大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2022年08月12日 | 植物

<3858>奈良県のレッドデータブックの花たち(259)ミヤマカラマツ(深山唐松)      キンポウゲ科

                

[学名] Thalictrum tuberiferum var. tuberiferum

[奈良県のカテゴリー]    希少種          

[特徴] 山地から深山に生える多年草で、匐枝を出し、茎の高さは20~70センチ。葉は根生葉と茎葉からなり、根生葉は長い柄を有し、2~3回3出複葉で、小葉は切れ込みのある楕円形で、裏面が粉白色を帯びる特徴がある。

 花期は5~8月、枝先の散房花序に白い小さな花をつける。花は直径一センチ前後、花弁はなく、萼片も早落し、多数の雄しべが放射状につき、花の中心には淡紅紫色を帯びた雌しべの花柱が数個つく。雄しべの花糸は細く。太くなる特徴がある。実は痩果。

[分布] 北海道、本州、四国、九州。国外では東アジア一帯。

[県内分布] 川上村、上北山村、天川村。

[記事] 奈良県版レッドデータブックは暖温帯上部から冷温「帯域の樹林下の渓流岸岩場に生育するという。だが、自生地が少なく、個体数もすくないという。

   如何なる場所でも

   植物の存在するところ

   花が存在する

 

 


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2022年08月11日 | 植物

<3857>奈良県のレッドーデタブックの花たち(258)ミヤマウコギ(深山うこぎ)   ウコギ科

               

[学名] Eleutherococcus trichodon  

[奈良県のカテゴリー]  絶滅危惧種

[特徴] 山地の林内に生える落葉低木で、高さ1~2メートル。樹皮は灰緑色で、縦に細かいヒビが入る。若い枝は緑色または黄褐色で、まばらに刺がある。葉は掌状複葉で、葉柄に細かな刺がある。小葉は5個、長さが2~6センチの菱状長楕円形で、先は尾状に尖り、縁には中央の小葉が大きく、先は鋭く尖る。縁には不揃いの鋸歯。鋸歯の先端は芒状で、両面とも無毛で光沢が見られる。

 花期は5~6月で、枝先に散形花序をだし、黄緑色の花を10~25個つける。果実は液果で、直径8ミリほど。熟すと紫国色になる。

[分布] 日本の固有種。本州(関東、東海、近畿)。四国。

[県内分布] 御所市(金剛山)

[記事] 奈良県のレッドデータブックによると、大和地方(奈良県域)では「金剛山の一箇所のみ」とある。非常に珍しい樹種ではある。 写真は花期のミヤマウコギ(右)と花序のアップ(右)。 

   珍しいということは

   一種絶滅を意味するでもあること


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2022年08月10日 | 植物

<3856>奈良県のレッドデータブックの花たち(257)ミヤコアザミ(都薊)        キク科

                

[学名] Saussurea maximowiczii var. maximowiczii

[奈良県のカテゴリー]  絶滅寸前種

[特徴]  日当たりのよい山地の草原に生えるトウヒレン属の多年草で、花がアザミに似るのでこの名がある。茎は大きいもので高さ1.8メートル。上部で枝を分け、根生葉は柄が有り、花時にも残る。茎葉は長楕円形で、羽状に深く裂けるが、棘はなく、アザミでないことがわかる。花期は9~10月で、枝先に直径1センチほどの紅紫色の頭花を数個集まってつく。

[分布]  本州の福島県以西、四国、九州。国外では朝鮮半島、中国、アムール。

[県内分布]  宇陀市、曽爾村。

[記事]  大和地方(奈良県域)では自生地も個体数も極めて少なく、これは草地の遷移やカヤ場の放棄によって環境が激変したからであろう。 写真は花期のミヤコアザミ。

   花一匁

         花の辺りの

         賑やかさ


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2022年08月08日 | 植物

<3854>奈良県のレッドデータブックの花たち(256)ミスミソウ(三角草)             キンポウゲ科

                          

[学名] Hepatica nobilis var. japonica

[奈良県のカテゴリー]  絶滅危惧種(環境省:準絶滅危惧)

[特徴] 落葉樹林内に生える常緑多年草で、根生する葉が3角状で、3浅裂し裂片の先がやや尖るものをミスミソウ(三角草)、丸いものをスハマソウ(洲浜草)という。中間タイプも見られ、判別し難いものもある。

 花期は3~4月、根生する葉の根元から白毛が密生する長さが10~15センチの花茎を立て、その先に1花をつける。花は直径1.5センチほどで、長楕円形の萼片が花弁状に開く。萼片は太平洋側では白色、日本海側では青色、紫色、紅色と多彩である。

[分布] 日本の固有種。本州の関東地方以西、九州。

[県内分布] 御所市。

[記事] 全国的に減少傾向にあるが、大和地方(奈良県域)での自生地)は2カ所とされ、個体数も少ないという。減少要因について奈良県のレッドデータブックは園芸用採取や植生の遷移をあげている。 写真は花期のミスミソウ(左)と花のアップ(右)。

   花は実の実質につながっている

 

 


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2022年08月05日 | 植物

<3851>奈良県のレッドデータブックの花たち(255) ミズトンボ(水蜻蛉)                        ラン科

                               

[学名] Habenaria sagittifera

[奈良県のカテゴリー]  絶滅危惧種(環境省:絶滅危惧Ⅱ類)

[特徴] 日当たりのよい湿地に生える多年草で、直立する茎は高さ40~70センチ。葉は長さが5~20センチの線形で、鞘状になって互生する。花期は7~9月で、茎の上部に総状花序を出し、淡緑色の小さな花をつける。花は背萼片、左右の側萼片と側花弁、3裂して十字状になって長く垂れ下がる唇弁、先が球状に膨らむ距などからなり、この花の形状がトンボに似て水湿地に生えるのでこの名があるという。

[分布] 日本の固有種。北海道南部、本州、四国、九州。

[県内分布] 奈良市、曽爾村。

[記事] 全国各地で少なくなっている植物の1つで、大和地方(奈良県域)でもごく限られた自生地に見られ、レッドデータブックは「開発などによる自生地の消失・園芸用採取・植生の遷移」を危険要因にあげている。 写真は花期のミズトンボ(左)と花のアップ(右)。

   生きものは何かの役目を担って生きている

   どんなに小さな生きものもそれなりにみな