昨夜、隅田川に足を運び、闇を彩る儚い刹那を満喫した。5㍍前後の風速で、花火の燃えカスが落ちてきたのは初めての経験である。桜、蛍、花火、紅葉と四季折々の移ろいを楽しむようになって十数年が経つ。土に還る日が近づいているのだろう。
参院選で外交の成果を強調していたが安倍首相だが、実は八方塞がりだ。イージス・アショア配備では秋田県民から「NO」を突き付けられ、対ロ交渉は決裂した。北朝鮮問題では埒外に追いやられ、日韓関係は最悪の状況に陥った。
徴用工への賠償問題で、<日韓条約(1965年)で解決済みのことを韓国側が蒸し返している>と主張する日本側に対し、<経済支援(8億㌦)に慰謝料は含まれない>と韓国は応じている。名前と言葉を奪う皇民化、強制連行と従軍慰安婦……。対立がエスカレートした背景には、日本の苛烈な植民地政策がある。
<国家はその罪に無限責任を背負う。決して外部化されず国民にも責任が問われる>(内田樹)の言葉を体現したドイツは戦後、欧州でリーダー的役割を果たしている。一方で日本では、河野談話を発表した河野一郎氏の長男、太郞外相も、1911年から時が止まっているかのような妄言を繰り返している。
シネマート新宿で韓国映画「工作 黒金星と呼ばれた男」(2018年、ユン・ジョンビン監督)を見た。女性サービスデーということもあったが満員御礼で、政府間の軋轢とは別に、文化的交流が滞っていないことを実感させられた。公開から10日余りで、これからご覧になる方も多いだろう。ネタバレは最小限に感想を記したい、
ユン監督作は〝ペーソスに満ちた裏社会版ホームドラマ〟と評した「悪いやつら」に次いで2作目になる。昨年来、「タクシー運転手」、「1987、ある闘いの真実」と史実に題材を取った韓国映画が次々に公開されている。両作は軍事独裁に抵抗する闘いを描いていたが、「工作――」は1990年代、北朝鮮の核開発を巡る実話に基づいている。
「タクシー運転手」と「1987――」、そして「工作――」を通してのキーパーソンは金大中元大統領だ。光州事件で抵抗のシンボルだった金は死刑判決を受け、公民権を回復した1987年には大統領選に出馬する。そして「工作――」のハイライトは金が当選した98年の大統領選だ。金を〝北と通じた容共主義者〟と敵視し続けた国家安全企画部にスカウトされ、北朝鮮に潜入したのが元陸軍中佐で〝黒金星(ブラック・ヴィーナス)〟と呼ばれたパク・ソギョン(ファン・ジョンミン)だ。
パクはチェ局長(チョ・ジヌン)と二人三脚で北朝鮮指導部中枢に入り込み、核施設を探る。橋渡し役として利用したのが、北朝鮮で外貨獲得を統括するリ所長(イ・ソンミン)だ。日本の俳優と風貌が重なる実力派たちの競演が作品に奥行きを与えていた。
韓国映画全般にいえることで、北朝鮮の諜報員が登場する場合は色合いが濃くなるが、パクとリ所長も体制を超えた友情を築いていく。〝絶対悪〟金正日総書記でさえ、意外なほど物分かりが良く、パクにも本音を見せる。総書記を含め北朝鮮関係者が欲望を隠さない点も面白い。
北に接近するにつれ、パクはスパイとしての任務、リ所長との友情に引き裂かれる。朝鮮半島だけでなく、東アジアと世界を俯瞰で眺め、自分が何を成すべきか懊悩するのだ。パクは緊張感を意図的につくり出す政治の仕組みを目の当たりにする。その場面と重なったのが、仕事先の夕刊紙が追及した安倍政権と北朝鮮との〝癒着〟で、北朝鮮がミサイルを発射するタイミングと安倍政権の危機が符合していると論じていた。
と書くと、取るに足らない陰謀論と嗤う人もいるだろう。だが、本作を見て信憑性を覚えた。安企部にとってかつて死刑判決を受けた金大中の大統領就任を阻止することが第一命題だ。そのため選挙前、北朝鮮に軍事活動を要請し、金大中ならびに彼が率いる勢力に打撃を与えることを繰り返してきた。
金大統領の誕生でパクを取り巻く状況は一変する。韓国と北朝鮮の緊張緩和が進み、安企部は解散して大統領直属の国家情報院に様変わりする。活躍の場を得たパクだが、李明博、朴槿恵と2代続いた保守政権の下、権力の追及を受ける。大衆レベルの動きはダイナミックな韓国だが、大統領が代わるたびに流れは変わる。韓国の民主主義も発展途上であることが本作で窺えた。
