NFLが開幕した。スーパーボウル進出が期待されるチーフスとレイヴンズの対決はQBマホームズの安定したプレーが光り、チーフスが3連覇に向けて好スタートを切った。俺の中で<NFLファンの大半は保守的な共和党支持者>の図式が出来上がっているが、今季は大統領選との絡みで語られることが多い。
テイラー・スウィフトの恋人はチーフスTEケルシーで、初戦も観戦に訪れていた。テイラーは民主党支持者で、いずれハリス支持を表明するだろうが、トランプ陣営は脅しをかけてくるだろう。メディアを巻き込む空騒ぎにインテリ層は辟易しているはずで、前稿で紹介したポール・オースターに限らず、アメリカの作家でNFLファンを探すのは難しい。オースターの小説では頻繁に野球について語られる。
老人施設に暮らす母と面会するため日帰りで京都に向かうなど、睡眠不足の日々が続いた。暑さも衰えず、脳も溶けそうな状態では込み入った映画を敬遠するしかない。友人が<「キック・アス」に匹敵する超絶エンターテインメント>と評価していた「ポライト・ソサエティ」(2023年、ニダ・マンズール監督)を新宿ピカデリーで見た。パンキッシュでスピード感溢れるコメディーに、屁理屈好きの俺の脳も、タイトルの〝ポライト=礼儀正しい〟とは対極のバチバチはじける展開に踊っていた。
舞台はロンドンのパキスタン人コミュニティーだ。リア・カーン(プリヤ・カンサラ)は自称〝怒りの権化〟の高校生で、スタントウーマンを目指して武道の修行に励んでいる。練習相手の姉リーナ(リトゥ・アリヤ)は画家志望だったが挫折した。カンフーと空手がごっちゃになっている感じもするが、本作を観賞する際には些細なことにこだわってはいけない。男女別学がイスラム社会の基本なのかは知らないが、リアが通うのは女子高だ。親友のクララ、アルバに加え、組み手で圧倒されるボスキャラのコヴァックスも同級生だ。
スナク前首相はインド系だったが、移民というより富裕層に与したことで国民の支持を得られなかった。それはともかく、南アジア系が英国社会に根付いていることは本作からも窺えた。その象徴というべきは上流階級の女帝でゴージャスな装いのラヒーラ(ニムラ・ブチャ)だ。カーン一家は夜会に招かれたが、リーナはラヒーラが溺愛する息子のサリム(アクシャイ・カンナ)の目に留まり、交際することになる。サリムはハンサムな医者で、結婚には申し分のない条件を揃えていた。
この流れに異議を唱えたのはリアだった。姉は自分と同じ変わり者で、上流階級の妻の座に収まるはずがないと考え、婚約を破棄させるため、クララやアルバの力を借りて策略を巡らせるがうまくいかない。周囲は〝仲の良い姉と離れたくないから拗ねているだけ〟と見ていたが、暴走するうち、サリムがラヒーラのために恐るべき実験をしていることを知ったのだ。
遺伝子組み換えやクローン人間作製といったシリアスなテーマを扱いながら、本作は歌って踊るボリウッド的要素を強めていく。とはいえ、ボリウッドに詳しい映画通によれば、貧困や差別など社会性を追求した作品も多いというから、アンビバレントというのも俺の偏見だろう。結婚式でリアが踊るシーンやラヒーラとの対決など、フィジカルな〝軋み感〟が暑気を払ってくれた。予定調和的なラストにも安堵する。
面白かったのは、いかにもボリウッド的なサントラに、ケミカル・ブラザーズや浅川マキの「ちっちゃな時から」が混じっていたことだ。ニダ・マンズール監督はイスラム系のガールズパンクバンドが活躍するドラマで人気を博したという。本作は長編映画デビュー作というが、多様性を志向する作品が期待出来そうだ。
テイラー・スウィフトの恋人はチーフスTEケルシーで、初戦も観戦に訪れていた。テイラーは民主党支持者で、いずれハリス支持を表明するだろうが、トランプ陣営は脅しをかけてくるだろう。メディアを巻き込む空騒ぎにインテリ層は辟易しているはずで、前稿で紹介したポール・オースターに限らず、アメリカの作家でNFLファンを探すのは難しい。オースターの小説では頻繁に野球について語られる。
老人施設に暮らす母と面会するため日帰りで京都に向かうなど、睡眠不足の日々が続いた。暑さも衰えず、脳も溶けそうな状態では込み入った映画を敬遠するしかない。友人が<「キック・アス」に匹敵する超絶エンターテインメント>と評価していた「ポライト・ソサエティ」(2023年、ニダ・マンズール監督)を新宿ピカデリーで見た。パンキッシュでスピード感溢れるコメディーに、屁理屈好きの俺の脳も、タイトルの〝ポライト=礼儀正しい〟とは対極のバチバチはじける展開に踊っていた。
舞台はロンドンのパキスタン人コミュニティーだ。リア・カーン(プリヤ・カンサラ)は自称〝怒りの権化〟の高校生で、スタントウーマンを目指して武道の修行に励んでいる。練習相手の姉リーナ(リトゥ・アリヤ)は画家志望だったが挫折した。カンフーと空手がごっちゃになっている感じもするが、本作を観賞する際には些細なことにこだわってはいけない。男女別学がイスラム社会の基本なのかは知らないが、リアが通うのは女子高だ。親友のクララ、アルバに加え、組み手で圧倒されるボスキャラのコヴァックスも同級生だ。
スナク前首相はインド系だったが、移民というより富裕層に与したことで国民の支持を得られなかった。それはともかく、南アジア系が英国社会に根付いていることは本作からも窺えた。その象徴というべきは上流階級の女帝でゴージャスな装いのラヒーラ(ニムラ・ブチャ)だ。カーン一家は夜会に招かれたが、リーナはラヒーラが溺愛する息子のサリム(アクシャイ・カンナ)の目に留まり、交際することになる。サリムはハンサムな医者で、結婚には申し分のない条件を揃えていた。
この流れに異議を唱えたのはリアだった。姉は自分と同じ変わり者で、上流階級の妻の座に収まるはずがないと考え、婚約を破棄させるため、クララやアルバの力を借りて策略を巡らせるがうまくいかない。周囲は〝仲の良い姉と離れたくないから拗ねているだけ〟と見ていたが、暴走するうち、サリムがラヒーラのために恐るべき実験をしていることを知ったのだ。
遺伝子組み換えやクローン人間作製といったシリアスなテーマを扱いながら、本作は歌って踊るボリウッド的要素を強めていく。とはいえ、ボリウッドに詳しい映画通によれば、貧困や差別など社会性を追求した作品も多いというから、アンビバレントというのも俺の偏見だろう。結婚式でリアが踊るシーンやラヒーラとの対決など、フィジカルな〝軋み感〟が暑気を払ってくれた。予定調和的なラストにも安堵する。
面白かったのは、いかにもボリウッド的なサントラに、ケミカル・ブラザーズや浅川マキの「ちっちゃな時から」が混じっていたことだ。ニダ・マンズール監督はイスラム系のガールズパンクバンドが活躍するドラマで人気を博したという。本作は長編映画デビュー作というが、多様性を志向する作品が期待出来そうだ。
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