まず、最初に。今年も俺のファジーでアバウト、唯我独尊の戯言に付き合っていただき、ありがとうございます。川柳やエッセーに挑戦し、芸風に幅を持たせたいと考えてはいるが、当分は現状のままになりそうだ。
今年もあと2日、底冷えのする亀岡のネットカフェで当ブログを更新している。昨日は先月末に亡くなった叔父(前住職)の逮夜に出向いた。10月の帰省時、伯母の葬儀を抜け出して〝ついで参り〟した寺である。言い伝えの効力を悪い形で証明したようで、いささか居心地が悪かった。この10年、介護に明け暮れていた叔母は、寂しさと同時に解放感も覚えているのか、いつも通り明るく振る舞っていた。
文化人として名を馳せた叔父、そして気丈な伯母……。親族が相次いで召され、俺自身もまた人生の第4コーナーに差し掛かっている。死は既に自分の問題で、老後の過ごし方を母、妹、義弟と話す機会が増えた。
今年は涙に暮れた一年だった。怒り、絶望、無力感……。負の感情が混ざり合い、塩辛い水分になって頬を濡らした。俺が悲しかったのは、3・11が変化をもたらさなかったことである。この国が世界に誇り得るのは無常観、罪の意識、他者に同化する優しさだが、3・11以降、政官財は日本人の美徳にそぐわない動きで、既得権益の確保を優先する。
3・11とは、永遠の重い鎖なのか。日本人は放射能を帯びた漆黒の影に怯えつつ、<正常性バイアス>に囚われ、仮初の安全にしがみついている。世界に目を転じると、<抵抗>が空気を表すキーワードになった。中東諸国では民衆が独裁政権を倒し、アメリカでも民主主義を旗印に、反組合法運動や<99%>による叛乱が広がった。反グローバリズム、反資本主義が国境を超えて浸透しつつある。
そんな年、最も心に響いたのは、3・11直後の辺見庸氏と小出裕章氏の言葉だ。辺見氏は「瓦礫の中から言葉を」(NHK)で「現在試されているのはあくまで個」と繰り返していた。小出氏は「終焉に向かう原子力集会」(4月29日)で故田尻宗昭氏(反公害活動家)の言葉を引用し、「社会を変えていくのは数ではない。一人です(少し間を置き)二人です、三人です」と講演を結んだ。
3・11が日本人に投げかけた問いの一つは、<個の確立>だ。家族、仕事、コミュニティー、しがらみ、建前と大切なものは多いが、自分は何を重視するのか、普段の生活の中で優先順位をつけ、不測の事態に対応できるように準備しておくのが理想だろう。俺のように老い先短く身軽であれば、失うものなどないのだから難しくはない。でも、家族を抱える人はどうだろう。当ブログで他者を顧みず、無責任な発言を繰り返したことを反省している。
政治は骨抜き状態で、民主党が掲げた理想は潰え、アンシャンレジーム(旧体制)が我が物顔で闊歩している。濃い闇の彼方に、光は射すだろうか。
今年もあと2日、底冷えのする亀岡のネットカフェで当ブログを更新している。昨日は先月末に亡くなった叔父(前住職)の逮夜に出向いた。10月の帰省時、伯母の葬儀を抜け出して〝ついで参り〟した寺である。言い伝えの効力を悪い形で証明したようで、いささか居心地が悪かった。この10年、介護に明け暮れていた叔母は、寂しさと同時に解放感も覚えているのか、いつも通り明るく振る舞っていた。
文化人として名を馳せた叔父、そして気丈な伯母……。親族が相次いで召され、俺自身もまた人生の第4コーナーに差し掛かっている。死は既に自分の問題で、老後の過ごし方を母、妹、義弟と話す機会が増えた。
今年は涙に暮れた一年だった。怒り、絶望、無力感……。負の感情が混ざり合い、塩辛い水分になって頬を濡らした。俺が悲しかったのは、3・11が変化をもたらさなかったことである。この国が世界に誇り得るのは無常観、罪の意識、他者に同化する優しさだが、3・11以降、政官財は日本人の美徳にそぐわない動きで、既得権益の確保を優先する。
3・11とは、永遠の重い鎖なのか。日本人は放射能を帯びた漆黒の影に怯えつつ、<正常性バイアス>に囚われ、仮初の安全にしがみついている。世界に目を転じると、<抵抗>が空気を表すキーワードになった。中東諸国では民衆が独裁政権を倒し、アメリカでも民主主義を旗印に、反組合法運動や<99%>による叛乱が広がった。反グローバリズム、反資本主義が国境を超えて浸透しつつある。
そんな年、最も心に響いたのは、3・11直後の辺見庸氏と小出裕章氏の言葉だ。辺見氏は「瓦礫の中から言葉を」(NHK)で「現在試されているのはあくまで個」と繰り返していた。小出氏は「終焉に向かう原子力集会」(4月29日)で故田尻宗昭氏(反公害活動家)の言葉を引用し、「社会を変えていくのは数ではない。一人です(少し間を置き)二人です、三人です」と講演を結んだ。
3・11が日本人に投げかけた問いの一つは、<個の確立>だ。家族、仕事、コミュニティー、しがらみ、建前と大切なものは多いが、自分は何を重視するのか、普段の生活の中で優先順位をつけ、不測の事態に対応できるように準備しておくのが理想だろう。俺のように老い先短く身軽であれば、失うものなどないのだから難しくはない。でも、家族を抱える人はどうだろう。当ブログで他者を顧みず、無責任な発言を繰り返したことを反省している。
政治は骨抜き状態で、民主党が掲げた理想は潰え、アンシャンレジーム(旧体制)が我が物顔で闊歩している。濃い闇の彼方に、光は射すだろうか。