ヨン様に夢中なおばさんたちを、同世代の男として弁護してみよう。学生時代のマドンナが、阿鼻叫喚の渦中にいても不思議はないのだから。
45~55歳のヨン様ファンは、カタルシスなき「祭りの後」に青春を過ごした世代だ。虚しさと閉塞感が漂っていたあの頃、彼女たちはオフコースに浸り、ユーミンにシンデレラ願望を刺激されたに違いない。優しそうに見えた男を選び今日に至るも、埋まらぬままの空白に韓流ドラマが忍び込んだ。そこに描かれる世界は、オフコースが歌う絵空事めいた愛によく似ている。
45歳以下のヨン様ファンは、マニュアル時代の申し子だ。セックスから恋愛までマニュアルが行き渡り、テレビドラマが敷衍した。「彼が何者であるか」より「彼がどう見えるか」で結婚相手を選び今日に至るも、愛については殆ど知らない。古典的な韓流ドラマにからめとられたのは必然だったのだ。
などど適当に書いたが、明らかに嘘っぽい。他人が何に熱狂しようが大きなお世話だが、問題なのはおばさんたちの「愛情表現の作法」ではあるまいか。
グッズに幾ら費やしたか、「冬ソナ」ビデオを何度見たか、御神体にどこまで近づけたか,訪韓の回数は?……。おばさんたちは目に見えるものを追求する資本主義的競争原理に基づき、稚拙な言動を繰り返している。
でも、希望はある。「量」は必ず「質」に転化する。韓流にのめり込んだおばさんは数百万単位で存在する。その中には、ヨン様を入り口に韓国の文化や歴史を学び、家族に説く人だって出てくるはずだ。
「従軍慰安婦や強制連行という言葉が教科書から減ってよかった」など文科相が発言しようものなら、ヨン様を見送った後に抗議のデモをする……なんてことは、起こりようもないだろうな。