酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

NPB開幕~失意の男たちがベイスターズを救う?

2024-03-31 21:35:54 | スポーツ
 ここ数年、頻繁に横浜スタジアムを訪れるようになり、街にも愛着を抱くようになった。中高生の頃、プロ野球の開幕が待ち遠しかった。当時は巨人ファンだったが、DeNAベイスターズに肩入れするようになって10代の時のときめきが甦った。開幕3連戦は広島相手に2勝1敗だったが、ルーキーの活躍もあり、好スタートを切れた。

 ローテーションを重視する俺は、怠け者でもあり、競馬予想は<二番は利かない>を軸に組み立てている。その伝でいくと、連覇を期待されている阪神も、コケる可能性はある。実際に村上、山田、塩見が揃って数字を落としたヤクルトは昨季、リーグ3連覇を逃した。最下位だった中日はどうかというと、浮上は厳しそうだ。昨季後半、チーム内の不協和音が洩れていたが、自身の好みを押しつける立浪監督の采配に疑問を覚える。

 阪神、広島、横浜、巨人、ヤクルトに優勝の可能性はありそうだが、ヤクルトは山田、広島は外国人2人が開幕早々、離脱したことは痛い。とはいえ、同様のことは他チームにも起こり得る。その点でいうと、ベイスターズの強みは投打とも使える選手が多いことだ。バウアーと今永の分をカバーするのは難しいが、先発可能な投手は多い。三浦監督が打ち出した〝第2先発構想〟を実現出来る頭数は揃っている。

 昨季の阪神はラインアップを固定することで、打線に繋がりが出来た。一方でオリックスは135通りのオーダーで戦っている。ベイスターズは後者に近いと思うが、度会→オースティン→佐野→牧→宮崎が基本ラインになったら、リーグでも屈指の攻撃陣になる。今季から佐竹学氏が走塁アナリストとしてチームに加わったが、その効果はオープン戦でも表れていた。

 ケミストリー、モメンタムという不確定要素が求められるが、ベイスターズを救うとしたら失意の男たちで、まずはオースティンだ。この2年間はサッパリだったが、2番として開幕3連戦に出場し、ハッスルプレーも見せており、汚名返上に燃えていることは間違いない。現在メキシコでプレーしているが、MLB復帰は絶望的なバウアーが6月以降に復帰する可能性はある。

 そして、筒香だ。広島や巨人も触手を伸ばしているとの噂もある。メンバーは固まったから不要という声もあるが、それは間違いだ。宮崎やオースティンにはケガの不安が付きまとう。度会だって、いつ不調になるかわからない。スペア的扱いであっても、筒香は内外野をこなせるユーティリティープレーヤーだ。重し的な存在感をベンチで示すことも出来るだろう。

 ついでに、パ・リーグについて。オリックスとソフトバンクの2強が有力だが、俺は西武に期待している。荒々しさで旋風を巻き起こしてほしい。
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第58回スーパーボウル~マホームズの冷たい緻密さに痺れる

2024-02-14 22:25:40 | スポーツ
 日本時間12日午前にラスベガスで開催された第58回スーパーボウルは、史上最も注目を集めた一戦になった。チーフス(AFC)が49ers(NFC)をオーバータイムの末、25対22で破り連覇を達成した試合を1億2340万人が視聴し、昨年から7%増の新記録となる。ちなみにラスベガスのオッズでは攻撃陣に厚みを誇る49ersが2㌽リードしていた。

 例年以上に注目を集めたスーパーボウルだが、発端になったのはテイラー・スウィフトとチーフスTEケルシーとの〝美女と野獣〟の交際だ。チーフスの試合を観戦していると、VIPルームで一喜一憂しているテイラーの姿が映し出される。ラブロマンスは日本、そして大統領選をも巻き込む大騒動になった。東京ドームで4日間、22万人を集めたテイラーはインスタのフォロワー数が2億8000万人を誇るインフルエンサーである。

 前回の大統領選でバイデンを支持した歌姫はトランプ陣営にとって邪魔な存在だ。<スーパーボウルでチーフスが勝ち、テイラー-がバイデン支持を公表する>なんて筋書きは避けたいから、様々な陰謀論を仕掛けてきた。その中のひとつは〝日本公演直後、間に合うはずがない〟だったが、プライベートジェットに乗って余裕でラスベガスに着いた。

 マカフリー(49ers)、パチェコ(チーフス)の両エースRBがファンブルで攻撃権を失うなど得点が入らない展開だったが、守備陣、キッカーを中心にしたスペシャルチームの健闘が光る内容だった。両キッカーは相次いでスーパーボウルのFG記録を更新する。第2Q残り4分23秒、トリックプレーでタッチダウンを決めた49ersが10対3とリードして前半を終える。マホームズへのプレッシャーも厳しく、チーフスファンの俺も難しいかなと感じていた。

 1キャッチで1㍎獲得に終わったケルシーはイライラを隠せず、アンディ・リードHCに体をぶつけるように詰め寄っていた。後半最初の攻撃でマホームズがインターセプトされた時点で終わったと思ったが、ケルシーとのホットラインが開通する。9回キャッチし93㍎を獲得するだけでなく、デコイ(おとり)として機能する。オーバータイムで決めたゴール前のキャッチが試合を決めた。

