<3483> 奈良県のレッドデータブックの花たち(89) キリシマミズキ(霧島水木) マンサク科
[学名] Corylopsis glabrescens
[奈良県のカテゴリー] 希少種・注目種(環境省:準絶滅危惧)
[特徴] 暖温帯上部から冷温帯域の渓谷の岩場や河原などに生える落葉低木で、高さは2~3メートル。樹皮は灰褐色で、新枝には皮目が多い。葉は長さが3~6センチの卵円形で、先はやや尖り、基部は浅い心形。縁には歯牙状の鋸歯が見られる。支脈が目立ち、裏面は白色を帯びる。
花期は4月。葉の展開前に開花し、花序の長さは3~4センチで、黄色の花が5~9個つき、下向きに咲く。よく知られるトサミズキと違い、花序軸に毛がない。また、コウヤミズキとは成熟した雄しべの葯の色が異なり、暗赤色のコウヤミズキに対し、本種は黄色。蒴果の実は長さが7ミリほどの広倒卵形で、2個の花柱は角状に残る。
[分布] 日本の固有種。本州、四国、九州(霧島山地、四国カルスト、大峰山地、木曽川上流域)。
[県内分布] 五條市、天川村、上北山村、下北山村、十津川村の大峰山地。
[記事] キリシマミズキ(霧島水木)の名はこの種が九州の霧島山地に初見されたからで、中部地方以西で隔離分布し、自生地も個体数も少ないため環境省は準絶滅危惧にあげている。大和地方でも同様で、奈良県は希少種にあげている。県内を見ると、十津川の東の山域、大峰山地でキリシマミズキ、西の山域である野迫川村の奥高野の山地でコウヤミズキが分布し、不思議なことに混生せず、隔離が見られるので注目種にもあげられている。 写真は渓谷の早春を彩るキリシマミズキ(左・天川村)と花のアップ(右)。
注目されるということは
興味が抱かれ
関心が持たれるということ
果たして それは
我々の耳目を騒がせる