<138> 枯 れ 葦 原
これでよし とことん枯れて 葦の原
写真は曽爾高原(宇陀郡曽爾村)のお亀池の真冬の光景である。大半が丈の低いアシに被われ、 水のほとんど枯れた部分が多い湿原で、 冬場は雪が積もって写真のように一面が白くなり、枯れアシが薄茶色の模様になって目を引く。
高原特有の湿原は植生に恵まれ、夏から秋にかけてはいろんな草花が見られ、中には珍しい花も咲く。曽爾高原はススキの名所で、池の周辺は標高七百メートルほどで、大半がススキに被われ、ススキが穂を靡かせる十月から十一月はみごとである。ススキは三月の中ごろ行なわれる山焼きによって焼かれるが、そのときに池のアシも焼かれる。
ススキもアシも四月中旬ころになると芽を出し、高原の一帯は夏になると、緑の絨毯を敷き詰めたように蘇る。お亀池ではアマドコロ、サギスゲ、ヌマトラノオ、 チダケサシ、カキラン、ミズチドリ、ミズトンボ、サワギキョウ、コオニユリ、ヒメシロネ、 カノコソウ、ノダケ、ミヤコアザミ、キセルアザミ、サワヒヨドリ、スイラン、ミミカキグサ、コマツカサススキ、ウメバチソウ、コイヌノハナヒゲなどいろいろな種類の草花が次々と花を見せる。
中でも珍しいのはサギスゲ、カキラン、ミズチドリ、ミズトンボ、サワギキョウ、ミヤコアザミ、スイラン、ミミカキグサ、 ウメバチソウといったところであろう。冬場の今の時期はみな雪に被われた湿原の土の中である。