 一回のミスも許されない第4Q残り1分53秒、オーバータイム残り7分22秒でFG、タッチダウンに導いたマホ-ムズの冷たい緻密さに見入ってしまった。将棋にたとえるのもおかしな話だが、AI評価値で10㌽差をつけられた藤井聡太八冠がジワジワ追いついていく感じに似ている。マホームズはチームを連覇に導き、ロマンスをハッピーエンドに導いた。シンシティー(罪と欲望の街)ラスベガスで開催されたスーパーボウル中継では、金にまつわるエピソードが幾つも紹介されたが、夢と愛に溢れた試合だった。

 1999~2012年、リードはイーグルスHCを務めていた。チームは好成績を収めていたが大一番には勝てず、解説陣には〝コンサバティブ〟と評されていた。2013年にチーフスに移ってマホームズと出会うや、天才の煌めきと想像力を生かしたオフェンスでトリッキーな作戦を多用するようになる。自らを変えて三たび栄誉を手にしたリードは、来期以降もHC職にとどまる。

 スーパーボウルの終了と軌を一にするように、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)、ヨーロッパリーグ(EL)の決勝トーナメントが始まった。名将たちがひしめく争いだが、俺が応援してきたモウリーニョはASローマをクビになり、バイエルン監督就任の噂が流れている。CL、EL各2回優勝に導いたモウリーニョは悪童的振る舞いで物議を醸してきたが、戦術家、モチベーターとして選手から絶大な支持を得ている。東日本大地震被災者に60万ユーロ(約7000万円=当時)を送ったことも知られている。

 49ersのシャナハンは〝逆転されるHC〟の汚名を返上出来なかった。リードだってある時期、批判をさらされていたし、チャンピオンリングを手にする日が来るかもしれない。NPBが開幕する前に、<監督論>を書きたくなった。
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プロ野球開幕~球春に溶ける60年の記憶

2023-04-02 22:34:55 | スポーツ
 まずは訃報を。坂本龍一さんが亡くなった。享年71、がん闘病の末に力尽きた。YMO、そして「戦場のメリークリスマス」や「ラストエンペラー」で手掛けた楽曲の記憶が鮮明に残っている。反原発集会でアピールするなど社会と向き合う姿勢も感銘を覚えた。時代を変えた革新的なアーティストの死を惜しみたい。

 藤浪(アスレチックス)の投球にがっかりした。いいスタートを切ったのに、ランナーをためると制球を乱し、集中打を浴びる姿は阪神時代そのままだ。11年前、センバツで投げ合った時は藤浪(大阪桐蔭)が大谷(花巻東)に投げ勝った。素質は互角だったはずだが、決定的な差が生じたのはなぜだろう。
 
 「春は嫌い。浮き浮きしている周りとそぐわないから」……。これが俺の口癖だ。20歳を過ぎて外れ者、すね者まっしぐらになった俺の偽らざる本音だが、10代の頃は春が待ち遠しかった。1960~70年代は桜の開花が今より遅く、満開になる頃、プロ野球が始まる。今年の開幕にこの60年の記憶が溶け出てきた。

 俺は巨人→広島→近鉄→横浜と贔屓チームを変えてきた。世紀が変わる頃からはベイスターズファンで年に数回、横浜スタジアムに観戦に向かう。〝一筋〟なんて似合わない浮気性ゆえだろう。スタートは全国中継が巨人戦だけだったから、巨人ファンになった。長嶋が好きだった母の影響も大きかった。ちなみに俺のヒーローは時を止める王だった。

 中高は男子校で阪神ファンと巨人ファンが拮抗していた。教室での話題の中心はもっぱら野球で、虎狂の同級生と丁々発止を楽しんでいた。解説者として記憶に残っているのは、後にタレントとして成功する板東英二、指導者や経営者として球界に貢献した根本陸夫である。板東はエンターテイナー、根本は<プレッシャー>を一般的に流布させた。

 個人的な「フィールド・オブ・ドリ-ムス」第1弾は1966年7月27日のボールパーク初体験だ。父と叔父に連れられ、甲子園で阪神対巨人を見た。白黒テレビを見ていた俺は、カラフルなグラウンドとざわめきが醸し出す「野球の匂い」に、たちまち胸がいっぱいになった。

 巨人の練習中、連係が乱れ、三塁側スタンドの俺の足元にボールが転がってきた。苦笑いした土井が、グラウンドでグラブを構えている。「エイッ」とボールを投げるとストライクでグラブに収まり、土井が笑顔で会釈してくれた。試合は巨人先発の悪童堀内が阪神に3点を先行されたが、赤手袋の柴田が塁上を駆け巡り、ONが夜空にアーチを懸ける。立ち直った堀内は、開幕13連勝の新人記録を達成した。

 上京するや、反骨精神が膨らんできたからか、アンチ巨人になる。「フィールド・オブ・ドリ-ムス」第2弾は伝説の「10・19」(88年)である。学生時代の先輩と川崎球場で、ロッテ対近鉄のダブルヘッダーを見た。近鉄は連勝が優勝の条件だったが、第2試合で引き分け、力尽きる。飄々とした仰木監督、ベンチで動けなくなった中西コーチ、美しい敗者だった阿波野、河内のあんちゃん風の野手たち……。魅力ある顔ぶれが揃っていた。その延長戦上で、当時在籍していた吉井が監督を、光山がコーチを務めるロッテを今季は応援するつもりだ。

 さて、ベイスターズは不可解な選手起用もあり、阪神に3連敗と出足は最悪だった。バウアーは早々に治療で帰国しそうだし、大貫とオースティンの一軍合流も早くて今月末か。7月以降、ジワジワと浮上してくれればいい。高望みはせず、楽しみたいと思っている。
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京都から秋の雑感~ラグビーとボクシングの隆盛はファシズムの端緒?

