みことばの光的毎日

聖書同盟「みことばの光」編集者が綴るあれこれ

世界の基の置かれる前から

2020年01月04日 | エペソ人への手紙

エペソ人への手紙 1章1−14節

 エペソは現在のトルコ西部にあった商業都市であり、女神アルテミスを奉じる大きな神殿のある宗教都市でもありました。ローマ時代の遺跡が残っており、今でも多くの観光客が訪れます。パウロの三度目の伝道旅行で、ここに福音が届けられて主の教会が誕生しました。

 「ヨハネの黙示録」の初めの3章には、アジアの7つの教会への主イエス・キリストのメッセージがありますが、その最初に届けられたのがエペソの教会へのメッセージでした。教会の主であるイエス・キリストがこの教会の真の姿をご覧になった上でのメッセージです。そこに、エペソの教会が偽りの教えを見抜くことのできる信仰的純潔と力を持っていたとあります。しかし同時に、初めの愛から離れてしまったというメッセージも届けられています。

 パウロは、この手紙で教会とはどのようなものなのかを書いています。「みことばの光」1月号の「エペソ人への手紙を読む前に」に書かれているように、この教会には、「ユダヤ教的な律法主義やグノーシス主義の影響による異端的な教えが生じる」心配がありました。そこでパウロは、教会とは何か、神が教会に托されたことは何か、教会の交わりなどについて、まるで神からの設計図面を説明するかのように、この手紙で書いています。

 1章前半では、教会へのあいさつに続き、教会に対する、すなわちイエスをキリストと信じる者たちに対する神の壮大なご計画を明らかにしています。三位一体の神が世界の基が据えられる前から、私たちを選ばれて、神の御前に聖なる、傷のないものにしようとされたということばは、何度読んでも驚かされますし、計り知れない神の大きさを思います。

 「世界の基の置かれる前から」などと書くことによって、パウロはキリストの教会は、何十年か前にポッと生まれたようななよなよしたものではないのだということをエペソの人々に伝えたかったのでしょう。特に、一方でユダヤ主義に、もう一方でギリシャ思想に揺さぶられている時に、このような出だしの手紙を読むことができたのは、どれほどの励ましであっただろうと思うのです。

 揺さぶられずに、教会の主であるお方にとどまるようにとのメッセージが私にも届けられています。


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