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大江健三郎・江藤淳『大江健三郎 江藤淳 全対話』

2024年04月15日 00時59分44秒 | 文学
大江健三郎・江藤淳『大江健三郎 江藤淳 全対話』(中央公論新社)を読んだ。
とてもおもしろかった。
特に三つ目の「現代をどう生きるか(一九六八年)」はすごい。喧嘩。
論争を読むとやはりどちらが強いかを考えてしまうものだが、江藤淳のほうが正しいことを言っているように読めた。大江健三郎の『万延元年のフットボール』についての対談なので大江が不利になってしまうのだが。
『万延元年のフットボール』について、私自身がそんなに評価していないせいもあるかもしれない。読みにくい、とか、登場人物の名前が変、とか、わりと普通の、だれでも感じるようなところから話を展開していくので江藤淳の肩を持ってしまう。
しかしただ単に喧嘩しているわけではなく、とてもハッとするようなことをどちらもが発言していて良かった。

大江 あなたはどうしてナルシスティックなほど自分自身の尊厳を主張し、自分の主観を大切にしながら、他人のこととなるとすぐにそのように大切にしないのですか。(99頁)

という大江の発言はとても痛いところを突いているように思う。よく私自身が妻に言われるような発言で、とても胸が苦しくなった。
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