2019-10-20 22:10:42 | スポーツ
 キネ旬1位に輝いた「恋人たち」(15年、橋口亮輔監督)の主人公アツシは、コンクリートの亀裂をたちどころに指摘する天才だった。地震と台風に相次いで襲われる日本には耐用期限切れが迫った物件が多い。無数のアツシと莫大な資金が必要だが、正しく注力されているのだろうか。

 「汚染水はアンダーコントロール」……。安倍首相の大嘘が招致の決め手になった東京五輪だが、気候もまた制御不能だった。マラソンと競歩が炎暑を避け北海道で分離開催されることに、「北方領土でやったら」と小池都知事は発言した。アツシの先輩は「世の中には、いい馬鹿と悪い馬鹿と、質の悪い馬鹿がいる」と話す。内外の失笑を買った小池知事は〝質の悪い馬鹿〟なのだろう。

 10月恒例の帰省で、親類宅(寺)に泊まって母が暮らすケアハウスを訪ねる日々だ。今回のテーマは政治とスポーツだが、まずは軽い話題から。菊花賞はPOG指名馬であるサトノルークスが②着と好走した。望外の結果である。MLBプレーオフをチラ見していて、スケールに圧倒された。「何を今更」と嗤われそうだが、1㍄前後の剛球を弾き返す光景は、CSと別世界である。

 四半世紀ぶりにマトモに見たラグビーにも瞠目させられた。勤め人時代の同僚は、同じチームがほぼ無敗で王座に就くこの国のラグビーなど歯牙にも掛けていなかった。交代要員をフルに活用し、彼が理想とした<戦略と戦術>がゲームの肝になっている。NFL並みのエンターテインメントといっていい。

 かつてこの国で、ラグビー人気が沸騰した時期があったことをご存じだろうか。教科書的には現在と似ているといわれる、治安維持法施行直後の1920年代後半から30年代半ばにかけて、農民や労働者の決起が燎原の火のように広がる。小学生は同盟休校に立ち上がり、マネキンガールやショーガールもストライキを打った。生活実感と表現主義やシュレアリズムが結びつき、カラフルな抵抗運動が展開した。川柳歌人の鶴彬も潮流を支えた一人である。熱いファシズム前夜だった。

 その頃、都市圏の青年層を最も惹きつけたスポーツは、ラグビーとボクシングだった。〝不世出の天才監督〟山中貞雄は<万歳を叫ぶ人の悲劇 叫ばれる奴の悲劇 喜劇かもしれない>と書き残して応召し、南京で戦病死した。山中は出征後、花園ラグビー場で開催された旧制中学の対抗戦の結果を気にしていた。

 肉弾相打つ戦いが好まれたのかもしれないが、W杯の日本代表チームは異なる。俺が政治や社会を語る時、最も価値を置いている<多様性・調和・オルタナティブ>を日本人特有の粘着力に接ぎ木している。準々決勝で完敗した相手のスプリングボクスもまた、アパルトヘイト廃止後、<多様性・調和・オルタナティブ>をベースにチームづくりを進めてきた。マンデラの思いは「虹色国歌」に込められている。

 突貫精神を体現した〝拳聖〟ピストン堀口の知名度は1930年代、首相に引けを取らなかった。拳闘報国の一念で慰問ツアーを続けた堀口は戦後、「戦争協力者」「金の亡者」と罵られながらマットに這い続ける。ファイトマネーを引き揚げ者や戦災孤児への基金に充て、自身は困窮の極みにあった。堀口にとって、死は自責の念からの解放だった。

 日本のボクシングはこの40年余り、長足の進歩を遂げた。理詰めでスマートな世界標準をクリアしたボクサーの中でも群を抜いているのが井上尚弥だ。11月9日、WBSS決勝でノニト・ドネアに完勝し、パウンド・フォー・パウンド(階級を超えた世界最強ランク)の頂点に上り詰めるかもしれない。
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スポーツ観戦の基本スタンスは愛?~五輪、ベイスターズ、そしてPOG

2019-06-20 23:16:04 | スポーツ
 18日夜、山形県沖で地震が起きた。新潟県では津波に備えて避難指示が出されたが、最寄りの避難場所が開かれず、別の区域への移動を余儀なくされた方が4600人以上に達したという。安倍首相は同日深夜、11年前の新潟県中越沖地震の時と同様、内実のないコメントを出していた。災害支援体制は劣化してしまったようだ。地震が天災ではなく日常になった国の最高責任者は、一刻も早く原発再稼働を撤回するべきだ。

