酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

供託金ゼロこそ民主主義のスタートライン

2018-04-17 21:00:56 | 社会、政治
 先週は所用が立て込んだ。まずは、12日の第6回「春風亭一之輔 古今亭文菊二人会」(日本橋公会堂)から。一之輔は40歳、文菊は39歳……。ともに落語会を背負って立つ俊英だが、〝壊す〟一之輔、〝守る〟文菊と指向性は対照的だ。枕も一之輔が麻生財務相、文菊が大谷と、個性に合ったネタを選んでいた。

文菊「あくび指南」→一之輔「鮑のし」→一之輔「菎蒻問答」→文菊「子別れ」と高座は進む。一之輔は毒を吐きつつ弾け、文菊は女形のような妖しさを湛えている。ホール落語に集う噺家たちに、エリート意識や馴れ合いを感じることがあるが、この二人にはない。ライバルとして火花を散らしているのだろう。

 14日は横浜スタジアムに足を運んだ。雨が時折降る中、淡々と進み、ベイスターズが2-0で中日を破った。筒香とロペスのアベック弾、バリオスとジーの投げ合い、大和の再三の好守に魅せられたが、ミスも多かった。最たるものは楠本で、右飛で離塁し走塁死する。ラミレス監督は即二軍行きの決断を下した。

 7回表1死1塁、2点差を追う展開で打者ジー……。森監督は代打を送らず、犠打失敗で併殺になる。ありがたい采配ミスと感じた。ベイスターズは翌15日も快勝して8連勝になったが、相手がコケている気もする。〝何となく勝つ〟が強いチームも証しなのだが……。

 スモールベースボールも浸透し、若手の台頭で投打とも層が厚くなった。データと直感のラミレス監督、剛と和の筒香が機能しているが、今永、ウィーランド、石田が復帰した時の投手起用が火種にならないことを願う。

 柔らかいイベントに挟まれたが、東京地裁で13日、「供託金違憲訴訟」第7回裁判(宇都宮健児原告団弁護団長)を傍聴した。閉廷後、参院議員開会で開かれた報告会にも参加する。<供託金ゼロこそ民主主義のスタートライン>が集まった人たちの共通した思いだ。

 安倍首相夫妻の目に余る国家私物化、忖度する政治家と官僚たち……。さすがに噴出した国民の怒りは収まらず、総裁選3選は厳しい状況だ。だが、その先に希望は見えない。星野智幸は1999年から日本の右傾化に警鐘を鳴らしてきた。民主党政権を含め歴代の政権が敷いたレールを、安倍首相は爆走している。

 島田雅彦が「虚人の星」で描いたように、安倍後任と目される石破氏や岸田氏が小泉進次郎氏を前面に立てて選挙を戦ったら……。実権が安倍家から他の一族に移っただけで、〝貴族〟の支配の下、〝奴隷〟が従属する世の中は維持されるだろう。社会の仕組みは変える手段のひとつは、いきなり供託金ゼロは難しくとも、段階的に下げていくことだと思う。

 カナダで昨年、地方裁判所で供託金違憲判決が下り、政府もて控訴しなかった。これでOECD加盟35カ国中、23カ国で供託金が廃止された。残り12カ国のうち10カ国は10万円以下だ。これが民主主義国家のグローバルスタンダードだが、被告(国)は頑なだ。有象無象が立候補して選挙が混乱するというのが表向きの理由だが、1925年の普選法施行時と同様、貧困層が社会に進出することを恐れているのだろう。

 他の先進国では有象無象が立候補しても、いや、しているからこそ、民主主義は機能している。日本に欠けているのは〝自由の気風〟だ。国会前で拳を振り上げている人は、自分が属する職場やコミュニティーで理不尽や不条理に抗議しているだろうか。

 自分の考えを明確に伝え、軋轢が生じても対話で克服することが、民主主義の根幹だ。年収300万の人は、いかに社会を鋭く見据えていても立候補は不可能だ。その結果、貧困層、ハンデを抱えた人の声が政治に届かない。弱者切り捨ては当然の帰結なのだ。

 供託金に関心のある人は少ない。社会を公正かつ公平な形に変え、貴族制を崩壊させる第一歩であることを、微力ながら知らしめていきたい。供託金がゼロになった暁には、俺も有象無象のひとりになってみようかな、なんて妄想している。
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