さを堪えてテレビ画面に食い入った。
地下鉄を舞台に〝ボーイ・ミーツ・ガール〟が描かれる。「スラムドッグ$ミリオネア」ロンドン版は、ビートルズ、ストーンズ、ザ・フー、デビッド・ボウイらロックレジェンドの曲に彩られた<夢のような1時間>だった。クラッシュ、ジャムらパンク勢もラインアップされていたが、驚いたのはカウントダウン(ミューズの「マップ・オブ・ザ・プロブレマティック」)直前だ。ロンドンの光景にセックス・ピストルズの「ゴッド・セイブ・ザ・クイーン」(放送禁止曲)が重なり、本編では「プリティ・ヴェイカント」が他の曲より長めに流れていた。
感動をもう一度と、再放送(午後2時)にチャンネルを合わせたら、<夢のような1時間>は丸々カットされている。これが、NHKのセンスということか。掉尾を飾った「ヘイ・ジュード」にノスタルジックな気分を味わった。ポール・マッカートニーは老けていたが、楽曲の力は褪せることがない。
初体験を楽しみにしていた隅田川の花火だが、協賛費を払って観覧席を準備してくれた人が、詮方なき事情で参加出来なくなる。楽しみを来年に持ち越せればいいが、定まりなき人の縁は、夢のように砕け散るかもしれない。テレビ中継では味気なく、音を消して目を瞑り、心に光の華を咲かせた。
前々稿で<29日はパスし、前日に中野で開催される集会とデモに足を運ぶ>と記したが、急きょ予定を変更し、「脱原発~国会大包囲」に参加した。仕事先の先輩Yさんに、「PANTAグループとして行かないか」と誘われたからである。ちなみにYさんとPANTAさんとは親友だ。フェイスブックで集合地点を知った人を含め、30人以上で国会へ向かう。
別稿(7月21日)で金曜恒例の官邸前デモについて冷ややかに記したが、スピーチエリアという最悪の場所に陣取ったことで、俺は本質を見誤っていた。まず、参加者の層の広がりに改めて驚いた。20歳前後とおぼしき女性数人組、幼子を連れた家族、老人会、カップル、単身者……。老若男女が様々な形で集まっている。目を見張ったのは各自の想像力と創意工夫だ。お手製のTシャツ、帽子、団扇、ボードに思い思いのメッセージが書き込まれていた。
何より驚いたのは情熱である。三々五々、国会を包囲した参加者は、行動が終わる8時まで3時間も声を嗄らし続ける。シュプレヒコールの音頭を取る者はいないが、誰もが思いの丈を暮れなずむ夜空にぶつけていた。驚いたカラスが、ヘリコプターの下を所在無げに舞っていた。
騒然とした方向へ行ってみると、進入禁止だった車道に参加者が溢れている。その横のスピーチエリアで国会議員(恐らく亀井静香氏)がアピールしていたが、参加者の「再稼働反対」「原発いらない」に掻き消されて何も聞こえない。間接民主主義が泥に塗れた今、直接民主主義で意志を示すしかない……。そんな参加者の思いが国会を超えた。俺は歴史的な現場に居合わせたのかもしれない。
カラフルな反原発運動を、俺は1930年前後のうねりと重ねているが、捉え方は人それぞれだ。60年安保や全共闘運動と比較する人、アラブの春、天安門広場、ウォール街占拠運動、東欧の体制崩壊との共通点を指摘する人もいる。
非効率な原発抜きでも電力は十二分に賄えるが、問題なのは廃炉に至る道筋と、その過程で生じる膨大な経費だ。巨大な壁は壊すためには、野田政権を倒した先を見据え、リアリティーある方針が求められる。実現性ある夢を示せないと、デモを烏合の衆と嗤う連中の思うツボになる。
デモ後、PANTAさん、Yさんら数人で一席設けた。PANTAさんは頭脳警察(1972年)でパンクの空気を先取りし、解散後も傑作を次々に送り出した。PANTA&HALの「マラッカ」(79年)と「1980X」(80年)は邦楽ロック史上のツインピークスであるばかりか、コンセプトといいサウンドといい、世界の最先端に位置するアルバムだった。PANTAさんは俺にとって、ピート・タウンゼント、パティ・スミス、ジョー・ストラマーと並ぶ<ロックイコン>である。
お会いして驚いたのが、その謙虚さ、気配り、懐の深さだ。「(頭脳警察の)構成はTレックスの影響ですか」なんてぶしつけに聞く俺に丁寧に答えてくれる。上記の2作に加え、重信房子さんが作詞を担当した「オリーブの樹の下」(07年)を好きなアルバムとして挙げた。少し間を置いて「クリスタルナハト」(87年)を付け加えると、PANTAさんは「あれはいいでしょう」と笑顔を浮かべた。本人にとってベストアルバムなのだろうか。
PANTAさんというとラディカルというイメージが強いが、その作品から窺える奥深い知性と高い文学性に加え、人間性にも惚れた。PANTAさんと再会するため、アコースティックライブのチケットを申し込んだ。ゲット出来たら幸いである。
