2013年11月02日 毎日新聞「はがき随筆」掲載
「よいしょ」。年配の女性が軒下につるし柿を掛けようと、脚立に上がるところに出くわす。ざるには2締め残っている。出しゃばりかと思いながら、手渡した。「どうもありがとうございました」と言いながら、なれた様子で脚立から下りる。
皮むき跡の美しさに驚き秘訣を聞くと、結婚から50年以上の経験という。渋みが抜け、手作りの思いがこもったトロリとした中身、それは家族を喜ばせてきたのだろう。
「孫が、私の作ったのはただの柿ではなく日本一のドライフルーツ、と喜んでくれます」。話すその笑顔が秋の日に染まる。
「よいしょ」。年配の女性が軒下につるし柿を掛けようと、脚立に上がるところに出くわす。ざるには2締め残っている。出しゃばりかと思いながら、手渡した。「どうもありがとうございました」と言いながら、なれた様子で脚立から下りる。
皮むき跡の美しさに驚き秘訣を聞くと、結婚から50年以上の経験という。渋みが抜け、手作りの思いがこもったトロリとした中身、それは家族を喜ばせてきたのだろう。
「孫が、私の作ったのはただの柿ではなく日本一のドライフルーツ、と喜んでくれます」。話すその笑顔が秋の日に染まる。