大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2012年01月26日 | 写詩・写歌・写俳

<146> 文化財の防火訓練
        冬空へ 一斉放水 高々と
  文化財防火デーの二十六日、生駒郡斑鳩町の法隆寺でお寺や地元消防関係者による消防訓練が行われ、境内の鏡池畔で消防車四台による一斉放水が行われた。 文化財防火デーは昭和二十四年に世界最古の木造の建造物で知られる金堂から出火し、壁画が焼損したのをきっかけに昭和三十年に制定されたもので、法隆寺ではこの日に消防訓練をするようになった。

                   
  今日は今冬一番の冷え込みとなり、冷たい朝だったが、 観光客や地元の幼稚園児ら約二百人が見守る中、五重塔を背景に一斉放水した。写真は法隆寺における消防訓練の一連であるが、 訓練以外には境内で消防車の姿を見ないことを望むばかりである。

    


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2012年01月25日 | 写詩・写歌・写俳

<145> 冬 の 山 里
        山肌に 日が差し当たると 沈んでいた木々の梢が さっと輝く
       小鳥たちは田んぼへ 落ち穂でも拾いに出かけたか
       どこにも姿が見えない 声も聞こえて来ない
       手拭いで頬かむりした老爺が一人 橡を伐り始めた
       椎茸の榾木にでもするのだろう すでに相当数を積み上げている
       今日一日どこまでなのか 新しい伐り株が幾つか見える
       小さい生きものたちはどこに潜んでいるのだろう
       この冬の山のどこかにいるはずである 見えるのは老爺一人
       小さい生きものたちの中で いの一番に出て来るのは
       天道虫だろうか 鶯だろうか 木五倍子の花も見られよう 梅の花も
       まだ 風は肌に冷たく 私の足の先はじんじんと冷えまさる
       だが 賑やかになるのは もうすぐのこと 冬の先には春 春がある

  今日は奈良市郊外に出かけた。山里に車を走らせ、里山の周辺を歩いてみた。体調はよくなったが、体が鈍って少しきつかった。寒は今が一番の時期か。関東以北や日本海側は大雪のようである。 だが、暖かな地方のどこかでサクラ(カワズザクラ)が咲き始めたというニュースがあるなど春の息吹も聞こえて来る。

                                       


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2012年01月24日 | 写詩・写歌・写俳

<144> 雪 の 渓 谷
       まだ遠し まだ遠しまだ ここには春

                         
 「まだ」という言葉には、「なお」と同じようにその言葉の先に何かがあり、それを暗には言っているということが出来る。この句で言えば、春がそれに当たる。雪が融け、春が来ると、山肌は青みを得て、キブシなどがまず花を見せ、スミレなども咲く。また、「まだ」 という言葉には時が必要であることを意味することも言える。 しかし、時が要るけれども、その時は来るということが前提にある希望がその言葉には見える。 先ずは、待つことにしよう。


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2012年01月23日 | 写詩・写歌・写俳

<143> 冬  日
        冬日射す 障子に午後の 暖かさ
  冬型の気圧配置が強まっているようで、外は風が出て、空には雲が流れて行き、照ったり翳ったりという冬季独特の一日になった。 大安寺の光仁会(こうにんえ)に出かける予定でいたが、インフルエンザが抜け切らず、タミフルを飲んでいる関係もあって中止した。で、今日も一日中家の中であったが、 日差しがあるときは暖房も必要ないほどで、それほど厳しいこともなかった。
  冬日の射す障子は 家の中でも私の好きな光景で、 これは子供のころからであったように思われる。まず、明るく、暖かな気分になれるのがよい。また、障子にはいろんな影が映るので、これを見るのも楽しい。 その影は少しずつ移動してゆき、見ていて飽きない。
 近ごろは見受けないが、 庭に来るスズメが映ったりしたこともあった。 日が西に傾き始めると障子には徐々に影の部分が広がり、気分も塞いでゆく感じになるが、 この日射しも立春に向かい徐々に変化してゆく。では、またの一句。 冬日射し 障子に影の 移りゆく

                                                           


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2012年01月22日 | 写詩・写歌・写俳

<142> シンピジュウム
         夢の花 妻は真冬に 咲かせゐる
   妻もインフルエンザに感染してしまった。まことに申し訳け
ない。そんな気持ちになっている。妻は昨年の十一月に混合ワクチンの予防接種をしているのでうつることはなかろうと思っていた。 ところが、私が熱を出して六日目の今日になって熱が出たのであった。
   で、朝一番に休日応急診療所に行き、診てもらったところ、 A香港型のインフルエンザであることがわかった。 私の方はカプセル入りのタミフルを処方されたが、妻の方は器具を用いる吸入式のリレンザを処方され、 器具の使い方に手間取りながら吸引していた。
   妻の話によると、診療所は超満員の盛況だったという。 これはA香港型が猛威を奮っている実態を示すものであろう。ところで、私の方は今日寝床を離れることが出来た。 体調がおかしいと思ってから一週間目である。 熱が出てからずっと寝床の中で、 ほとんど一つの部屋に釘付け状態だったので、 各部屋の様子などには目が行かずいたのであったが、妻が育てているシンピジュウムがこの何日かの間にみごと開花していた。それが今日目に入ったのであった。
   人間さまが病に悩まされ、「うんうん」言っている間にシンピジュウムは蕾を膨らませていたのである。 この一、二週間が一番の見ごろではないかと思われる。これから一段と寒いようであるが、花は慰めである。