<2670> 大和の花 (781) ウマノアシガタ (馬足形・毛莨) キンポウゲ科 キンポウゲ属
山野の日当たりのよい少し湿気のあるような畦などに群生する多年草で、高さが30センチから70センチほどになる。葉は根生の葉と茎葉からなり、根生する葉は長い柄を有し、掌状に3裂から5裂し、裂片が更に浅く裂ける。
花期は4月から5月ごろで、直径1.5センチほどの光沢がある黄色の5弁花を上向きに咲かせる。実は痩果が集まった集合果で、直径数ミリの球形。淡緑色で、花の中央に出来る。花弁が散った後、集合果は残り、痩果が熟すのを待つ。痩果にはやや曲がる短い花柱が見られる。
ウマノアシガタの名は、根生の葉を馬蹄に見立てたことによると言われるが、鳥足形の誤記ではないかとも言われる。別名のキンポウゲ(金鳳花)もよく知られるが、こちらは黄色い花による。北海道、本州、四国、九州、西南諸島に分布し、国外では、朝鮮半島、中国、台湾に見られるという。大和(奈良県)では普通に見られる。
有毒植物で、鮮やかな黄色い花は艶やかで目を引くが、子供のころから毒草の認識があったので避けて来た感がある。 写真はウマノアシガタ。花のそれぞれ(左から高取町、斑鳩町、天川村)。 金鳳花いつも見てゐるのみの花
<2671> 大和の花 (782) キツネノボタン (狐牡丹) キンポウゲ科 キンポウゲ属
山野の湿気のあるところに生える多年草で、高さは30センチから60センチほどになり、ときに群生するのを見かける。茎は無毛で、葉は3出複葉。小葉は更に2、3浅裂し、不規則な鋸歯が見られる。花期は4月から7月ごろと長期に及び、枝先に直径1センチから1.5センチの光沢のある黄色の5弁花を上向きに開く。
実は痩果が多数集まった球形の集合果で、楕円形の痩果の先が湾曲する特徴がある。本種の近縁種で、よく似るケキツネノボタン(毛狐牡丹)は全体に毛が多く、痩果の先が曲がらないのでこの点が判別点になる。ウマノアシガタと同様有毒植物として知られる。なお、葉がボタンに似て山野に生えるのでこの名があるという。また、実が金平糖に似るので、コンペトークサの地方名も見られる。
ともに日本全土に分布し、キツネノボタンは朝鮮半島、中国、インドなど、ケキツネノボタンは朝鮮半島、中国、台湾などに見られるという。 写真は左から群生して花をつけるキツネノボタン、キツネノボタンの花と実(実の尖った先が湾曲している)、ケキツネノボタンの花と実(尖った先が曲っていない)。 晩春や花に身一つ追ひつかず
<2672> 大和の花 (783) タガラシ (田辛子・田枯らし) キンポウゲ科キンポウゲ属
水田や溝、または池沼の周辺などに生え、群生することの多い2年草で、高さは30センチから50センチほどになる。茎は中空で無毛。葉は3深裂し、裂片は更に細かく裂ける。花期は4月から5月ごろで、上部の枝先に黄色の5弁花1花を上向きに開く。花は直径1センチ弱。花の後、緑色の花床が残り、大きくなって長さが1センチ弱の楕円形の集合果をつける。
日本全土に分布し、北半球一帯に広く見られ、南半球にも帰化していると言われる有史前帰化植物と考えられている。大和(奈良県)では普通に見られ、広陵町の馬見丘陵公園の溜池では浅瀬を占拠するほど群生する年がある。タガラシの名は、有毒植物で、辛味があるからとする説とタガラシが生える田では稲の収穫がよくないところから田を枯らす意によるという説がある。 写真はタガラシ。池の浅瀬での群生(左)、花を咲かせる個体(中)、花のアップ(右)。 山の辺も明日香も遅日斑鳩も