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地下鉄を舞台に〝ボーイ・ミーツ・ガール〟が描かれる。「スラムドッグ$ミリオネア」ロンドン版は、ビートルズ、ストーンズ、ザ・フー、デビッド・ボウイらロックレジェンドの曲に彩られた<夢のような1時間>だった。クラッシュ、ジャムらパンク勢もラインアップされていたが、驚いたのはカウントダウン(ミューズの「マップ・オブ・ザ・プロブレマティック」)直前だ。ロンドンの光景にセックス・ピストルズの「ゴッド・セイブ・ザ・クイーン」(放送禁止曲)が重なり、本編では「プリティ・ヴェイカント」が他の曲より長めに流れていた。
感動をもう一度と、再放送(午後2時)にチャンネルを合わせたら、<夢のような1時間>は丸々カットされている。これが、NHKのセンスということか。掉尾を飾った「ヘイ・ジュード」にノスタルジックな気分を味わった。ポール・マッカートニーは老けていたが、楽曲の力は褪せることがない。
初体験を楽しみにしていた隅田川の花火だが、協賛費を払って観覧席を準備してくれた人が、詮方なき事情で参加出来なくなる。楽しみを来年に持ち越せればいいが、定まりなき人の縁は、夢のように砕け散るかもしれない。テレビ中継では味気なく、音を消して目を瞑り、心に光の華を咲かせた。
前々稿で<29日はパスし、前日に中野で開催される集会とデモに足を運ぶ>と記したが、急きょ予定を変更し、「脱原発~国会大包囲」に参加した。仕事先の先輩Yさんに、「PANTAグループとして行かないか」と誘われたからである。ちなみにYさんとPANTAさんとは親友だ。フェイスブックで集合地点を知った人を含め、30人以上で国会へ向かう。
別稿(7月21日)で金曜恒例の官邸前デモについて冷ややかに記したが、スピーチエリアという最悪の場所に陣取ったことで、俺は本質を見誤っていた。まず、参加者の層の広がりに改めて驚いた。20歳前後とおぼしき女性数人組、幼子を連れた家族、老人会、カップル、単身者……。老若男女が様々な形で集まっている。目を見張ったのは各自の想像力と創意工夫だ。お手製のTシャツ、帽子、団扇、ボードに思い思いのメッセージが書き込まれていた。
何より驚いたのは情熱である。三々五々、国会を包囲した参加者は、行動が終わる8時まで3時間も声を嗄らし続ける。シュプレヒコールの音頭を取る者はいないが、誰もが思いの丈を暮れなずむ夜空にぶつけていた。驚いたカラスが、ヘリコプターの下を所在無げに舞っていた。
騒然とした方向へ行ってみると、進入禁止だった車道に参加者が溢れている。その横のスピーチエリアで国会議員(恐らく亀井静香氏)がアピールしていたが、参加者の「再稼働反対」「原発いらない」に掻き消されて何も聞こえない。間接民主主義が泥に塗れた今、直接民主主義で意志を示すしかない……。そんな参加者の思いが国会を超えた。俺は歴史的な現場に居合わせたのかもしれない。
カラフルな反原発運動を、俺は1930年前後のうねりと重ねているが、捉え方は人それぞれだ。60年安保や全共闘運動と比較する人、アラブの春、天安門広場、ウォール街占拠運動、東欧の体制崩壊との共通点を指摘する人もいる。
非効率な原発抜きでも電力は十二分に賄えるが、問題なのは廃炉に至る道筋と、その過程で生じる膨大な経費だ。巨大な壁は壊すためには、野田政権を倒した先を見据え、リアリティーある方針が求められる。実現性ある夢を示せないと、デモを烏合の衆と嗤う連中の思うツボになる。
デモ後、PANTAさん、Yさんら数人で一席設けた。PANTAさんは頭脳警察(1972年)でパンクの空気を先取りし、解散後も傑作を次々に送り出した。PANTA&HALの「マラッカ」(79年)と「1980X」(80年)は邦楽ロック史上のツインピークスであるばかりか、コンセプトといいサウンドといい、世界の最先端に位置するアルバムだった。PANTAさんは俺にとって、ピート・タウンゼント、パティ・スミス、ジョー・ストラマーと並ぶ<ロックイコン>である。
お会いして驚いたのが、その謙虚さ、気配り、懐の深さだ。「(頭脳警察の)構成はTレックスの影響ですか」なんてぶしつけに聞く俺に丁寧に答えてくれる。上記の2作に加え、重信房子さんが作詞を担当した「オリーブの樹の下」(07年)を好きなアルバムとして挙げた。少し間を置いて「クリスタルナハト」(87年)を付け加えると、PANTAさんは「あれはいいでしょう」と笑顔を浮かべた。本人にとってベストアルバムなのだろうか。
PANTAさんというとラディカルというイメージが強いが、その作品から窺える奥深い知性と高い文学性に加え、人間性にも惚れた。PANTAさんと再会するため、アコースティックライブのチケットを申し込んだ。ゲット出来たら幸いである。
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