 五輪チケット狂騒曲に、俺も間接的に加わった。知人が卓球と馬術を申し込んだからだが、ともに落選だった。世紀が変わって、〝国を挙げて〟という風潮に忌避感を覚えるようになり、夏季も冬季も五輪への関心が萎えている。そんな俺だが、初めて女性を美しいと感じたのは、小学2年時の東京大会に出場したフランスの水泳選手だった。

 女性アスリートを〝アイドル視〟したことはなかったが、8年前、女子サッカーW杯で優勝したなでしこジャパンの〝セルフプロデュース力〟に感心した。還暦を過ぎると外見には囚われない。「スポーツ×ヒューマン」(NHK・BS)で発見した大橋悠依(水泳個人メドレー)は、目的意識の高さと意志の強さが滲み出ている。初恋から老いらくの恋へ……ではないが、大橋以外にも〝愛の対象〟が見つかったら、屁理屈抜きに五輪を楽しめるかもしれない。

 おととい(18日)、交流戦のベイスターズ対ファイターズ戦を観戦した。3万人余が集ったスタジアムを見て、遠く香港へ思いを馳せる。この60倍以上の人々が、自由と民主主義を掲げ、香港を愛するがゆえに闘っている。彼我の空気の違いが身に染みた。

 別稿でラミレス監督に苦言を呈したことがあった。即ち、<データにこだわるあまり、チームは点に分解され、線になってこない。モメンタムとケミストリーを生む資質に欠けるのではないのでは>(要旨)……。当時はどん底だったチームは上昇気流に乗り、20日現在、借金4までこぎ着けた。

 18日はソトの打球を膝に受けた上沢が退いた後、左腕の公文が後を継いだ。筒香のワンポイントかと思ったら、ロペス以降の右打線でも続投する。3番手の浦野が良かっただけに、データを重視する栗山監督の継投ミスかと思ったが、チームごとに事情はそれぞれあるのだろう。投打とも層は一気に厚くなり、シーズン後半に向けて態勢は整ったが、策士策に溺れるラミレスだけに、不安が解消されたわけではない。

 横浜スタジアムに足を運ぶたびに感じるのは、チーム一丸になって〝横浜愛〟を育もうと努力していること。俺も何となくその気になっているし、横浜の街への愛の深まりを感じている。俯瞰の目でNFL、欧州サッカーなどを楽しんできたが、ズームアップの目線、即ち愛がスポーツ観戦に適しているのだろう。
 
 俺が何より愛をもって接しているのは競馬だ。当ブログでも記してきた通り、競馬サークルは日本の現状に先駆けて、20年以上も前から酷薄な格差社会になっている。生産者から共同馬主に至るまで社台系が支配し、オーダーに従う調教師に良血馬が委託される。騎乗馬を決めるのも調教師ではない。

 ポイントオーナーゲーム(POG)の面白味も薄れてきて、今季は参加を控えようとも考えたが、ロジャーバローズのダービー制覇で状況は一変し、泥縄を縫ってドラフト会議に参加した。指名馬たちも良血馬ばかりで、アドマイヤの近藤オーナーがサトノの里見オーナーに競り勝ったアドマイヤカストルに至っては6億円の値がついている。

 指名後に気付いたのだが、ネットではカストルについて「体が小さくて成長の兆しがない」など否定的な声が飛び交っている。一方でノームコア、クロノジェネシスと活躍馬の妹クロトノーナは姉同様、リーズナブルな値だった。孝行娘の取引価格は脆弱なボンボンの40分の1だが、俺の愛はイコールだ。

 今週末、指名馬が3頭出走する。そのうちの一頭、シルヴェリオの兄2頭は才能を示しながら、足元が弱く大成しなかった。三度目の正直を期待している。次稿では、POGドラフト会議からハシゴしたイベントについて記したい。
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初秋のスポーツ雑感~正しい観戦法は俯瞰よりもズームアップ?

2018-09-19 22:39:12 | スポーツ
 政権には尻尾を振るメディアだが、スポーツ界には厳しい。アメフト、レスリング、ボクシング、体操、駅伝、ウエートリフティングと、今年に入って各競技の暴君が炙り出された。

 日本で1992年に発刊された「黒い輪」(ヴィヴ・シムソン&アンドリュー・ジェニングス著、広瀬隆訳)はスポーツ界の実態を抉っていた。FIFAやIOCを牛耳るのは、フランコの子分だったサマランチ元IOC会長を筆頭にファシストの系譜を継ぐ者で、大企業と手を組み〝腐敗の輪〟を形成する。この構図は四半世紀後も変わらない。森喜朗東京五輪組織委員長もファッショ的体質の持ち主で、数々の汚職疑惑をすり抜けてきた。

 スキゾの典型である俺は、何かに肩入れするのが嫌で、俯瞰の目で複数のスポーツを楽しんできた。例外はサッカーのオランダ代表である。反面教師にしたのは、中高時代の教師たちで、阪神が負けると機嫌が悪くなる。巨人が9対0でV9を決めた1973年10月22日の甲子園決戦で、彼らの落胆ぶりが記憶に鮮明に残っている。

 教師たちは〝反面〟ではなく、実はスポーツとの正しい接し方を示していたのではないか。そんな風に感じ始めている。〝贔屓する=愛〟抜きでスポーツを観戦するのは簡単ではない。ロシアW杯が面白かったのでここ数週、プレミアとリーガの試合を見てきたが、さっぱり身が入らない。開幕したばかりのNFLも同様である。

