粘土の詳しい説明によれば「土壌学的には0.002㍉以下の、風化作用を受けた二次鉱物粒子。水を含めば粘性を持つ土の総称」とある。すぐに思いつくのは陶磁器だが、レンガや瓦、セメントなどの製造原料となる。粘土細工として児童らの工作材料にもなる。そんな細かいことは知らぬままに月2回の陶芸教室を楽しむ。
指導員は見本を作りながら、作る際の注意点や手の動かし方、ロクロの回し方、冶具の使い方などを講義する。指導員の手元を見つめながら講義を聞くのは高齢者ばかりだが目つきからその様子は真剣とわかる。目の前でこれから作ろうとする課題見本の「しぼり口」が苦も無く出来上がっていく。しぼり口といえばこれからの季節欠かせない熱燗用の銚子、いつでも使える一輪用花器などを思いつく。
指導員と同じ種類の粘土と量を使って作り始める。早い遅いはあるがそれなりの形に成っていく。朝方の雨はいつの間にか上がり青空が窓外に見え始める。作品をのぞき見するかのように日差しが創作台に届く。人の作品を観察しながら自作の修正点を見つけては修正する。指導員の直接指導も入り、昼前には8分くらい完成する。
弁当もそこそこにロクロを回す。今日はいつもと違い全員のやる気がみなぎっており、自分もそれに負けじと意気込む。完成した作品を並べると、同じ粘土と量の作品とは思えない「みんな違って何とか」。素焼きから釉薬まで日数が掛かるが、完成すれば新春の一輪が活けられるか、屠蘇が注がれるか、みんな口にはしないが楽しみだ。