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山本周五郎『さぶ』

2018年02月25日 00時09分57秒 | 文学
山本周五郎『さぶ』(講談社文庫)を読んだ。
盗みをはたらいたと疑われた栄二はやけっぱちになって、酒を飲んだり、女を買ったり、喧嘩をしたり、牢屋に入れられたり、滅茶苦茶になってしまう。ここは、どうしてそうなってしまうのかよく分からない。「よく分からない」というのは、ここで山本周五郎がどういうことをやりたいのか見えない。
『モンテ・クリスト伯』のようなものを描きたいのかなと思いつつ読む。

栄二が寄場に入ってから、いろいろな人の話を聞いたり、いろいろなことが思いつきのように次から次へと起きるが、これは必要なことなのだろうか、と疑問に思いながら読む。

最後は、いろいろあって、きちんとオチがつく。
誰が犯人だったか分かる。誰が犯人だったか分かるということは重要なことではあるが、分かってしまうと「これのためにここまで読まされたのか」という気分になる。騙されたような感じ。

栄二が苦労して、成長して、最後は報われる感じが良いと思う。
ひとりの人間が世に出て成功するためには、それを支える何人もの無名の人間がいる、という思想が二度ほど出てきて、山本周五郎の信念なのかもしれないと思った。
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