大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2012年03月04日 | 祭り

<184> おんだ祭り (御田植祭) (10)
         敬虔と 親和の歴史 伝統の お田植え祭り 今日に継がるる
  四日、葛城市長尾の長尾神社でおんだ祭りの御田植祭が行われ、 見学に出かけた。 雨模様のため拝殿での所作となった。田をこしらえ、 種籾を播き、牛が登場して代掻きなどをし、早乙女たちの田植えがあり、その所作は他所のおんだ祭りとそれほど変わりなかったが、楽しく見させてもらった。最後は福餅撒きが行われ、にぎわった。写真は左から畦づくり、種播き、牛の登場、苗松を手にする早乙女たち、早乙女たちの田植えの各所作。次は撒かれる紅白の餅、餅撒きの模様。
                                                   
  長尾神社は竹内街道、長尾街道、横大路が交差する要衝の地に鎮座するが、その名は、三輪山の大蛇が三重に巻き、その尾が大和平野に伸びてこの地に至ったとか、大和高田市の龍王社の龍がこの地まで尾を伸ばしたとかの謂われによるようで、延喜式神名帳にも見える古社として知られ、この祭りもかなりの歴史があるようである。
  おんだ祭り(御田植祭)を見ていると、この祭りにも等しく言えることであるが、祭りには敬虔なる祈願が見え、 みんなで行なう集落的共同社会が有する親和性がうかがえ、生産に対する希望と感謝が表現されており、ユーモアが感じられる。そして、 祭りには、今の世の中が忘れつつあるこの親和に基づく絆によって伝統が守られて来た歴史のあるのが見ていてわかる。牛がトラックタ―に変わって久しいが、 長年助力を得、 パートナーとしてあった牛にこだわる所作にはこの祭りの精神がよく見られ、私には親しみがもてた。