 面白いと感じるためには〝愛〟が必要だ。贔屓チームをつくることを決めた。NFLではピート・キャロルHC率いるシーホークスを応援してきたが、ジョン・グルーデンが17年ぶりにHCに復帰したことを知り、レイダースを贔屓に加えることにした。ともにスーパーボウルを制覇した名将で、キャロルはプレーヤーズコーチ、グルーデンはワーカホリックの熱血漢と対照的だ。ともに2連敗とつまずいた両チームは来月15日に対戦し、日テレジータスが生中継する。

 先週末から今週にかけスポーツを観戦したが、ハイライトはゲンナジー・ゴロフキンとサウル・アルバレスによるリマッチだった。ジャブで距離を取りながら鋭いパンチでKOの山を築くゴロフキン、スピードとヘッドスリップで懐に潜り込むアルバレス……。世界のトップ2が繰り広げる攻防の妙に見入ってしまった。

 ボクサーは齢を重ねるごとに体力と動体視力が衰える。年齢差(8歳)は如何ともし難く、序盤はアルバレスが攻勢に出たが、ゴロフキンが的確なパンチでペースを掴んでいく。ゴロフキンの勝ちを確信したが、判定に愕然とする。ゲストとしてWOWOWで解説していた村田諒太、試合を世界に配信したHBO局も数ポイント差でゴロフキン勝利とみていた。

 ボクシングでは曖昧な結果に終わることがままある。その点、俺がスポーツ感覚で観戦している将棋は、どれほど優位に対局を進めていても、王が詰まされたら負けになる。例外なくKO決着だから、後味の悪さとは無縁だ。将棋とは格闘性の強いゲームといえる。

 〝愛〟といえばここ数年、横浜ベイスターズを応援している。今夜はジャイアンツに快勝したが、勢いのあるドラゴンズに及ばずCS進出を逃すのではないか。戦力不足を補うため、取っ換え引っ換え選手を起用したことがシーズン後半、選手層の厚みに繋がることを期待したが、ラミレス監督が〝策士、策に溺れて〟いる感は否めない。

 俺の〝愛〟が爆発するのは競馬だ。POG指名馬は、とにかく可愛い。中長距離で活躍出来そうな2歳馬も勝ち上がっているし、来月以降は3歳馬がGⅠ戦線を賑わせそうだ。アーモンドアイは秋華賞で3冠を達成したらJCに向かうかもしれない。ダノンプレミアムは天皇賞にぶっつけで挑戦するし、サラキアは秋華賞、エタリオウは菊花賞、そしてタワーオブロンドンはスワンSを叩いてマイルCSに挑む。

 〝愛〟が〝実益〟に繋がれば言うことはないが、世の中それほど甘くないことは、来し方を振り返って重々承知している。
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ワールドカップを政治的に楽しむ

2018-06-16 11:18:45 | スポーツ
 安倍政権に忖度する官僚は不起訴になり、首相の知人である記者は強姦罪を免れた。刃向かった籠池夫妻は下獄する。東京高裁が11日に下した袴田巌元被告の再審請求棄却も、この国の司法の歪みを端的に示している。静岡地裁が再審開始の根拠とした本田克也筑波大教授の最先端技術による鑑定に、高裁は疑義を呈した。

 別稿(今年4月9日)で紹介した映画「獄友」(18年、金聖雄監督)では、獄中で精神を壊された袴田さんが石川一雄さん(狭山事件被告で再審請求中)、桜井昌司さん(布川事件で無罪確定)らの励ましによって回復し、将棋をツールに周囲と繋がっていく過程が描かれていた。仲間と支援者に囲まれている〝不屈のボクサー〟が挫けることはないだろう。

 この10年、国を挙げて応援するスポーツイベントに忌避感を覚えるようになった。出征兵士のように選手を送迎する風潮に我慢がならないから、夏季も冬季も五輪は殆ど見ない。ロシアW杯が開幕したが、〝サッカーの祖国〟が出場しないので白けている。オランダが精彩を欠いている理由を考えてみた。

 第一に、アヤックスの選手育成ノウハウが模倣され、常識になってしまったこと。バルセロナがその典型だ。第二に、〝多民族〟がトレンドになったこと。スリナム系選手の運動能力が貢献してきたが、ドイツにしてもゲルマン魂なんて今は昔、ポーランドやトルコからの移民が多く招集されている。優勝時のフランスも旧植民地出身選手がチームの核になっていた。

 多様性が重要な意味を持つのはサッカーに限らない。日本でも陸上、柔道、テニス、卓球と躍進著しい競技では、様々なDNAを受け継ぐ選手が台頭している。今回の代表はフレッシュさに欠けるが、いずれ目に見える変化が起きるだろう。

 臍曲がりゆえ、世間と別の視点でW杯を楽しむことにして出場国をチェックした。オランダの代わりというわけではないが、隣国ベルギーのダイナミックなサッカーは魅力的だ。バルガス・リョサの出身国ペルーにも頑張ってほしい。

