<106> 春日若宮おん祭
御祭 春日若宮 御祭
大和の納めの祭として知られる奈良市・若宮神社の例祭「春日若宮おん祭」のお渡り式が十七日に行われ、行列の見物に出かけた。行列は正午過ぎに県庁前の広場をスタート。 日使を先頭に 神子、細男、相撲、猿楽、田楽、馬長児、競馬、流鏑馬、将馬、 野太刀、大和士、大名行列などの一座や一団が順次登大路を西に下り、JR奈良駅前から三条通りを東に取って、春日大社参道のお旅所までを歩いた。その間、スタート地点と三条通りの興福寺南大門前で行列の写真を撮った。
若宮神社は天児屋根命と天押雲根命を祀る春日大社の摂社で、水を司る神として崇められ、洪水、飢饉が続いた平安時代中ごろの保延元年(一一三五年)に現在地に社殿が造営され、祭はこの翌年始まったと伝えられ、以来、途切れることなく続いているという。普通お渡りと言えば、神様が神輿に乗って神殿からお旅所までお出ましになる行程を言うが、この祭では祭神が既にお旅所にお出ましで、その神を迎えるために出向くというもので、行列に神輿が見られないのが特徴である。
では、「春日若宮おん祭」のお渡り式のスケッチから俳句と短歌を何点か。御祭は「春日若宮おん祭」のことで、冬の季語になっている。
ひととせの最後を飾る御祭
悲祈願と感謝ありけり御祭
賑はひて今年もありし御祭
老若のにぎはふひとひ御祭
御祭絵巻のごとき衣裳つけ
それぞれにありし一年御祭
鹿も見え和やかなりし御祭
「無事」といふ言葉がありがたくもある 御祭来て思ふ一年
ひととせの納めのまつり祈るべし 御祭たるこころにならひ