俺は民主党支持でもナショナリストでもないが、鳩山首相の国連での演説に感銘を受けた。〝アメリカのポチ〟と揶揄されたり、小学生の作文のようなスローガンを掲げたり、人権意識の欠片もなかったりと、ここ数代のリーダーがひど過ぎたから、〝普通〟が新鮮に映っただけかもしれないが……。
新著のPRのため来日した〝世界最高の知性〟ジャック・アタリは、「財界に異見はあるようだが、環境重視に則った技術革新こそ日本の生きる道」と新政権支持のコメントを残した。前々稿(24日)冒頭に記した内容と一致したことが少しうれしい。ちなみにアタリは最近<愛他>を説いている。鳩山首相の<友愛>とどこかで繋がっているのだろうか。
来月2日、2016年の五輪開催地が決定する。下馬評では東京は厳しそうだが、鳩山首相は予定を変更してIOC総会(コペンハーゲン)に出席する。それではと、オバマ大統領まで駆けつけることになった。
東京オリンピックが開催された1964年、小学2年生だった俺は、大人たちが必死に応援する〝国〟という存在を知る。三島由紀夫の自決以降、愛国心は右翼の専売特許になったが、60年代は社会に遍く浸透していた。三派系全学連の街頭闘争を支えたのは、庶民の〝反米愛国〟感情だったという。
モノクロの小さな画面で、俺は〝国〟より重要な〝女性〟を発見した。フランスの水泳選手、東欧の体操選手etc……。俺は女性アスリートの美しさに目を奪われた。「あのときめきをもう一度」と言いたいところだが、今回の五輪開催は「NO!」である。
高度成長期に開催された東京オリンピックは、国民や市民にさほどツケを残さなかったとされるが、小林信彦の小説などに描かれているように、国を挙げての東京浄化が進行していた。その後の五輪は、札幌の自然破壊、長野の財政逼迫と負の遺産が目立つ。
64年は10月開催と最適の時季だったが、16年は8月を想定している。主役はあくまで選手なのに、ヒートアイランドで競技を強いるなんて狂気の沙汰だ。「ニュースの深層」で谷口源太郎氏は、トライアスロンのコース(お台場)が抱える水質問題を指摘していた。
そもそも、石原都知事に国際交流を語る資格はあるだろうか。排外主義的な言動に事欠かなかったが、東京五輪に向けて修正せざるを得ず、親しい野中広務氏の仲介で中国政府との関係改善を図る。「ドンとして東京五輪を迎えたい」が本音だろうが、事はうまく運びそうにない。
日本は現在、傷みが目立つ巨大な装置といえる。貧困率の上昇、1人当たりのGDPの減少、少子化、農業自給率の低下、年金・福祉・医療の制度崩壊と問題は山積している。ピットインして疲れを癒やし、国力を整備する時期で、オリンピックに莫大な資金を投入するべきではないというのが、国民の声ではないだろうか。
日曜夜、「大食い王決定戦」を見た。予選突破した唯一の男性も早々に敗退し、女性たちの独壇場となる。肉食系女子、草食系男子の時代を象徴する番組だった。優勝者の実力は抜きん出ていたが、彼女に〝痛さ〟を覚えたのは俺だけだろうか。
新著のPRのため来日した〝世界最高の知性〟ジャック・アタリは、「財界に異見はあるようだが、環境重視に則った技術革新こそ日本の生きる道」と新政権支持のコメントを残した。前々稿(24日)冒頭に記した内容と一致したことが少しうれしい。ちなみにアタリは最近<愛他>を説いている。鳩山首相の<友愛>とどこかで繋がっているのだろうか。
来月2日、2016年の五輪開催地が決定する。下馬評では東京は厳しそうだが、鳩山首相は予定を変更してIOC総会(コペンハーゲン)に出席する。それではと、オバマ大統領まで駆けつけることになった。
東京オリンピックが開催された1964年、小学2年生だった俺は、大人たちが必死に応援する〝国〟という存在を知る。三島由紀夫の自決以降、愛国心は右翼の専売特許になったが、60年代は社会に遍く浸透していた。三派系全学連の街頭闘争を支えたのは、庶民の〝反米愛国〟感情だったという。
モノクロの小さな画面で、俺は〝国〟より重要な〝女性〟を発見した。フランスの水泳選手、東欧の体操選手etc……。俺は女性アスリートの美しさに目を奪われた。「あのときめきをもう一度」と言いたいところだが、今回の五輪開催は「NO!」である。
高度成長期に開催された東京オリンピックは、国民や市民にさほどツケを残さなかったとされるが、小林信彦の小説などに描かれているように、国を挙げての東京浄化が進行していた。その後の五輪は、札幌の自然破壊、長野の財政逼迫と負の遺産が目立つ。
64年は10月開催と最適の時季だったが、16年は8月を想定している。主役はあくまで選手なのに、ヒートアイランドで競技を強いるなんて狂気の沙汰だ。「ニュースの深層」で谷口源太郎氏は、トライアスロンのコース(お台場)が抱える水質問題を指摘していた。
そもそも、石原都知事に国際交流を語る資格はあるだろうか。排外主義的な言動に事欠かなかったが、東京五輪に向けて修正せざるを得ず、親しい野中広務氏の仲介で中国政府との関係改善を図る。「ドンとして東京五輪を迎えたい」が本音だろうが、事はうまく運びそうにない。
日本は現在、傷みが目立つ巨大な装置といえる。貧困率の上昇、1人当たりのGDPの減少、少子化、農業自給率の低下、年金・福祉・医療の制度崩壊と問題は山積している。ピットインして疲れを癒やし、国力を整備する時期で、オリンピックに莫大な資金を投入するべきではないというのが、国民の声ではないだろうか。
日曜夜、「大食い王決定戦」を見た。予選突破した唯一の男性も早々に敗退し、女性たちの独壇場となる。肉食系女子、草食系男子の時代を象徴する番組だった。優勝者の実力は抜きん出ていたが、彼女に〝痛さ〟を覚えたのは俺だけだろうか。