<3121> 大和の花 (1084) シマスズメノヒエ (島雀の稗) イネ科 スズメノヒエ属
在来のスズメノヒエ(雀の稗)の仲間として知られる南アメリカ原産の多年草で、北アメリカなど世界の熱帯から温帯に広く帰化し、日本では大正4年(1915年)、小笠原諸島で見つかったので、この名がある。戦後間もなく国内に広まり、本州の関東地方以西、四国、九州、琉球列島に及び、野生化して道端などの雑草として普通に見られるようになった。また、芝地や果樹園などに入り、厄介な存在になっているところも見られるという。一方、暖地型の牧草として利用され、評価が分かれる。
スズメノヒエに似るが、本種の方がひと回り大きく、茎(稈)は叢生して高さ1メートルほどになる。葉は線形で先が尖る。花期は7月から10月ごろで、茎(稈)の先に7センチから10センチの穂の枝を5本前後出し、3、4列の小穂を多数密に連ねる。小穂は楕円形に近く、先が尖り、縁に毛があるので無毛のスズメヒエと見分けられる。実は頴果で円盤状。
大和(奈良県)では繁殖が著しく、馬見丘陵公園では草地を被い尽くすほど群生し、広がりを見せている。一方、奈良公園の芝地には侵入の形跡がほとんどなく、これにはシカの影響が考えられる。それにしても、雑草の猛威は公園管理における悩みの種ではある。 写真はシマスズメノヒエ。草地を被い尽くす(左)シマスズメノヒエ(中)と花序のアップ(右・連なる小穂の縁に毛が見える)。 雑草の繁る勢ひ欲しいまま