大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2012年02月25日 | 祭り

<176> おんだ祭り (御田植祭) (8)
        立ち上がる 笑ひもどこか 春めける おんだ祭りの翁の所作に
  今日は雨模様の鬱陶しい一日だったが、奈良市菅原町の菅原神社のおんだ祭り(御田植祭)に出かけた。 菅原神社は大仏殿との関わりで知られる喜光寺の目と鼻の先にある神社で、菅原道真の生まれたところと言われる。
  祭りは、午後に行なわれ、神事の後、二時から表の庭でお田植えの所作が披露された。 所作役は中学生の牛役と翁面を被った田主役の二人であったが、田主役の口上に取り巻きが合いの手を入れて所作を盛り上げるという趣向で、ときにユーモラスな演技もあって、 見物衆からその都度笑いが立ち上がった。
                     
  道真ゆかりのお寺だけあって、ウメが多く、今年は寒さが厳しかったためか、開花が遅くれているようであるが、今にも咲き出しそうな蕾をつけ、春めいて見えた。生憎の天気だったが、確実に春は来ているという感じが境内にはあった。田主役が所作の前に「福の種播こうよ」と大音声で口上を述べると周りからも「福の種播こうよ」と声が上がり、田主役は庭の四方へ福の種籾を播いて回った。
  「今年もいい年でありますように」と、 見物衆は最後に苗松をもらって、 祭りは終わった。 所作役は少なかったが、口上のおもしろさがあり、口上には大神神社の所作に似るところがあるように思われた。また、牛役の少年の動きがよく、見物衆からおひねりの心付けが投げ込まれる場面もあった。  写真は左から口上を述べる翁、鍬を使う翁、 牛で田起こしの所作、 土を均す翁、 牛の面、 牛で代を掻く所作、肥を撒く翁、福の種籾を播く翁、苗松を配る巫女さん。