日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

思い出温か まき生活

2014年12月17日 | エッセイサロン
2014年12月17日 中国新聞「広場」掲載


(まきを販売している店は今もあります)

 陶芸家が窯でたくまき作りに何日も費やし、それを積み上げた時の喜びをつづった文章を読んだ。ふと、家庭燃料が木材だった頃、軒下に積まれたまきが、冬前になると一段と高くなっていたことを思い出した。

 伐採で用材にならなかった木や間伐材、雑木などを近所で共同購入し、それらを各家庭でまきにした。

 まきは、ご飯を炊き風呂を沸かす燃料に。おき火は消しつぼで炭に変わる。その炭は、しちりんで煮炊きをし、火鉢で暖を取りながらやかんでお湯を沸かす。

 松の落ち葉と小枝は、かまどでのたき付け用に使った。燃え尽きて残った灰は、畑に肥料としてまいて野菜を育てる手助けとなった。

 まきがプロパンガスに替わったのは、昭和30年代前半。父はまき作りから解放されたことを喜んでいた。それとともに国内産の木材は利用が減り、山は荒廃していった。

 木を使いこなしていた頃には戻れない。そう思いながらも、エネルギーの多様化に木材復活はないのか、と考える。 

コメント
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