ビートジェネレーションの精神を継承したアウトサイダーが召された。デニス・ホッパー、享年74歳。「イージー・ライダー」で世界に衝撃を与え、「アメリカの友人」、「地獄の黙示録」、「ブルーベルベット」で強烈な存在感を示す。「スピード」の悪役も魅力的だった。
♪吐く息が白くなるほど 冷たいコーラ飲み干し 豹柄のヴェスパで あの子を迎えに行かなくちゃ 今すぐ デニス・ホッパーみたいに 路上で吹き飛ばされる前に……
ブランキー・ジェット・シティ時代、こう歌った浅井健一も、手向けの酒を酌み交わすに違いない。
芯が詰まったホッパーと比べたら、俺の生き様など泥池で息を潜めるボウフラの如くで、成虫(蚊)になれぬまま老いさらばえている。右膝の不調は治まらず、幾つかの予定を中止した。レントゲンを撮ったら、「年のせいで骨の噛み合わせが悪くなってます。減量した方が」と医者に言われた。
気持ちだけでも若くありたいと現役ロックファンに復帰すると、NY派がビルボードのアルバムチャートを賑わせ、世界を闊歩していた。UKの若手は押され気味で、高評価のホラーズでさえあまり売れていない。今回紹介するFOALSも同様で、満を持して先日発表した2nd「トータル・ライフ・フォーエヴァー」がコケてしまった。俺の脳裏をよぎったのはマンサンの悪夢である。
マンサンの2nd「SIX」は狂おしいほどメランコリックな究極のポップアルバムだが、<真にいいものは売れない>という〝ロックの法則〟を証明し、バンドは失速した。俺のようなしがないブロガーでさえ、気合を入れて書いてもアクセス数が増えないと落胆するものだ。傷心のFOALSは、マンサンの道を辿るのだろうか。
研ぎ澄まされ、際立った輪郭を持つ曲が並ぶ1st「アンチドーツ」超えを目指したFOALSは、細部まで工夫を凝らしつつ、エモーショナルに深化した。ニューウェーヴの影はさらに濃くなり、初期デペッシュ・モードを彷彿とさせるリリカルな曲調もある。俺にとってはノスタルジックで心地良い作りだが、ファジーで切れに欠けるといえぬこともない。〝時代の寵児〟MGMTだって、印象は変わらないけれど……。
ロックは俺にとって魂を抉るナイフ、気分を活性化させる刺激剤、そして心を洗う濾紙だった。現役ファン復帰後、最大の効能である〝癒やし〟に気付く。ミルクに浸されたパンのようにFOALSの音に和みながら読書するのが、俺にとって至高のひとときだ。
FOALSは6月15日、アストロホール(原宿)でワンナイトギグを行う。若者が感性を磨く恰好の機会をロートルが奪うこともないから、見送ることにした。ちなみに、チケット(500枚弱)はまだ残っているようだ。かのステレオフォニックスでさえ会場はキャパ1000人クラスと、この国のロック環境は悪化の一途を辿っている。洋楽ロックは若者ではなく、金満中高年のための音楽になったようだ。
最後に、ダービーの感想を。①②着は早々に切ったので大外れは仕方ない。「競馬予想TV!」で藤沢番のヒロシ氏と調教調査官の井内氏が、ペルーサのソフトな追い切りに疑問を呈していた。前走の好タイム勝ちがこたえていた可能性もある。
ダノンシャンティの取り消しもあったが、時計が出過ぎる馬場のままでは、一流馬の故障続出に歯止めはかからない。JRAに改善を望みたい。
♪吐く息が白くなるほど 冷たいコーラ飲み干し 豹柄のヴェスパで あの子を迎えに行かなくちゃ 今すぐ デニス・ホッパーみたいに 路上で吹き飛ばされる前に……
ブランキー・ジェット・シティ時代、こう歌った浅井健一も、手向けの酒を酌み交わすに違いない。
芯が詰まったホッパーと比べたら、俺の生き様など泥池で息を潜めるボウフラの如くで、成虫(蚊)になれぬまま老いさらばえている。右膝の不調は治まらず、幾つかの予定を中止した。レントゲンを撮ったら、「年のせいで骨の噛み合わせが悪くなってます。減量した方が」と医者に言われた。
気持ちだけでも若くありたいと現役ロックファンに復帰すると、NY派がビルボードのアルバムチャートを賑わせ、世界を闊歩していた。UKの若手は押され気味で、高評価のホラーズでさえあまり売れていない。今回紹介するFOALSも同様で、満を持して先日発表した2nd「トータル・ライフ・フォーエヴァー」がコケてしまった。俺の脳裏をよぎったのはマンサンの悪夢である。
マンサンの2nd「SIX」は狂おしいほどメランコリックな究極のポップアルバムだが、<真にいいものは売れない>という〝ロックの法則〟を証明し、バンドは失速した。俺のようなしがないブロガーでさえ、気合を入れて書いてもアクセス数が増えないと落胆するものだ。傷心のFOALSは、マンサンの道を辿るのだろうか。
研ぎ澄まされ、際立った輪郭を持つ曲が並ぶ1st「アンチドーツ」超えを目指したFOALSは、細部まで工夫を凝らしつつ、エモーショナルに深化した。ニューウェーヴの影はさらに濃くなり、初期デペッシュ・モードを彷彿とさせるリリカルな曲調もある。俺にとってはノスタルジックで心地良い作りだが、ファジーで切れに欠けるといえぬこともない。〝時代の寵児〟MGMTだって、印象は変わらないけれど……。
ロックは俺にとって魂を抉るナイフ、気分を活性化させる刺激剤、そして心を洗う濾紙だった。現役ファン復帰後、最大の効能である〝癒やし〟に気付く。ミルクに浸されたパンのようにFOALSの音に和みながら読書するのが、俺にとって至高のひとときだ。
FOALSは6月15日、アストロホール(原宿)でワンナイトギグを行う。若者が感性を磨く恰好の機会をロートルが奪うこともないから、見送ることにした。ちなみに、チケット(500枚弱)はまだ残っているようだ。かのステレオフォニックスでさえ会場はキャパ1000人クラスと、この国のロック環境は悪化の一途を辿っている。洋楽ロックは若者ではなく、金満中高年のための音楽になったようだ。
最後に、ダービーの感想を。①②着は早々に切ったので大外れは仕方ない。「競馬予想TV!」で藤沢番のヒロシ氏と調教調査官の井内氏が、ペルーサのソフトな追い切りに疑問を呈していた。前走の好タイム勝ちがこたえていた可能性もある。
ダノンシャンティの取り消しもあったが、時計が出過ぎる馬場のままでは、一流馬の故障続出に歯止めはかからない。JRAに改善を望みたい。