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参院選で外交の成果を強調していたが安倍首相だが、実は八方塞がりだ。イージス・アショア配備では秋田県民から「NO」を突き付けられ、対ロ交渉は決裂した。北朝鮮問題では埒外に追いやられ、日韓関係は最悪の状況に陥った。
徴用工への賠償問題で、<日韓条約(1965年)で解決済みのことを韓国側が蒸し返している>と主張する日本側に対し、<経済支援(8億㌦)に慰謝料は含まれない>と韓国は応じている。名前と言葉を奪う皇民化、強制連行と従軍慰安婦……。対立がエスカレートした背景には、日本の苛烈な植民地政策がある。
<国家はその罪に無限責任を背負う。決して外部化されず国民にも責任が問われる>(内田樹)の言葉を体現したドイツは戦後、欧州でリーダー的役割を果たしている。一方で日本では、河野談話を発表した河野一郎氏の長男、太郞外相も、1911年から時が止まっているかのような妄言を繰り返している。
シネマート新宿で韓国映画「工作 黒金星と呼ばれた男」(2018年、ユン・ジョンビン監督)を見た。女性サービスデーということもあったが満員御礼で、政府間の軋轢とは別に、文化的交流が滞っていないことを実感させられた。公開から10日余りで、これからご覧になる方も多いだろう。ネタバレは最小限に感想を記したい、
ユン監督作は〝ペーソスに満ちた裏社会版ホームドラマ〟と評した「悪いやつら」に次いで2作目になる。昨年来、「タクシー運転手」、「1987、ある闘いの真実」と史実に題材を取った韓国映画が次々に公開されている。両作は軍事独裁に抵抗する闘いを描いていたが、「工作――」は1990年代、北朝鮮の核開発を巡る実話に基づいている。
「タクシー運転手」と「1987――」、そして「工作――」を通してのキーパーソンは金大中元大統領だ。光州事件で抵抗のシンボルだった金は死刑判決を受け、公民権を回復した1987年には大統領選に出馬する。そして「工作――」のハイライトは金が当選した98年の大統領選だ。金を〝北と通じた容共主義者〟と敵視し続けた国家安全企画部にスカウトされ、北朝鮮に潜入したのが元陸軍中佐で〝黒金星(ブラック・ヴィーナス)〟と呼ばれたパク・ソギョン(ファン・ジョンミン)だ。
パクはチェ局長(チョ・ジヌン)と二人三脚で北朝鮮指導部中枢に入り込み、核施設を探る。橋渡し役として利用したのが、北朝鮮で外貨獲得を統括するリ所長(イ・ソンミン)だ。日本の俳優と風貌が重なる実力派たちの競演が作品に奥行きを与えていた。
韓国映画全般にいえることで、北朝鮮の諜報員が登場する場合は色合いが濃くなるが、パクとリ所長も体制を超えた友情を築いていく。〝絶対悪〟金正日総書記でさえ、意外なほど物分かりが良く、パクにも本音を見せる。総書記を含め北朝鮮関係者が欲望を隠さない点も面白い。
北に接近するにつれ、パクはスパイとしての任務、リ所長との友情に引き裂かれる。朝鮮半島だけでなく、東アジアと世界を俯瞰で眺め、自分が何を成すべきか懊悩するのだ。パクは緊張感を意図的につくり出す政治の仕組みを目の当たりにする。その場面と重なったのが、仕事先の夕刊紙が追及した安倍政権と北朝鮮との〝癒着〟で、北朝鮮がミサイルを発射するタイミングと安倍政権の危機が符合していると論じていた。
と書くと、取るに足らない陰謀論と嗤う人もいるだろう。だが、本作を見て信憑性を覚えた。安企部にとってかつて死刑判決を受けた金大中の大統領就任を阻止することが第一命題だ。そのため選挙前、北朝鮮に軍事活動を要請し、金大中ならびに彼が率いる勢力に打撃を与えることを繰り返してきた。
金大統領の誕生でパクを取り巻く状況は一変する。韓国と北朝鮮の緊張緩和が進み、安企部は解散して大統領直属の国家情報院に様変わりする。活躍の場を得たパクだが、李明博、朴槿恵と2代続いた保守政権の下、権力の追及を受ける。大衆レベルの動きはダイナミックな韓国だが、大統領が代わるたびに流れは変わる。韓国の民主主義も発展途上であることが本作で窺えた。
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