大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2012年01月06日 | 写詩・写歌・写俳

<126> ロ ウ バ イ
         蝋梅の 活けられてゐる 確かな香
  ロウバイは中国原産のロウバイ科の落葉低木で、江戸時代のはじめごろ渡来し、観賞用として庭園に植えられたり、切り花用に栽培されたりしている。 旧暦十二月のこの時期に芳香のある蝋細工のような 艶のある内側が暗褐色の黄色い花を咲かせ始める。 このため漢名の蝋梅がそのまま和名になったと言われる一方、 十二月を臘月と称するところから臘梅の名でも知られるところとなった。
                         
                               

  大和ではお寺の庭などに多く、各地に見られるが、 明日香村八釣に多い。 切り花用に植えられたものであるが、野生化して風情がある。「中国ではウメ、スイセン、ツバキとともに雪中の四花とされている」(木村陽二郎監修 『花と樹の事典』)と言われるほどで、春のジンチョウゲ、もしくは、ウメ、夏のクチナシ、秋のモクセイとともに冬のロウバイは香のよい木の代表としてあげることが出来る。
  このため、活け花に用いられることが多く、花の少ない冬季だけにスイセンなどとともに貴重な花になっている。かつて、陶芸家の富本憲吉記念館(生駒郡安堵町)を訪れたとき、座敷の奥の方からいい香がして来たことがあった。冬のことで、そのとき、 とっさにロウバイだなと思って見たところ奥の方に目立たない花であったが、 ロウバイが活けてあった。冒頭の句はそのときの印象を詠んだものである。  写真はともに花全体が黄色いソシンロウバイで、高市郡明日香村八釣で撮影したものである。