良く晴れて天高く絶好の行楽の日、家族やカップルで賑わう広いフェスタ会場には外国人も多く基地の街らしい。多くのテントでは出店者の粋を凝らした見世物、食べ物、創作品などが並ぶ。中には長い行列が出来たテントがいくつもあり、売り子さんが忙しそうに応対をしている。売り子初めてという素人も多かろう、今夜は足腰痛まねばいいが。
売り物ではなく、売り物にもならない放置品があると聞けば軽トラで受け取りに行く。持ち帰って点検修理して駆動までもっていく。そんなことを趣味とするグループの発動機展示コーナーがフェスタ会場の一角にある。10台余りの小型で数馬力くらいの発動機が単純なポンポンポンという音を出している。
駆動している発動機からは白い煙がパッ、パッと勢いよく噴き出す。煙は風になびきテント周辺に油臭が広がる。高齢の男性から「懐かしいにおい、何十年ぶりでしょうかのう」と話しかけらてた。子どものころには近くの田や畑で見かけることは珍しいことではなく、農家の庭先でもよく使われていた。今のような大型で自動化された農業機械化前は発動機が農業の生産性引き上げに寄与していた。
地方の棚田や段畑でも小型の農機具が活動をはじめ発動機は忘れられる。趣味とはいえこうして懐かしい音やにおいを伝え続ける人らの活動には頭が下がる。手入れしたものが思い通りに駆動しているか調子を調べたり給油したりするその姿は、我が子に接する様にも見える。石臼を回す女性、交通安全旗を振る男性2体の人形が発動機で動いている。話しかけた外国人女性が人形と気づき大笑いしていた。