家の前の小さな交差点で激しい衝突音、急いで出てみると男子高校生が我が家の塀を背にしてしゃがんでいる。止まっている普通乗用車の運転席から女性が降りかけている。似たような事故を何度か見ており、出合い頭の衝突だとわかる。学生カバンと自転車が倒れ道をふさいでいる、通学途中とわかる。
運転の女性が「どうしたらいいですかね」という。事故を起こした時の処置は免許取得時に学んだはず。高校生は足を気にしている。運転手と高校生に確認し119番へ。「救急ですか火事ですか」に続いて概略の状況を聞かれる。到着した救急隊員は負傷者の状態を確認しストレッチャーに乗せ救急車内へ、きびきびした動作は日ごろの訓練の成果だろう。
先日、そんな以前のことを思い出しながら救急車内を初めて見た。車内は思ったより狭く、各種の機器や備品が並んでいるというか置いてあるというか、一見雑然としたように見えた。考えてみると、それぞれの病状を勘案し救命できるよう素人には分からないが、組み合わされているのだろうと見直す。狭い車内での処置は大変な苦労だと想像もした。
深夜、私の急病で父が自転車で往診依頼に町の医院へ走った。そして、父の帰宅より早くスクーターで駆けつけてくれた医者、こんな時代は思い出の中だけになった。地方では医師不足で救急対応が難しくなっている。医療体制の充実を望むとともに、119番通報の三分の一あまりが緊急以外の用件ということを利用者は反省しなければいけない。