 政治とスポーツは切り離せない。思想信条で二つの国をピックアップした。俺はグリーンズジャパンの会員だが、友党グリーンズレフトのヤコブスドッテイル党首が昨年11月、アイスランド首相に就任した。民主度ランキングで世界2位に評価されており、オルタナバンドの最高峰シガー・ロス、そしてビヨークを生んだロックの聖地でもある。外交力を駆使してアメリカの軛を逃れ、非武装中立を宣言した〝奇跡の国〟コスタリカにも共感を抱いている。

 ベルギーはFIFAランキング3位、ペルーは11位で下馬評も高い。〝負けるな一茶。これにあり〟の心境で応援するつもりだったアイスランドとコスタリカだが、〝やせ蛙〟ではなかった。アイスランドは22位、コスタリカは23位だから、決勝トーナメント進出の可能性は十分だ。
 
 応援したくない国の筆頭は、アメリカと並ぶ横綱クラスのテロ国家ロシアだ。開幕戦でそのロシアに惨敗したサウジアラビアも然りで、アメリカを後ろ盾にイエメンで非人道的な無差別空爆を行っている。出場していないイスラエルと並ぶ大関クラスのテロ国家といえるだろう。

 1974年ドイツW杯決勝は、俺の人生に絶大な影響を及ぼした。革新性と美しさで心を鷲掴みされたオランダがドイツに敗れた時のショックは今も消えない。勝ったベッケンバウアーはその後も、「勝った者が強いのだ」と主張している。敗れたクライフは「美しく負けることを恥じるべきではない。無様に勝つことこそ恥なのだ」と美学を語り続けた。

 あれから44年……。来し方を振り返れば、俺は無様に負け続けた。だが、ピリオドを打つのは早い。美しくは無理だが、溌剌と老いていきたい。ポルトガルとスペインの死闘を観戦しながら本稿を書き終えた。政治抜きに楽しめる素晴らしい内容だった。
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ダービー予想&スポーツ雑感

2018-05-26 13:06:02 | スポーツ
 今回はダービーをメインに、スポーツの雑感をあれこれ綴りたい。まずは、先延ばししているうち、賞味期限切れの感もある暴力タックル問題から。

 日大アメフト部が集中砲火を浴びる一方で、構図が全く同じ森友・加計問題で安倍首相夫妻への糾弾は手ぬるい。日大はメディアにとって〝叩き頃〟なのだろう。どこにでもいる〝内田もどき〟に抗議する勇気がない者にとって、宮川選手はヒーローと映る。

 アメフトは戦争に擬せられたゲームで、NFLやNCAAでは、ヘッドコーチのペップトークの巧拙が結果を左右することがある。とはいえ、チームは人種、宗教、個性が異なる選手の集合体だから、配慮が必要だ。QBを守るために様々なルールが設定されており、「潰せ」といった直截的な表現はアメリカではあり得ない。

 関学大の鳥内監督は宮川選手の会見を受け、「スポーツの範疇を逸脱している」と語った。今回の日大だけでなく、スポーツ界、いや社会全般に戦前の軍隊的体質が残っている。理不尽や不条理を沈黙のうちに受け入れる風潮が、現代日本の根深い病根だ。

 東京五輪で正式種目になったサーフィンで思い出すのは映画「ハート・ブルー」(1991年)だ。サーファーで強盗団のリーダー(パトリック・スウェイジ)と刑事(キアヌ・リーブス)が対峙するストーリーだ。Xスポーツは定着せず放浪するボヘミアン階級に育まれた。グレイトフル・デッドやヘルズ・エンジェルズと志向は同じで、彼らの精華はウッドストックである。

 「かつてXスポーツの会場ではメタリカやグリーン・デイが大音響で流れ、マリフアナの煙が立ちこめていた」と留学経験のある知人が話していた。不良とアウトサイダーが興じる刹那的なスポーツが五輪競技に次々採用される現状に、ドラスティックな時代の変化を覚えている。

 25日現在、横浜ベイスターズは21勝19敗と想定通りの成績を残している。ラミレス監督が取っ換え引っ換え選手を使ったことで、選手層は一気に厚くなった。心配なのは監督の〝過信〟だ。負けが込めば、起用を巡る不満が渦巻く可能性がある。負のスパイラルが起きないことを願いたい。

 藤井聡大、井上尚弥、そして大谷翔平……。種目は異なるか、〝奇跡の軌跡〟を見せつける者たちに魅せられている。大谷の二刀流は素晴らしいが、アメリカにはワンランク上のパフォーマンスを見せた選手がいた。NFLとMLBの両方でオールスターに出場したボー・ジャクソンである。ボーの偉業にはまだ及ばないが、大谷には更なる飛翔を期待している。

 アーモンドアイが先週、オークスを圧勝した。今週のダービーでは同じくPOG指名馬のダノンプレミアムが1番人気で出走する。最内枠に入ったことで勝つ可能性は高くなった。弥生賞以来というローテは不安だが、井内利彰氏を筆頭に、前走時の調教は「せいぜい五分程度」と見るトラックマンが多かった。今回はビシビシ追われており、体を10㌔以上絞って出走できそうだ。

 本命はダノンだが、相手は難しい。ともに母系が短距離血統のブラストワンピースは重め、ワグネリアンは8枠⑰番とマイナス材料がある。ダノンが勝てばOKで、対抗にデムーロが乗る良血⑤キタノコマンドールを考えている。もう一頭の指名馬は人気薄(15番人気)の⑭エタリオウだ。ボウマンが無欲で乗れば③着はあるかもしれない。

