紅白で「NUKE IS OVER」と書かれた斉藤和義のギターストラップが話題になったが、モンゴル800も先日、「ミュージックステーション」で反原発、反オスプレイを歌詞とTシャツでアピールした。ロックはこうでなけりゃ、存在する理由はない。
沖縄の各首長や選出国会議員は、オスプレイ配備撤回を安倍晋三首相に要請した。〝自称ナショナリスト〟の安倍氏は、自身の本籍地がワシントンなのか東京なのか試されている。米軍基地がある以上、日本人の手は他国で流された血でべったり汚れている。日本と戦争の距離を最も正確に把握しているのは沖縄の人たちだ。
ケイズシネマ(新宿)で先日、「アルマジロ」(ヤヌス・メッツ監督、10年/デンマーク)を見た。戦争のリアルさを内側から接写した斬新なドキュメンタリーである。アフガニスタンのアルマジロ基地で、メッツ監督はデンマーク人部隊と半年間、起居をともにして、時に最前線で銃弾をくぐる。
主要な登場人物はメス、ダニエル、ラスムス、キムだ。デンマークには兵役制度があるが、拒否することも出来る。その場合は海外での援助活動など、代替業務に就くという。デンマーク人は自由を好み、上下関係も緩やかだ。メスら4人もデンマークの風土で育っており、赴任地がアフガニスタンと聞いてショックを受けた者もいた。戦争に不可欠といえる<大義>を見いだすのが難しいからだ。
デンマーク軍とイギリス軍で編成された国際支援部隊(ISAF)は、タリバンと対峙するだけでなく、当地の民衆を味方につけるという任務を帯びている。とはいえ完全なアウェー状態で、大人たちはタリバンと気脈を通じ、子供たちにはなめられている。タリバンと民衆に楔を打つどころが、ISAFの情報が洩れている疑いが濃厚だ。ベトナム戦争で米兵が味わった孤立感、焦燥、不可視の恐怖がデンマーク兵を蝕んでいく。
スペイン市民戦争のルポルタージュ「カタロニア讃歌」(ジョージ・オーウェル)にも記されていたように、戦争といっても常に戦闘状態が続くわけではない。デンマーク兵は明らかに倦んでいて、基地では戦争ゲームに興じたり、ポルノを観賞したりで退屈を紛らわせている。携帯で郷里の家族と話す者もいて、そのあたりの規律のなさが、後半で無用な混乱を招く。
国際的に通用するかは別に、タリバンにはアフガニスタンから他国軍を追放するという<大義>がある。加えて地の利があり、民衆を巧みに盾として用いている。作品で説明はなかったが、中国の最新武器がタリバンに流れているという。米、中、露、英、仏の国連常任理事国は揃って武器輸出国で、戦闘が起きれば儲かるという歪んだ仕組みが成立している。「ここで死ねるか」というデンマーク兵の空気は、地雷を踏んだ4人の同胞が死傷したことで一変した。
突撃隊に志願した兵士は、国際試合に臨むサッカー選手のように気合が漲っていた。タリバンの数え方も「1匹、2匹」になり、覚醒した若者たちは狂気の縁にまでたどり着く。彼らを直ちに正気に戻したのは、あっけなく手にした戦果だった。
「ディア・ハンター」では、戦場の狂気に麻痺したニック(クリストファー・ウォーケン)が、ロシアンルーレットを生業にしていた。デンマークの若者たちにも、ニックほどではないにせよ変化が訪れる。いったん帰国した上記の4人が再度アフガニスタンに赴いたことが、エンドロールで明かされる。戦場のスリルと興奮、そして達成感と連帯感は、一度味わってしまえば逃れられない麻薬なのかもしれない。
1945年以降、戦地に赴くことがなかった日本人だが、企業や役所で無名の戦士になった。理不尽であっても排他的であっても、組織に身を委ねることは、ある種の精神安定剤だった。非正規が常態になれば、日本人の精神風土は変わるかもしれない。悪い方に向かうなら、硬質なナショナリズムとの直結である。
