<122> 雑 煮
すまし派に 味噌汁派のある 雑煮かな
穏やかな元日とは一転して、正月二日の大和はときおり雨が降る空模様になり、日射しが乏しく、底冷えのする日になった。 今日も朝は雑煮。で、今日はこの雑煮について少し触れてみたいと思う。
「所変われば品変わる」とは昔から言われる言葉であるが、雑煮にもそれが言えそうである。 豪華な雑煮もあるけれど、雑煮というのは簡素なものが多いように思われる。 これは雑煮が昔から実生活の知恵から生じたもので、これが引き継がれているからで、 具材を見ても、その土地、土地の産物、つまり、地産のものが用いられ、地方色が見られることによる。
つまり、 雑煮というのは地方によって趣に違いが見られることになるわけである。 私も妻も郷里が備前(岡山県)で、雑煮は備前風と言ってよく、汁は醤油をベースにしたすましである。ところが、現在住まいしている大和(奈良県)では白ミソ仕立ての汁を用いる。大阪や京都も白ミソ汁仕立てと聞くから関西はミソ汁派が主流であるということが言える。
我が家は備前風でも妻の実家の倉敷がベースで、 倉敷風と言ってよく、 結婚以来ずっとこの雑煮を食べ、ミソ汁仕立ての雑煮はまだ口にしたことがない。なので、比較出来ないが、ミソ汁仕立てもおいしいと聞く。我が家の場合、具材は写真のごとくで、餅のほかにホウレンソウ、 ささがきゴボウ、カマボコ、 ブリの切り身、ダテマキなど。以前は頭つきのエビが載り、藻貝も入ったが、大和では藻貝は手に入らず、経費節減ではないけれど、 妻にはいろいろと考えがあるようで、 エビもこのところ姿を見せなくなった。
大和(奈良県)のミソ汁仕立てでは、餅のほか、細身の雑煮ダイコン、ニンジン、サトイモ(頭イモ)、豆腐、コンニャク、カツオブシなどが入るようである。妻は雑煮の餅にきなこを塗して食べるが、これは大和風で、 雑煮にきなこはつきものになっているようである。我が家もきなこを置いているが、 私は小さいときから雑煮をそんな風に食べたことがないので、今も雑煮餅にきなこを塗して食べることはしない。
また、餅は丸餅と角餅があり、 備前でも大和でも丸い方で、これは同じである。 丸く納まるという意味があるらしいが、東日本では角餅のところが多いようで、 その意味づけは、日本が南北に細長い地形にあり、 その気候、 風土の異なりによると考えた方がむしろよさそうに思われる。どちらにしても、雑煮というのは、生活に根づいてあるもので、地方によって異なり、その地方の特色がよく表されていると言える。