 政治と同様、競馬関連のネットの書き込みに目を覆いたくなる。ダノンプレミアムやワグネリアンの掲示板にはアンチが跋扈し、汚れた足跡を残していく。ダノンはマイラーと決めつけつつ、ワグやブラストを推すのだから不思議でならない。ワグの板で残念なのは福永騎手への罵詈雑言だ。〝馬を育てる力があるが、大レースで人気馬を持ってこれない〟という評価は当たっている部分もあるが、中傷には我慢ならない。

 ワグネリアンは今回、猛調教をこなしてきた。ダノンに勝つのは勘弁してほしいが、福永への応援を込めて馬券に含めたい。ダノンを軸に、キタノ、ワグ、そしてエタリオウを絡めて馬券を買うことにする。当日の気配と馬体重いかんで変更もあり得るが……。


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スポーツはアメリカを写す鏡?~XFL&クリーブランド

2018-04-13 12:07:27 | スポーツ
 ここ数日、スポーツ関連でビッグニュースが相次いだ。まずはハリルホリッチ解任から。代表の試合は見ていないから御託を並べようもないが、後任が〝上司〟西野朗技術委員長というのは不可解だ。ハリルは来日会見で、「〝試運転〟の結果でクビはおかしい」と主張するかもしれない。

 〝試運転〟で「高校生レベル」と酷評された大谷が、全米を震撼させている。<10勝、10本塁打達成はベーブ・ルース以来>と喧伝されているが、これは鵜呑みにできない。ボールが飛ばなかった1910年代、ホームラン王は10本前後。現在に換算すれば30~40本になるだろう。本人は至って冷静で、「いずれ壁にぶつかる。それを越えられるよう準備したい」と話していた。

 桜花賞でPOG指名馬アーモンドアイが圧勝した。次元が違う走りだったが、オークスを勝てる保証はない。未対戦のオールフォーラヴ、サトノワルキューレあたりが強敵とみている。ダノンプレミアムの皐月賞回避は残念だが、もう一頭の指名馬マイネルファンロンにとって雨予報は心強い。

 レッスルマニアで、中邑真輔とアスカの戴冠はならなかった。WWEから離れて久しいので最近の流れは知らないが、〝祭典で日本人王者〟というストーリーには無理があるのだろう。WWEといえばビンス・マクマホン会長が2001年以来になるXFL復活を発表し、全米の注目を集めている。

 スポーツはアメリカを写す鏡あることを端的に示す2本のドキュメンタリー(ESPN制作)をJスポーツで見た。まずはXFLを追ったドキュメンタリー「新リーグ設立の挑戦と失敗」から。

 <ハイスクール→カレッジ→NFL>のルートが確立され、漏れた〝鉱石〟を見つけるのは至難の業だが、ビンスは〝視聴率男〟ディック・エバーソル(NBC)と組んで冒険に打って出た。NFLと真逆の格闘性を追求したXFLだが、チアールの過剰な露出などで開幕当初から批判も多かった。

 第1週は高視聴率を叩き出したが、2週目に試練が待ち受けていた。シーズンを通して白眉とされるエクストリーム対エンフォーサーズ戦は、機材の故障とダブルオーバータイムで、NBCの看板番組「サタデー・ナイト・ライブ」のスタートを遅らせる。視聴率は3週以降、急降下し、撤退を余儀なくされた。

 WWEが潤沢な資金を誇るWCWを吸収合併したのは奇跡だったが、成功体験がビンスにとって仇になった。そもそも、NFLとXFLの差は決定的で、NPBと独立リーグ以上といえる。新XFLもNFLの下部組織、選手の供給源と割り切るしかないだろう。ちなみに、エクストリームQBトニー・マダックスはNFLに復帰し、スティーラーズで活躍した。

 XFLとは何だったのかと考えるうち、トランプ大統領の顔が浮かんできた。<質>はともかく、パブリシティーと過激な演出で<虚>を膨らませる手法はアメフトでは失敗したが、政治では勝利を収めた。そう、<XFL≒トランプ>だったのだ。11年前のレッスルマニアで、トランプはビンスとの代理対決「バトル・オブ・ザ・ミリオネアーズ」を制した。WWEで表現力を磨いたことも、大統領選勝利の理由のひとつだ思う。支持率は上昇気配で、現在は42%という。

 アメリカにおける地域性をテーマに据えたのが、「歓喜を信じた街 クリーブランド」だ。クリーブランドにはNFL、MLB、NBAが本拠を置いている。それぞれブラウンズ(4年の空白期間あり)、インディアンス、キャバリアーズだが、1964年にブラウンズがNFL王座(スーパーボウル創立以前)に就いて以来、チャンピオンシップと縁がなかった。

 クリーブランドは40万弱の規模だが、60年代まで全米で上位にランクされる都市だった。上記3チームの不振と軌を一にするように地盤沈下していく。とりわけ製造業の衰退が大きかった。栄冠に手が届いたと感じた刹那、するりと零れ落ちることが相次いだことで、クリーブランドは失意の街と見做されるようになる。それでも市民は、微かな希望を子供や孫に受け継いでいく。

