帰京後、ゴキブリも寄り付かないゴミ部屋を片付けた。可燃と不燃のゴミは合わせて10袋(45㍑)になり、古紙やペットボトルも大量に出した。普通程度の汚部屋に電器屋さんを迎えたのだが、加療のためパソコンは入院(メーカーで調査)という診断が下った。自業自得とはいえ、今後2週間は家でパソコンを使えない。
ネットカフェでブログを更新する日が続く。時間も限られているので、内容が薄くなる上、誤字脱字も甚だしくなる。「本当に校閲者」と訝る声が出ても仕方ない。戯言シリーズは打ち止めに、今回は「盤上のアルファ」(塩田武士著、講談社)について記したい。読了後、2週間ほど経っているため細かい部分は忘れているが、逆に全体像がロングのアングルで浮き上がってきた。
2人の男の交流が物語を進行させる。秋葉隼介は地方紙記者で、作者の経験を反映している。俺自身、寒風吹きすさぶメディアの片隅に棲息しており、秋葉の人間像や思考法に共感できる点も多かった。秋葉は社会部から文化部に異動を命じられたことで、自らの内なる下降志向に気付く。肩肘張って闊歩するより、社会の底から世を穿つことに生きがいを見いだした。
一方の真田信繁は尼崎生まれで、貧困と家庭崩壊にもがいてきた。真田にとって将棋だけが自己表現の手段であり、救いだった。真田の将棋は〝妖刀〟とプロを恐れさせた真剣師の小池重明を彷彿させる。異形の男はいったん踏み外した道を這い上がっていく。本作が映画化されたら、監督の力量次第で「幻の光」、「赤目四十八瀧心中未遂」と並ぶ〝尼崎三部作〟に数えられるだろう。秋葉と真田は将棋という狂おしいゲームを結び目に友情を育んだ。下降と上昇が綾なす糸が、二人を意外な結末に導いていく。
名人戦、竜王戦の中継、NHK杯トーナメントは欠かさず見ている俺だが、将棋を理解しているわけではなく、棋士の個性を楽しんでいる。俺にとって<今年の一言>はNHK杯で解説を担当した森内名人によって発せられた。森内は藤井9段の差し手に「凡人には思いつかない」と素直な感想を洩らす。時の名人でありながら自らを〝凡人〟と評する森内の謙虚さと奥深さに、羽生に先んじて永世名人位を獲得した理由の一端を見た。
男たちのドラマにページを繰る指は止まらなかったが、予想に反してミステリーではない。伏線は張られていたが、読み取るには無理がある。本作には狼の夢やイメージが繰り返し挿入されていた。真田は幼い頃、「狼の群れのボスは雄であれ雌であれ、アルファと呼ばれる」と図書館員に教わる。本作で〝アルファ〟といえば静しかいない。ネタバレ覚悟でいえば、真の主人公は秋葉でも真田でもなく、静だと思う。
俺の経験からすれば、アウトサイダー、社会的不適応者、確率が低い夢に身を賭す男に惚れる女はいない。その点でいえば「盤上のアルファ」は、冴えない男たち(俺もそのひとりだが)にとって<愛の寓話>に思えてくる。含みのある結末であり、女流棋士の加織と秋葉に焦点を当てた続編に期待したい。
お告げのおかげで低配当の秋華賞と菊花賞を当てた。別に自慢にならない。天皇賞は⑧ペルーサ、⑪ローズキングダムの2頭軸の3連単を購入するつもりでいる。相手候補の筆頭は⑦ダークシャドウで、⑦⑧⑪の馬連ボックスも買ってみたい。
実は今回もお告げはあった。昨日(28日)夕方から未明にかけ競馬面の作業に従事したが、夢の中で直し漏れを思い出し、職場に電話した。「大丈夫、直しましたよ」と言われホッとしたのだが、該当するのが天皇賞の④⑱。手を広げるつもりはないので、馬連のみ付け加えることにする。
ネットカフェでブログを更新する日が続く。時間も限られているので、内容が薄くなる上、誤字脱字も甚だしくなる。「本当に校閲者」と訝る声が出ても仕方ない。戯言シリーズは打ち止めに、今回は「盤上のアルファ」(塩田武士著、講談社)について記したい。読了後、2週間ほど経っているため細かい部分は忘れているが、逆に全体像がロングのアングルで浮き上がってきた。
2人の男の交流が物語を進行させる。秋葉隼介は地方紙記者で、作者の経験を反映している。俺自身、寒風吹きすさぶメディアの片隅に棲息しており、秋葉の人間像や思考法に共感できる点も多かった。秋葉は社会部から文化部に異動を命じられたことで、自らの内なる下降志向に気付く。肩肘張って闊歩するより、社会の底から世を穿つことに生きがいを見いだした。
一方の真田信繁は尼崎生まれで、貧困と家庭崩壊にもがいてきた。真田にとって将棋だけが自己表現の手段であり、救いだった。真田の将棋は〝妖刀〟とプロを恐れさせた真剣師の小池重明を彷彿させる。異形の男はいったん踏み外した道を這い上がっていく。本作が映画化されたら、監督の力量次第で「幻の光」、「赤目四十八瀧心中未遂」と並ぶ〝尼崎三部作〟に数えられるだろう。秋葉と真田は将棋という狂おしいゲームを結び目に友情を育んだ。下降と上昇が綾なす糸が、二人を意外な結末に導いていく。
名人戦、竜王戦の中継、NHK杯トーナメントは欠かさず見ている俺だが、将棋を理解しているわけではなく、棋士の個性を楽しんでいる。俺にとって<今年の一言>はNHK杯で解説を担当した森内名人によって発せられた。森内は藤井9段の差し手に「凡人には思いつかない」と素直な感想を洩らす。時の名人でありながら自らを〝凡人〟と評する森内の謙虚さと奥深さに、羽生に先んじて永世名人位を獲得した理由の一端を見た。
男たちのドラマにページを繰る指は止まらなかったが、予想に反してミステリーではない。伏線は張られていたが、読み取るには無理がある。本作には狼の夢やイメージが繰り返し挿入されていた。真田は幼い頃、「狼の群れのボスは雄であれ雌であれ、アルファと呼ばれる」と図書館員に教わる。本作で〝アルファ〟といえば静しかいない。ネタバレ覚悟でいえば、真の主人公は秋葉でも真田でもなく、静だと思う。
俺の経験からすれば、アウトサイダー、社会的不適応者、確率が低い夢に身を賭す男に惚れる女はいない。その点でいえば「盤上のアルファ」は、冴えない男たち(俺もそのひとりだが)にとって<愛の寓話>に思えてくる。含みのある結末であり、女流棋士の加織と秋葉に焦点を当てた続編に期待したい。
お告げのおかげで低配当の秋華賞と菊花賞を当てた。別に自慢にならない。天皇賞は⑧ペルーサ、⑪ローズキングダムの2頭軸の3連単を購入するつもりでいる。相手候補の筆頭は⑦ダークシャドウで、⑦⑧⑪の馬連ボックスも買ってみたい。
実は今回もお告げはあった。昨日(28日)夕方から未明にかけ競馬面の作業に従事したが、夢の中で直し漏れを思い出し、職場に電話した。「大丈夫、直しましたよ」と言われホッとしたのだが、該当するのが天皇賞の④⑱。手を広げるつもりはないので、馬連のみ付け加えることにする。