<3725> 奈良県のレッドデータブックの花たち(196)ナンゴクミネカエデ(南国峰楓) ムクロジ科(旧カエデ科)
[学名] Acer australe
[奈良県のカテゴリー] 希少種
[特徴] 山岳高所の日当たりのよい尾根筋などに生える落葉小高木で、高さは5メートルほどになる。葉は直径3~7センチの掌状で、5~7深裂し、裂片の先が尾状に尖り、縁には切れ込みと重鋸歯が見られる。本種は裂片の先が全部尾状に尖るのに対し、仲間のコミネカエデは中央の大きい裂片3個のみが尾状に尖る。1センチ弱の柄を有し対生する。
雌雄異株で、花期は5~6月。枝の上部葉腋に伸びる花序に黄緑色の小さな花を10個前後つける。本種の花数はコミネカエデより少ないので、花どきには見分けやすい。ときに赤味の強い花もある。実は蒴果。分果は長さ2センチ弱。
[分布] 日本の固有種。本州の岩手県以南から紀伊半島、四国、九州。
[県内分布] 五條市、川上村、天川村、上北山村。
[記事] 大和(奈良県域)では大峰山脈と大台ヶ原の高所(寒温帯域)に生えているが、個体数が少なく、「シカの活動のはげしい地域なので、幼樹が育つかどうか心配される」と奈良県版レッドデータブックはシカの食害を危険要因にあげ、懸念を示している。 写真は若葉と同時に花をつけたナンゴクミネカエデの雄株(左)と赤味を帯びた雌花(右)。
生きとし生けるものにして思うに
もっとも大切なものは生命である
その生命は身と心の総体であれば
肉体と精神のその健全が求められ
その健全を第一義となすべきこと
然るに生の現実ははなはだ厳しく
次なる状況において問い問われる
精神が滅びて肉体が維持されても
肉体が滅びて精神が維持されても
生においてそれは十分でないこと
この現実をその身に負うとすれば
その生は悩みを深かくするに至る