 負のスパイラル、敗者の街の呪縛からクリーブランドを解き放ったのがレブロン・ジェームスだった。地元の高校からキャブスに入団し、救世主扱いされたものの、マイアミ・ヒートに移籍するや、裏切り者と罵声を浴びせられる。チャンピオンリングを2個獲得し、キャブスに復帰したレブロンは16~⒘シーズン、チームをファイナル制覇に導き、歓喜する市民の姿が映し出される。

 野球だけでも巨人→広島→近鉄→横浜と贔屓チームを変えている俺に、クリーブランド市民の気持ちが理解出来るはずもない。だが、高校スポーツだけは京都のチームを応援してしまう。俺も郷土と繋がっているようだ。
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パレスチナに思いを馳せつつ球春を楽しむ

2018-04-01 21:01:35 | スポーツ
 現在のイスラエルは南アフリカのアパルトヘイトと変わらない……。ツツ大主教やノーム・チョムスキーらの主張は掻き消されている。トランプ大統領のエルサレム首都宣言で後ろ盾を得たイスラエルは、ガザ地区の抗議活動を砲撃し、死者は15人、負傷者は1500人弱に達した。

 イスラエルの暴力の背景は、パレスチナ自治区の沖合にある油田だ。昨秋に来日したイスラエル「ハアレツ紙」のアミラ・ハス記者は<パレスチナに存在する分離壁は20世紀以降、世界で進行した不正義の象徴>と語っていたが、イスラエルは資源を巡り、自らが築いた壁の向こうに〝侵攻〟している。

 ハス記者は来日した際、福島、広島だけでなく、パレスチナと同じ地平に立つ沖縄を訪れた。ブログに<死語かもしれないが、連帯こそ世界を取り戻す唯一の手段>と記している。日本でも抗議集会が開催されるだろう。

 社会を変えようと活動している知人が多い。パレスチナに思いを馳せながら球春を楽しむ……なんて俺を許せない方もいるだろうから、彼らにこのブログを教えていない。「集会に来ないと思ったら、映画見てたんだ」ならまだしも、競馬場に居たことがバレたりしたら……。

 <ギャンブルは御法度>は、リベラルや左派にとって暗黙の了解事項だが、競馬をルーティンに組み込んでいる俺は、ドバイワールドカップデーの馬券も購入した。ドバイはサウジアラビア主導の連合軍の一員で、イエメン無差別空爆に与していることは承知の上で……。

 中高生の頃、ペナントレース開幕が待ち遠しかった。当時は巨人ファンで、阪神ファンの級友たちとの丁々発止が楽しかった。20代以降、ラグビー、海外サッカー、NFLと〝浮気〟したが、最近はスポーツ全般への興味が薄れた。贔屓チーム(DeNA)が出来たことで、少年時代のワクワク感が戻ってきた。

 セ・リーグの日本シリーズ出場チームを予想するなら、◎DeNA、○広島、▲巨人か。20代になってアンチに転向した俺は、上原復帰、澤村復活、岡本と吉川の台頭とプラスアルファがありそうな巨人が怖い。

 DeNAで気になるのは、ラミレス監督に耳目が集まり過ぎていること。選手全体の年俸が低いから、不振になると<俺たちはラミレスの玩具じゃない>という不満が負のスパイラルを生む可能性もあるが、モチベーターのラミレスと気配りの筒香のコンビが、危機を回避するだろう。

 開幕3連戦で大和と神里を起用し、京山が初先発初勝利を挙げた。先発陣では今永、ウィーランド、浜口が出遅れ、梶谷と捕手トリオの一角、高城も負傷中だ。4~5月を戦力に厚みを加える時期とみて、5割前後で乗り切れば、CS進出は間違いない。 

 センバツ高校野球はベスト4が出揃った。高校スポーツで郷里のチームに肩入れする方は多いはず。京都代表の乙訓は初出場で初戦突破と健闘し、次戦でも準決勝に進んだ三重相手に接戦を演じた。「なぜ?」と思い調べてみたら、スタッフ優秀さやバックアップ体制など強さの理由に納得した。

 日本映画専門チャンネルで放映された「第50回全国高校野球選手権大会 青春」(1968年、市川崑監督)を見た。上記の三重も出場し、準々決勝に進出している。市川は「ビルマの竪琴」(56年)、「野火」(59年)と戦争をテーマにした傑作を撮っている。本作に感じたのは<戦争の影>だった。

 戦時中のフィルムに残された行軍シーンや砲撃の轟音と、開会式の入場行進や号砲をカットバックしていた。練習光景も苦行のようで、高校野球の軍隊的体質を、市川は50年前に抉っている。クローズアップしていたのは返還前の沖縄だ。離島のチームが船で予選会場に向かう様子や、本大会で準決勝に進出した興南の活躍に時間を割いている。

 平安対大宮工戦が記憶の底から甦る。7回までパーフェクトに抑えられていた平安は8回裏に1点を先取したが、9回表に2点を奪われ逆転負けする。試合のシーンでは画面の分割、効果的な音楽の使い方など斬新な手法が用いられていた。

 スタンドの女子高生は今よりあどけなく、木製バット時代だから、外野の守備もかなり浅い。半世紀の時の流れを考えさせられるドキュメンタリーだった。
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