<3574> 奈良県のレッドデータブックの花たち(129) サイカチ(皀莢) マメ科
[別名] カワラフジノキ
[学名] Gleditsia japonica
[奈良県のカテゴリー] 情報不足種
[特徴] 山野の川原に生える落葉高木で、大きいものでは高さが20メートルほどになる。樹皮は灰褐色で、老木では黒色を帯びる。幹や枝には短枝の変形した刺がある。葉は1、2回偶数羽状複葉で、小葉は長さが3~5センチの歪んだ長楕円形。6~12対つき、互生する。
花期は5~6月。雌雄同株で、短枝の先に穂状花序をを出し、淡黄緑色の直径が7~8ミリの小さな4弁花を多数つける。雄花では雌しべが退化し、雌花では雄しべが退化する。花弁や萼には毛が密生する。実は長さが20~30センチの扁平で歪んだ莢の豆果で、晩秋のころ濃紫色に熟す。
[分布] 本州、四国、九州。国外では朝鮮半島、中国。
[県内分布] 奈良市、香芝市、御所市。
[記事] 大和地方では古木も見られるが、自生か植栽起源かはっきりしないため、奈良県のレッドデータブックには情報不足種としてあげている。なお、『奈良の巨樹たち』(1998年・グリーンあすなら編)には御所市西柏町と香芝市別所の古木が紹介されている。両古木は推定樹齢200~300年で、葛城川と蓮池の傍に生え、ともに樹下には神様が祀られ、大切にされている。
因みに御所市の西柏(さいかし)町の町名はサイカチの古名サイカイシ(西海子)に由来するという。また、サイカチ(皀莢)の名は一説に古名サイカイシ(西海子)の転じたものと言われる。皀莢は漢名。なお、『万葉集』に見える「さうけふ」にジャケツイバラとともにサイカチも候補にあげられている。なお、豆果の実は石鹸にされ、薬用としても利尿、去痰に効能があるという。材は光沢があり、建築、細工物、家具などに用いられる。
写真は御所市西柏町の白龍大明神社の推定樹齢200年のサイカチ(左)、雌しべが退化した雄花(中)、歪んだ豆果(右)。
努力なしに生きようなんて
そんな虫のいい話などない