<3677> 写俳二百句(111) 寒明(かんあけ)
寒明やまづは日差しに現はるる
立春過ぎの寒明(かんあけ)の時期、日本列島は北海道や本州の日本海側をはじめ大雪に見舞われている地方が多く、大変な様子がニュースでうかがえる。その報に春の感は全くないが、奈良盆地の大和平野の今日はよい日和になり、明るい日差しに春の気配が感じられた。
ところで、今日二月十一日は建国記念の日の祝日。普通の年であれば、廣瀬神社の砂かけ祭りをはじめ大和地方では各地の神社で御田植祭の催しがあり賑わう。だが、新型コロナウイルスのオミクロン株の猛威のさ中、祭りは中止や縮小を余儀なくされ、その意味では淋しい日になった。
それでも、よい日和に春への序章の感。思うに、寒明のこの時期、春は名のみに違いないが、春はまず日差しに現われるといったところ。よく歩きに行く、奈良県営馬見丘陵公園の池ではその日差しを受けて穏やかに温む水面のそこここで、頻りにカモたちが羽を広げて伸び上がり、そのたびに水飛沫をあげるのが見られ、水飛沫は明るさを増した日差しを反射し、輝いて見えた。
水面はそこだけ明るく、スポットライトが当てられたような感じで、艶やかなマガモのオスが舞台の主役のように見え(写真)、岸からの目を魅了した。これから先、三寒四温を何度か繰り返し春本番を向かえるはずである。猛威を振るう新型コロナウイルスのオミクロン株はサクラが咲くころには収まるだろうか。「早く来い来い」と思う気分の寒明の時期ではある。