<144> 雪 の 渓 谷
まだ遠し まだ遠しまだ ここには春
「まだ」という言葉には、「なお」と同じようにその言葉の先に何かがあり、それを暗には言っているということが出来る。この句で言えば、春がそれに当たる。雪が融け、春が来ると、山肌は青みを得て、キブシなどがまず花を見せ、スミレなども咲く。また、「まだ」 という言葉には時が必要であることを意味することも言える。 しかし、時が要るけれども、その時は来るということが前提にある希望がその言葉には見える。 先ずは、待つことにしよう。
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