<1561> 仏 生 会 ( 花 祭 り )
仏生会 釈迦の産湯の 甘茶かな
四月八日はお釈迦さんが誕生した日で、誕生を祝う行事が各お寺で行なわれる。灌仏会、仏生会、降誕会、浴仏会、龍華会とお寺によって呼び方が異なり、誕生日が花の時期に当たるので、花会式とか花祭りと呼ぶところもある。今日は東大寺の大仏殿の前で行なわれた仏生会の花祭りに出かけた。
この誕生日につきものなのがお釈迦さんの誕生仏に甘茶を掛ける催しで、東大寺では大仏殿の正面石段上にスギの葉で被いアセビとツバキの花で荘厳した花御堂が設えられ、中に甘茶を満たした水盤が置かれ、その中央の台上に「天上天下唯我独尊」と唱えたとされるお釈迦さんの誕生仏(金銅製)が安置されていた。
私が訪れたときには、既に法要は終わり、一般の参拝者が誕生仏の花御堂に列をつくっていた。お参りする前にアマチャヅルを煮出して作られた甘茶が振る舞われ、それをいただいた後、高さ数十センチの金銅製誕生仏に甘茶を掛け、お釈迦さんの誕生日を祝った。
大仏殿の境内ではベニシダレザクラが満開で、花会式や花祭りの名に相応しく、華やいだ雰囲気があり、大半が外人観光客である参拝者は魅了されたような面持に見えた。私も列に並び、甘茶をいただき、誕生仏に甘茶を掛けた。いただいた甘茶ははじめほろ苦く少し時が経つと口中いっぱいに甘さが広がり、功徳を得たような気分になった。 写真は甘茶をかけられるお釈迦さんの誕生仏と甘茶掛けの順番を待つ人たち。
因みに、お釈迦さんは紀元前五世紀、インド北部の部族出身で、本名はゴ―タマ・シツダッタ。お釈迦さんはブツダとよく言われるが、ブツダは尊崇して用いる言葉で、ゴータマ・ブツダと呼ばれ、ブツダを漢訳すると仏陀になる。仏教というのはブツダの教えという意で、これを見てもわかるように、仏教は、つまり、お釈迦さんの説いた教えに因むものである。