大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2012年01月29日 | 写詩・写歌・写俳

<149> 菜 の 花
       菜の花が咲いた
      菜の花が咲いた
      冬へお別れ
      春へお誘い
      みんな行こう
      みんな歌おう

  このところ寒さの厳しい日が続いているが、春の花である菜の花が咲いているのを見かけた。という次第で
、ここに写真で紹介したいと思う。菜の花はアブラナ科の一、二年草であるアブラナのこと。在来種と外来のセイヨウアブラナがあって、 ナタネ(菜種)とも呼ばれ、主に種油を採るために栽培され、電燈が普及するまで灯火の役目を担って来た。

 このため菜の花は全国的に見られ、「菜の花畠に入日薄れ 見わたす山の端霞ふかし」と文部省唱歌の『朧月夜』にも歌わるほどその黄色い花は親しまれ、レンゲソウとともに田畑に植えられる我が国の春を代表する花になり、今に至っている。大和でも盆地の平野部が菜の花に埋めつくされた時代があり、 短歌や俳句にその風景が詠まれている。以下の短歌がそれで、許六は江戸、躬治は明治、好子は昭和の人である。特に許六の句は大和郡山市の郡山城址に碑として残されている。
    菜の花の 中に城あり 郡山                                 森川許六
    菜の花に 大和三山 よき高さ                                  小松好子                          
    一すぢの小道の末は畑に入りて菜の花一里當麻寺にまで                     服部躬治

                                          
  最近の大和路を見るに、菜の花は、バイオ燃料の再認識などで各地に植えられ、村興しや町興しの観光目的に栽培されることも多くなっているのがわかる。中には早咲きの品種も出回り、冬にも花が見られるようになった。  写真は大和郡山市の小泉付近で。