日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

胃の舞台

2011年08月16日 | エッセイサロン
2011年8月16日 毎日新聞「はがき随筆」掲載

 医者が内視鏡で私の胃を画面に映し、診ている。私はベッドで同じ画面を見ながら説明を聞く。臓器の内部を見るという不思議な感覚。いつの間にか内壁の様子やその色模様などを真剣に見ている。胃の中で動きを感じるたび、そこが演技するように画面が変わる。

 見えない所が診られるようになった現代医学。どこまで技術が進歩するのか、あまりの長寿は考えもの。そんなことを思っていると「治っていますよ」の声で十数分の色鮮やかな舞台が終わった。

 仕事を終えた内視鏡がつり下げられ揺れている。物言わぬそれに心の中でそっと「ありがとう」。
コメント (4)
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