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村上春樹『シドニー! ①コアラ純情篇』

2014年12月04日 21時33分08秒 | 文学
村上春樹『シドニー! ①コアラ純情篇』(文春文庫)を読んだ。
オリンピックに興味がなくて(というかほとんどすべてのスポーツ観戦に興味がない)、オリンピックの記憶と言えばロス五輪の開会式で背中に背負ったランドセルみたいなもので人が空を飛んだことしかない。
シドニーオリンピックもまったく見た記憶がない。2000年だから14年前か。何してたんだろう。
この本の単行本が出たときも「シドニーオリンピックか、興味ねえな、へっ」って思って読まなかった。
今回、村上春樹の紀行文を読み続けていてその一環で読んだのだが、思っていたよりおもしろい。
もっと毎日毎日のオリンピック競技の実況中継のようなことを村上春樹がするのかと思っていたら、そういう部分はあまりなく(感覚的には一割くらい)、ほとんどがオーストラリア紀行という感じの文章だった。
これはオリンピックやスポーツ観戦に興味のない人でも読める、と思う。そういう人の方が向いているかもしれない。「ナンバー」編集部がチケットを十万円で買った開会式を途中で飽きて帰るところが、わざとらしいが素晴らしい。
「幸せなら手をたたこう」が坂本九の歌であることを初めて知った。

村上春樹の紀行文は往々にしてその土地に行ってみたくなくなるという希有な紀行文なのだが、オーストラリアには別に行ってもいいかな。特に魅力も感じないが、嫌なところもあまりない。
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