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福田恆存『人間の生き方、ものの考え方 学生たちへの特別講義』

2017年11月09日 09時59分57秒 | 文学
福田恆存『人間の生き方、ものの考え方 学生たちへの特別講義』(文藝春秋)を図書館で借りて読んだ。
四つの講演が収録されている。
福田恆存のものを読むのは初めてなのだがどれもとても興味深く読んだ。

《記念日にするのならひそかに自分の心の中で、「これからやっつけてやろう」ということで記念日にするのならいいが、そうじゃなくて「広島から世界に平和を」というような思いあがった気持は一体何か、原爆を落とされるような人間に原爆を止めさせる力がありますか、そんなことは決してありえないと私はその学生にいったのです。》(131頁)

このようなことを言える人はいまいない。
それは時代ということもあるだろうけれども、このような発言が出来た時代があるということがもう分からなくなってしまっている。
他の本も読んでみることにする。
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成瀬巳喜男監督『乱れ雲』

2017年11月07日 12時00分27秒 | 映画
成瀬巳喜男監督『乱れ雲』を見た。
とても不思議な話で、夫を交通事故で亡くした妻がその加害者と恋に落ちる話だった。
恋愛感情を抱きにくい相手とどうやって距離が縮まっていくかというのが見どころだと思うが、いまいちよくわからなかった。加山雄三が司葉子を好きになるのは、若い男だからなんとなく分かるのだが、司葉子がどうやっていつのまに加山雄三を好きになっていったのかよく理解できなかった。加山雄三の男の魅力とか、女の性欲の問題とか、そんなことなのだろうか。
司葉子の義理の姉が森光子で、きちんとした映画に森光子が出ているのを初めて見たように思う。妻のある加東大介と不倫関係だった。

司葉子は加山雄三と肉体関係を結ぼうとするが、旅館のそばで起きる心中事件とかタクシーに乗って電車が通るのを待っていたりとか交通事故現場とかで過去の記憶が甦りその気になれない。加山雄三はパキスタンのラホール(地獄のようなところとして描かれる)へと旅立つ。
『乱れる』のほうがおもしろかった。
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ジャ・ジャンクー監督『山河ノスタルジア』

2017年11月03日 23時32分58秒 | 映画
ジャ・ジャンクー監督『山河ノスタルジア』を見た。
とても長い映画を見たように感じる。退屈したというわけではない。
しかし何が言いたいのか実は良く分からない映画だった。
「母親に会えなくて悲しい」とか「久しぶりに会えて嬉しい」とか「父親とは性格が合わない」とかそういう単純な話で感動させるわけではなくて、実際よく分からないようなことで感動(?)させる。感動しているのかどうかもよくわからない。
しかし、私よりも彼(監督)には何かがよくわかっているのだろうと思わせる。
最初と最後はペット・ショップ・ボーイズの「ゴー・ウェスト」が流れてとても懐かしい。
母親が煙草を吸うのを止めていた息子が煙草を吸っている場面や、家の鍵を放り投げていた昔の恋人にその鍵を渡してあげていた母親が息子に家の鍵を渡す場面など、長い歴史を感じさせるのはこう描くのだという手本のような場面があった。

この映画は『菊地成孔の欧米休憩タイム』を読んで興味を持った。
もう一度この映画についてのところを読み返してみたが、あまりぴんと来なかった。
この映画の良さをもっと私に知らしめる批評を読みたい。もやもやして分かりにくい映画なのだ。でもたぶんいい映画なのだろうとは思う。
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成瀬巳喜男監督『女が階段を上る時』

2017年11月02日 00時08分10秒 | 映画
成瀬巳喜男監督『女が階段を上る時』を見た。
加東大介に完全に騙された。
太った男に悪い人はいないと思ったのに、騙された。もう太った男は信用しないようにしよう。

高峰秀子が可哀想すぎる。
女が生きていくのはたいへんだ。
バーで稼いで家族に二万円を仕送りして、お兄さんの裁判のお金とか、お兄さんの息子の手術のお金とか、もうなんだか逃げ道がない感じ。
『流れる』のほうがまだ救いがあって良かった。
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川端康成『山の音』

2017年11月01日 21時40分37秒 | 文学
川端康成『山の音』(『ちくま日本文学全集 川端康成』所収)を読んだ。
成瀬巳喜男の映画を見て興味を持ち、昔買って読んだ本を引っ張りだして読んだ。
途中何度ももう読むのをやめようか、と思ったが読み終えることが出来た。
ものすごく退屈というわけではないが、何を目的にして読んだらいいかだんだんとわからなくなる。だらだらと続く。
川端康成の小説をこれまで一度もおもしろいと思ったことはないのだが、今回もおもしろいとは思わなかった。
ただ不思議、不気味、何を目的に読めばいいかわからない、だった。
川端康成の家族構成を全く知らないのだが、川端康成が嫁に好意を抱いていて、それを書きたかったということなのだろうか。
成瀬巳喜男の映画のほうがすっきりしていてずっといいと思ったし、これを読むなら谷崎潤一郎のほうがいいと思った。
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