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沖縄の各首長や選出国会議員は、オスプレイ配備撤回を安倍晋三首相に要請した。〝自称ナショナリスト〟の安倍氏は、自身の本籍地がワシントンなのか東京なのか試されている。米軍基地がある以上、日本人の手は他国で流された血でべったり汚れている。日本と戦争の距離を最も正確に把握しているのは沖縄の人たちだ。
ケイズシネマ(新宿)で先日、「アルマジロ」(ヤヌス・メッツ監督、10年/デンマーク)を見た。戦争のリアルさを内側から接写した斬新なドキュメンタリーである。アフガニスタンのアルマジロ基地で、メッツ監督はデンマーク人部隊と半年間、起居をともにして、時に最前線で銃弾をくぐる。
主要な登場人物はメス、ダニエル、ラスムス、キムだ。デンマークには兵役制度があるが、拒否することも出来る。その場合は海外での援助活動など、代替業務に就くという。デンマーク人は自由を好み、上下関係も緩やかだ。メスら4人もデンマークの風土で育っており、赴任地がアフガニスタンと聞いてショックを受けた者もいた。戦争に不可欠といえる<大義>を見いだすのが難しいからだ。
デンマーク軍とイギリス軍で編成された国際支援部隊(ISAF)は、タリバンと対峙するだけでなく、当地の民衆を味方につけるという任務を帯びている。とはいえ完全なアウェー状態で、大人たちはタリバンと気脈を通じ、子供たちにはなめられている。タリバンと民衆に楔を打つどころが、ISAFの情報が洩れている疑いが濃厚だ。ベトナム戦争で米兵が味わった孤立感、焦燥、不可視の恐怖がデンマーク兵を蝕んでいく。
スペイン市民戦争のルポルタージュ「カタロニア讃歌」(ジョージ・オーウェル)にも記されていたように、戦争といっても常に戦闘状態が続くわけではない。デンマーク兵は明らかに倦んでいて、基地では戦争ゲームに興じたり、ポルノを観賞したりで退屈を紛らわせている。携帯で郷里の家族と話す者もいて、そのあたりの規律のなさが、後半で無用な混乱を招く。
国際的に通用するかは別に、タリバンにはアフガニスタンから他国軍を追放するという<大義>がある。加えて地の利があり、民衆を巧みに盾として用いている。作品で説明はなかったが、中国の最新武器がタリバンに流れているという。米、中、露、英、仏の国連常任理事国は揃って武器輸出国で、戦闘が起きれば儲かるという歪んだ仕組みが成立している。「ここで死ねるか」というデンマーク兵の空気は、地雷を踏んだ4人の同胞が死傷したことで一変した。
突撃隊に志願した兵士は、国際試合に臨むサッカー選手のように気合が漲っていた。タリバンの数え方も「1匹、2匹」になり、覚醒した若者たちは狂気の縁にまでたどり着く。彼らを直ちに正気に戻したのは、あっけなく手にした戦果だった。
「ディア・ハンター」では、戦場の狂気に麻痺したニック(クリストファー・ウォーケン)が、ロシアンルーレットを生業にしていた。デンマークの若者たちにも、ニックほどではないにせよ変化が訪れる。いったん帰国した上記の4人が再度アフガニスタンに赴いたことが、エンドロールで明かされる。戦場のスリルと興奮、そして達成感と連帯感は、一度味わってしまえば逃れられない麻薬なのかもしれない。
1945年以降、戦地に赴くことがなかった日本人だが、企業や役所で無名の戦士になった。理不尽であっても排他的であっても、組織に身を委ねることは、ある種の精神安定剤だった。非正規が常態になれば、日本人の精神風土は変わるかもしれない。悪い方に向かうなら、硬質なナショナリズムとの直結である。
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